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理想の組織とは?(理論とは何か?)

理論に求められることとは何か?

サーベイプロダクトを企画・設計から携わり、顧客に対して課題解決に向けた議論をしている身としては、どのような組織を構築するべきなのかについて議論をする機会に恵まれる。そしてその際に必ずと言っていいほど話に上がるのは「どのような組織が理想なのか?」という問いである。
この問いに対して絶対的で明示的な答えはなく、企業ごとに異なるというのが正直な所感である。しかしコンサルタントとして価値を発揮すべく顧客と向き合うためには、相手の思考における複雑性を縮減し、意思決定を促すことが重要であると考える。クルト・レヴィンが「良い理論ほど実践的なものはない」と言い、理論を考える際にはいかに実践で活用できるものになるかが重要だとしている。
そのため「組織に関する理論」を考えるにあたって重要なことは、「組織」というものに関わる人が、その検討において複雑で考えられなかったものが簡単に考えられるようになることが重要である。(簡便性)
また一方で、複雑性を縮減した結果として、より幅広い範囲で最適化を考えられるようになっていることが重要である。(拡張性)

理論が表現するものとは?

では、理論というのは一体を表すべきものなのか?アプローチとしては二つあると考えている。
・観念的理論:組織のあるべき姿を発想し、考える観点を提示するもの
・科学的理論:組織の行動を調査し、考える観点を提示するもの
それぞれに意味があると考えている。前者は科学的論拠に乏しいが、要素を分解することのない統合的な考えを提示することができる。
一方で後者は科学的論拠をもとに組織の行動を明らかにすることができるが、個別性の高いシチュエーションに特化した理論になることが多い。

観念的理論と科学的理論の先駆け

前者だとデュルケーム(1858年-1917年)が主張した「非公式組織」の重要性が該当すると考える。アダム・スミスなどの経済学者を筆頭に推奨された分業という概念に対して、デュルケームは批判を行った。
個別業務に特化することによる能力の向上や生産性の向上というメリットがある一方で、分業によって分断された業務は人間の部品化を進めるとした。そのため真に実現するべきは「労働の分割(分業)」した分だけの「労働の結合(協働)」であり、その体制が整っていない場合には「非公式組織」を組成することによって実現するべきなのであるとしている。
後者の始祖と言えばテイラー(1856年-1915年)の科学的管理法だろう。客観的な測定によって導き出された管理規則をもとに効率的に組織を運営しようとしたものである。これは決して社員を食い物にしようとしたのではなく、経営を改善することによってより高次元の労使協調が可能になるとしたものである。※結果がそうなっているかは難しいところではあるが

自分が組織開発においてやりたいこと

これまでの流れを踏まえて、自分がやりたいことについて改めて整理しようと思う。結論から言えば、観念的理論を考える方面で進めたいと思う。
現在自分が開発しているプロダクトが人が組織に所属する中で関するすべての要素を踏まえて課題設定できるようなツールとなっている。
それによって多方面の課題が見えるようになったという声をもらってはいるが、その結果として課題が山積してしまっているがゆえに優先順位が付かないという問題点が新たに発生してしまっている。
組織の変革や改善に向けて、個別要素で「〇〇が必要だ」「〇〇だけでこれだけ組織改善を実現」などと言っている書籍や論を見かけるが、そんな応急処置では持続的な企業成長は実現できないと考える。
サーバントリーダーシップにおいて書かれてる内容が含蓄に富んでいる。個別施策を行ったところで適切な組織への向き合い方をすることなしに、本質的な変革を実現することはできないのである。
企業戦略・組織戦略・人事戦略など網羅的に包含した観念的理論の構築に移行の時間を使っていく所存である。

組織によっては、人を賢く使うことで、少しの間業績を伸ばすところもあるが、っそれは幸福な結果ではなく、そうして得た卓越した業績も長続きしない。(中略)利益分配性、事業拡大、情報共有、社員参加、企画提案、温情主義、モチベーション・マネジメント。これらが、人を育てる組織で実施させる分には問題ない。だが人を利用する組織では、こうした策略はアスピリンのようなものだ。

ロバート・K・グリーンリーフ「サーバントリーダーシップ」

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