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「新市場創造型商品」づくりを目指して④〜店に行く前に買うものを決めるZMOT〜

前々回のnoteで、「買う前に欲しいと思わせる力」が大事、という話をしました。
売れる商品とは、買う前に欲しいと思わせる力=「商品コンセプト」(C)が強く、買った後、買って良かったと思わせる力=「商品パフォーマンス」(P)が良いものだ、という「C/Pバランス理論」です。
この理論は、1984年に梅澤伸嘉さんが提唱したものなのです。

マーケティングの世界で大変有名な書籍があります。
スウェーデンのスカンジナビア航空を再建したヤン・カールソン氏の著書「真実の瞬間」(堤猶二 訳・ダイヤモンド社)(原題 Moments of Truth)です。
1985年にスウェーデン語で出版された後、1987年の英語版を元に日本語訳され、日本では1990年に出版されました。
「真実の瞬間」とは、最前線のスカンジナビア航空の従業員が顧客と接する15秒間のことです。この15秒間の接客態度が、企業の成功を左右する、という考え方です。
その15秒間の間に、最前線の従業員が最高の接客ができるようにするためには、従業員自らの瞬時の判断が必要となります。そのためには、考え方が共有され、権限が委譲され・・・と話が続くのです。

「真実の瞬間」(Moment of Truth)は、マーケティング用語となり、顧客がその企業・商品・サービスを判断する瞬間として、略して「MOT」と呼ばれるようになりました。

さらに2002年、株主へのレターの中でP&G(アメリカ)のアラン・ラフリー氏が「FMOT」(エフモット)、「SMOT」(エスモット)という概念を提唱し、自社のマーケティング手法として活用しました。

「FMOT」とは「First Moment of Truth」の略で、「最初の真実の瞬間」
「SMOT」とは「Second Moment of Truth」の略で「2度目の真実の瞬間」

調べますと、この概念は、2005年にウォールストリートジャーナルに掲載されることで一般への認知が進んだようです。

FMOTが、消費者が店頭で買うかどうかを決める瞬間です。
店頭プロモーションの重要性につながり「店頭で欲しいと思ってもらう」活動につながります。「商品コンセプト」がしっかりしていて、商品のデザインや販促物を通じてお客様に伝わるかがポイントとなります。

SMOTが、消費者が購入後その商品を使用する瞬間です。
使って良かった、と思ってもらうための「商品パフォーマンス」と同じような概念で、リピートするか、口コミを広げてくれるか、つまり売れ続けるかどうかに影響します。

続いて2006年、ピート・ブラックショー氏(元P&G)によって、「TMOT」(ティーモット)という概念が提唱されます。
「Third Moment of Truth」(3度目の真実の瞬間)です。
消費者が製品を使用し続け、ファン化し、人にすすめたくなる瞬間です。個人的には広義のSMOTと感じられ、梅澤メソッドの「商品パフォーマンス」に含まれるように感じます。
但し、SMOTまでは、「期待通りの価値提供」ができればリピートしていただけるのですが、TMOTで人にすすめていただける、熱烈なファンになっていただくには「期待を超える価値提供」ができなければなりません。

さらに2011年にGoogle社が提唱した概念が「ZMOT」(ズィーモット)。
Firstの前だからZero、「Zero Moment of Truth」です。

現代社会では、買う前にインターネットを検索し、オフィシャルな商品情報の他、SNSの口コミなどで情報収集し「店に行く前に買うものを決めている」のです。
Googleの調査では、お店に行く前に70%〜80%買うものを決めているそうです。
ZMOTの元になるのが、その商品のファンによるTMOTの思い、口コミです。

最近流行の「アンバサダー(直訳すると『大使』、そのブランド・商品の認知向上の役割を担う人)マーケティング」もTMOTを重要視して、ZMOTの判断に役立つ情報発信を増やそうという取り組みと言えるでしょう。

我々のような食品分野での意思決定プロセスは若干違っていそうですが、「ギフト」や「お土産」、「通信販売」ではそういうことが多そうです。

最近私が購入したものを振り返っても、ほぼ全て事前にインターネットで調べて何を買うかを決めています。
レストランでの食事も、インターネットで下調べして良さそうな店を探します。
皆さんもそうではないでしょうか。

TwitterやInstagramで「伍魚福」を検索すると、好意的な投稿をたくさん見つけることができます。とてもありがたいことですね。
一つひとつの投稿にお礼コメントをしたいところなのですが、気持ちわるがられるといけませんので(笑)、「いいね」だけさせていただくことが多いです。

伍魚福ファンの皆さんに「欲しい」と思っていだだけて、「買って良かった」と思われるような、そして、「人にすすめたい」「プレゼントしたい」と思っていただける、買う前に、さらにお店に行く前から買おう、と決めていただける(ZMOTにも思い出していただける)ような商品作り、お客様の期待を超える価値提供ができる商品作りを目指します。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan