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経営を評価する「成熟度モデル」〜「経営品質」その5

組織の経営を評価する「世界標準」である「経営品質」。
今回は、どうやってその経営を評価するのか、という話です。

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組織の経営は、社員が主体となる社会システムであり、意思や感情を持った人間で構成され、多様性に富んだ複雑なものです。
また、時間の経過とともに変化するものでもあります。

そんな中、会社の目指す方向性、その目的の達成するために各組織、各職務、一人ひとりの社員の活動がきちんと繋がっているのか。
そこでの行動・対話・思考方法・組織が持つ能力の状態の違いを「成熟度」という形で包括的に評価します。

「成熟度モデル」とは、組織の改善・革新の方向性を認識するために、未成熟な組織と成熟した組織を比較し、組織の状態がどのように違うのかを明らかにしたものです。

アセスメント(評価)によって、現状の自分たちの成熟度を明らかにし、段階的に次の成熟度を目標として改善・革新を重ねていくことで、より高い成熟度の状態を目指します。

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以下、経営品質協議会の説明を引用します。
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フレームワーク

経営品質を向上するには、どの組織にも共通してあてはめられる枠組みを用いて経営全体をアセスメントすることが大事です。それが「フレームワーク」です。「組織プロフィール」と「8つのカテゴリー」で構成されています。

「組織プロフィール」とは、8つのカテゴリーの基盤となる位置づけです。組織の「理想的な姿」に対して、提供価値、顧客、競争、経営資源について、現状と環境変化を整理して、変革の方向性や経営課題を明らかにするものです。

「カテゴリー」は、どの組織にも共通する経営全体を見る要素を8つに分類したものです。それぞれのカテゴリーから経営活動の状態を多面的に評価するとともに、カテゴリー間のつながりも見ることで、複雑な要因が絡み合う課題を多様な視点で深く掘り下げることができます。
各カテゴリーには、さらに区分された17のアセスメント項目で構成されています。実際の審査におけるアセスメントは、このアセスメント項目単位で実施することとしています。

全体を表すものが下の図です。各カテゴリーの()内は、1000点満点の配点です。アセスメントを行うことで、「組織の成熟度」がわかるとともに、点数化することが可能です。

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(出典: https://member.jqac.com/contents/index.asp?patten_cd=12&page_no=22 )

1  リーダーシップ(100)
2  社会的責任(50)
3  戦略計画(50)
4  組織能力(100)
5  顧客・市場の理解(100)
6  価値創造プロセス(100)
7  活動結果(450)
8  振り返りと学習(50)

「基本理念」や「重視する考え方」を使って「理想的な姿」を具現化するためにこの「フレームワーク」を使ってアセスメントを行います。アセスメントは経営の実務を評価するのですが、常に「基本理念」や「重視する考え方」をふまえて思考や対話をすることが大切です。実務を、概念に立ち返ってアセスメントする「理論的な整合性」が重要です。

その一方で、「概念構成」という理論が重要でも、実際の経営資源や環境を考えると実務上実行が難しい場面もあります。アセスメントは結果を行動に移し、成果をあげることが大切です。「実務につながらない」ことは意味がありません。実務上無理はないかという「実務的妥当性」を検証することもあわせ大切なことです。

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要するに、理想的な姿を「組織プロフィール」にまとめ、
組織の全ての活動が、一人ひとりの社員まで、その実現に向けてつながっているか、
そして、それらがきちんと改善され、成果につながっているかということを評価するのです。

カテゴリーによる、判断する観点は次のとおりです。

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理想的な姿の実現に向けて、きちんと展開されているか。
各取組みが上位目的と一貫性があり、部門や業務間で整合性を持って実施されているか(統合されているか)。

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振り返りと学習がきちんと行われ、やりっぱなしではなく、再発防止、さらには、未然防止ができる状態か。

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プロセスや事業成果についての「結果指標」が正しく(妥当性がある状態で)設定され、測定されているか。

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そしてそれが、3ヶ年(3測定点)にわたり改善傾向にあるか。
目標達成の状況はどうか。

このような観点でそれぞれ「D」から「AAA」の6段階で評価します。

「方法 振り返り」評点ガイドラインからいくつか紹介します。

Dレベル=評点0%
 展開・統合:理想的な姿の実現、変革のための戦略課題の達成に
       必要な取組みが実施されていない。
 改善・革新:問題が大きくなるまで対応できていない。

こんな組織もありそうですね。

Bレベル=評点30%または40%
 展開・統合:理想的な姿の実現、変革のための戦略課題の達成に
       必要な取組みは一部実施されていないものもあるが
       概ね実施されている。
       部門や業務間の協力関係が醸成されはじめている。
 改善・革新:結果および結果を生み出したプロセスから課題を
       認識し、主体的に改善・革新に取組みはじめている。
       発生した問題の根本原因を追究し、プロセス改善を
       行いはじめている。いくつかは再発防止の対応に
       結びついている。

Aレベル=評点50%または60%
 展開・統合:理想的な姿の実現、変革のための戦略課題の達成に
       必要な取組みが実施されている。
       部門や業務間の協力関係を構築し、連携が図られている。
 改善・革新:結果および結果を生み出したプロセスから課題を掘り下げ、
       主体的に改善・革新に取組んでいる。
       発生した問題の根本原因を追究し、プロセス改善を行い、
       再発防止の対応が常態化している。
       より高い価値を創造するための学習に目を向けはじめて
       いる。

伍魚福の過去のアセスメント結果では、この「B」から「A」あたりが多いです。
一方、最高レベルは、次のとおりです。

AAAレベル=評点90%または100%
 展開・統合:理想的な姿の実現、変革のための戦略課題の達成に効果的な
       独自の取り組みが継続的に創造されている。
       組織運営の原理・原則が組織内外で定着している。
       それを前提とした自律的な相互連携が常態化している。
 改善・革新:結果および結果を生み出したプロセス、思考プロセスや
       対話プロセスを振り返り、多様な視点から深く課題を認識
       することで将来に対する洞察が深まり、未然防止の対応が
       常態化している。
       より高い独自の価値を創造するための学習を継続的に
       行っている。

ここまで行ければその取組みは最高です。

「結果」についても6段階の評点ガイドラインがあり、それぞれの配点を掛け算して、加え、1000点満点での点数を算出します。

それが「評点総括」となります。

Dレベル=(~99点)
  改善に向けた取り組みが見られない。

Cレベル=(100~299点)
  過去の枠組みの中での改善にとどまっている。

Bレベル=(300~499点)
  改善が定着し、求める価値の実現に向けた革新に向かいはじめている。

Aレベル=(500~699点)
  求める価値の実現に向けて革新している。

AAレベル=(700~899点)
  革新による学習により新たな価値を生み出している。

AAAレベル=(900点~)
  革新軌道により最高の価値を生み出している。

「C」から「AA」レベルには100点刻みでそれぞれ「+」(プラス)と「−」(マイナス)が設定されます。

伍魚福が「関西経営品質賞優秀賞」を受賞した時のレベルは、「B+」でした。
1000点満点で400点台というのは、学校のテストだと、かなり低レベルですが、経営品質の理想がかなり高いので、まあ優秀、ということになります。

日本経営品質賞を受賞するには、600点を超えた「A+」レベルでなければならないと言われています。
過去最高だったと言われているのが川越胃腸病院さんで、800点を超えているという噂があります(点数は公開されていませんので)。

伍魚福もさらに「成熟度」を高めるため、努力を続けていきたいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan