見出し画像

センセイの授業数

塾講師だったころの思い出を細々とつづっています。

一週間分、どれだけ授業をしていたのか数えてみた。

まず、中学受験生から。私が担当していたのは小学5年生と6年生の国語、土曜日は小学3年生も担当していた。準備が必要な文章問題の数は、3年生は1題、5年生は3題、6年生はクラスのレベル別に扱う文章問題が変わるので合わせて6題。
多少のレベルの差はもちろんあるが、中学受験で出てくる国語の文章問題は大人顔負けの分量で100字前後の記述問題もゴロゴロ出てくる。答えを書き写す「写経」、答えの根拠を探して線を引く「線引き」にもかなりの時間がかかった。

高校受験生には英語も教えていたため、中学1年生から3年生までの国語が1題ずつと、英語が週に2コマずつ。英語は文法と長文の授業で別れていたが、「写経」が必要なことに変わりはない。特に文法の授業のテキストは問題だらけで、書き写すのに苦労した。

なぜ、答えをわざわざ書き写す必要があるの?学校の先生が持っている答えが最初から印刷されたテキストはないの?書き写すなんて時間の無駄じゃない?と疑問に思う方もいるかもしれない。私も「写経」を行いながら何度も何度も同じ疑問を持った。私は結局センセイを辞めるまで、授業準備はだいたい休日中の半日を使ってまとめて行っていたので、休日で給料ももらえないのに一体私は何をやっているんだろうと常に思い続けていた。

答えが印刷されたテキストを支給してくれない理由は一つ。授業準備は「自己研鑽」だから。答えは書き写すのではなく、自分で問題を解いて、勉強する物。全ての問題を自分で解かないと自分の学力もつかないのだ。というのが上層部の考えだった。

さて、授業を行っていたセンセイの中で、いったい何人が一から問題を解き、「自己研鑽」していたのだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?