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ワーク・エンゲージメントとワーカホリズムの関係(令和元年版「労働経済の分析」より)

ワーク・エンゲージメントとワーカホリリズムの関係について紹介します。

以下、特記するものを除き、令和元年版労働経済の分析からの引用またはキャプチャーです。

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●働く方の健康増進には、ワーク・エンゲイジメントを高める観点が重要であることが示唆されるが、ワーク・エンゲイジメントとワーカホリズムの間には正の相関が確認され、状況によってはワーカホリックな状態に陥りやすい傾向にある。したがって、企業は、ワーカホリックな労働者を称えるような職場環境を見直す等、働き方をめぐる企業風土の在り方についても検討していく必要がある

ここからは、ワーク・エンゲイジメント・スコアと働く方の健康との関係性ついて整理していきたい。また、働く方の健康という観点からは、ワーク・エンゲイジメントだけではなく、「ワーカホリズム」と併せて考察していくことが、ワーク・エンゲイジメントの特徴をより深く理解する上でも有用であることから、以下では、ワーカホリズムについても考察していく。
まず、第2-(3)-15図の(1)は、調査時点のワーク・エンゲイジメント・スコアと、調査時点の仕事中に過度なストレスや疲労を感じる度合い(注)をスコアした値との関係性を整理しており、同図の(1)によると、ワーク・エンゲイジメント・スコアと仕事中の過度なストレスや疲労には、負の相関があることがうかがえる。
(注)調査時点の主な仕事に対する認識として、「仕事の中で、過度なストレスや疲労を感じる」といった質問項目への回答結果を活用している。

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なお、我が国においても、先行研究(注)と同様に、ワーク・エンゲイジメント・スコアと仕事中の過度なストレスや疲労に統計的有意な負の相関が確認されるかどうかは、重要なポイントであると考えられるため、第2-(3)-16図では、仕事中の過度なストレスや疲労に影響を与える可能性のあるいくつかの要因をコントロール変数として考慮しながら、両者の関係性を推定する計量分析を行った結果をまとめており、その詳細な内容については後述していく。
(注)既出であるが、Hallberg & Schaufeli(2006)では、ワーク・エンゲイジメントと様々な健康上の不調には、強い負の相関があることを確認している。

次に、第2-(3)-15図の(2)は、調査時点のワーカホリズムをスコア化した値(以下「ワーカホリック・スコア」という。)と、調査時点の仕事中に過度なストレスや疲労を感じる度合いをスコア化した値との関係性を整理している。ワーカホリズムの本質に関する研究者間の意見については、基本的には一致していないとの指摘があることに留意が必要であるが、Schaufeli, Shimazu, & Taris(2009)では、ワーカホリズムに関して、「過度に一生懸命に強迫的に働く傾向」とされており、(ⅰ)一生懸命に働きすぎる、また、(ⅱ)強力かつ強迫的な内発的な衝動がある、といった2つの特徴がみられることが指摘されている。これを踏まえ、(独)労働政策研究・研修機構が2019年に調査を実施した「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査」では、(ⅰ)の観点から「常に忙しく、一度に多くの仕事に手を出している」といった質問項目を、(ⅱ)の観点から「楽しくない時でさえ、一生懸命働くことが義務だと感じる」「仕事を休んでいる時間は、罪悪感を覚える」といった質問項目を盛り込んでいる。
また、ワーク・エンゲイジメント・スコアと同様に、当該質問項目に対して、「いつも感じる(=6点)」「よく感じる(=4.5点)」「時々感じる(=3点)」「めったに感じない(=1.5点)」「全く感じない(=0点)」とスコアを付した上で、3項目に関する1項目当たりの平均値を算出し、ワーカホリック・スコアとしている。
その上で、同図の(2)によると、ワーカホリック・スコアと仕事中の過度なストレスや疲労には、強い正の相関があることがうかがえる。逆方向の因果関係(注)がある可能性にも留意が必要であるが、ワーカホリズムの度合いが高まると、仕事中の過度なストレスや疲労を感じる度合いが大きく高まる可能性があること示唆される。
(注)仕事中の過度なストレスや疲労の度合いが高い労働者が、ワーカホリック・スコアが高い可能性も考えられる。

さらに、第2-(3)-15図の(3)は、調査時点のワーク・エンゲイジメント・スコアと調査時点のワーカホリック・スコアとの関係性を整理しており、同図の(3)によると、両者には、正の相関があることがうかがえる。「平成30年版 労働経済の分析」においても、両者に弱い正の相関があることに留意が必要であることを指摘しているが(注)、今回の調査においても、同様の傾向が確認される結果となった。
(注)第Ⅱ部 「働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」のp.192を参照。

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すなわち、働く方の健康増進には、ワーク・エンゲイジメントを高める観点が重要であることが示唆されるが、ワーク・エンゲイジメントとワーカホリズムの間には正の相関が確認され、状況によってはワーク・エンゲイジメントの状態にあった者がワーカホリズムの状態に陥りやすい傾向にある。したがって、企業は、働く方がワーカホリズムの状態に陥らないよう、ワーカホリックな労働者を称えるような職場環境を見直す等、働き方をめぐる企業風土の在り方についても、しっかりと検討していく必要がある。
加えて、第2-(3)-15図の(1)から(3)は、人手不足企業においても、同様の傾向が確認できる。特に、人手不足企業では、仕事の要求度の高まりに伴って、長時間労働者を称える雰囲気が醸成されやすいものと思われる。したがって、人手不足企業では、働く方がワーカホリックな状態に陥らないよう、より一層の留意が必要である。

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「仕事が楽しい状態」であるワーク・エンゲージメントと「仕事をしなければならない」ワーカホリズム。
過度なストレスや疲労を感じるかが大きな違いです。
長時間労働をしている人を称えるような風潮が日本にはありましたが、働き方は変わってきています。
短時間労働でも、生産性の高い方はたくさんおられます。
コロナ禍でさらに働き方の多様性がすすみました。
伍魚福でも、短時間勤務制度や育児、介護休業制度などいろいろな取り組みを進めています。

★エンターテイニングスパイラル図

働くメンバーがワーカホリズムに陥り、健康を害するようでは「おもしろい会社」とは言えません。
良いスパイラルを回し続けられるよう、今後も職場環境の整備を続けていきたいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan