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価格転嫁力と生産性(中小企業白書2020年度版より)

中小企業白書2020年度版、「第2部 新たな価値を生み出す中小企業」「第3章 付加価値の獲得に向けた取引関係の構築」。
今回は、「第3節  取引関係と中小企業」「取引適正化に向けた取組」より「価格転嫁力と生産性」です。
以下、特記した場合以外、引用は中小企業白書2020年度版から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

「価格転嫁力」とは、中小企業白書2014年版で登場した、仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できたかどうかを測る指標です。

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上記の図は、2014年版の白書に掲載されたものですが、材料費が100万円から110万円に上昇した時に、販売価格が130万円から140万円にできれば、付加価値額は30万円で変わらないので、価格転嫁力はプラスマイナスゼロ、ということになります。
私個人的には、これだと利益率は下がるので、本来ならば付加価値額も材料費の値上げ率(10%)と同率で高めた33万円にして、販売価格は143万円にしたいところです。

「価格転嫁力」の変化は、仕入価格の変動及び、販売価格の変動が影響しますが、仕入価格が上がっても、販売価格を上げられないケースがよくあります。タイムラグも発生しがちです。

次の図は、製造業における価格転嫁力を大企業と中小企業で比較したものです。

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バブル崩壊後、大企業と中小企業の価格転嫁力格差は徐々に拡大し、リーマンショック時がピークとなっています。
その後、若干改善傾向にあるものの、格差の大きい状態が続いていることがわかります。

次の図は、製造業における中小企業と大企業の一人当たり名目付加価値額上昇率とその変動要因を見たものです。

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中小企業の実質労働生産性の伸び率は、総じて年率3~5%程度となっており、大企業とあまり差はありません。しかし、価格転嫁力が弱いため、中小企業の生産性(一人当たり名目付加価値額)伸び率が1%程度と低い状態になっています。

円安ドル高による、輸入原材料の値上げ、水産資源の枯渇による原材料高、運賃値上げ、人件費上昇など、あらゆる分野でコストが高まってきています。これに対して、販売価格をあまり上げず、身を削って対応してきた結果、日本の企業の生産性が世界でも下位に低迷している理由のひとつです。

伍魚福でも3月より一部商品の価格改定を実施する予定です。
お客様にきちんとご説明し、納得してご利用いただけるように努力を続けなければなりません。

★エンターテイニングスパイラル図

それが結果として、協力工場の皆さんへの還元にもつながり、「伍魚福エンターテイニングスパイラル」の実現にもつながると信じています。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan