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中小企業における価格転嫁の実態(中小企業白書2020年度版より)

中小企業白書2020年度版、「第2部 新たな価値を生み出す中小企業」「第3章 付加価値の獲得に向けた取引関係の構築」。
今回は、「第3節  取引関係と中小企業」より「取引適正化に向けた取組」より「中小企業における価格転嫁の実態」です。
以下、特記した場合以外、引用は中小企業白書2020年度版から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

直近1年の原材料・仕入価格、人件費、エネルギーコストの動向です。

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いずれのコストについても、「低下」したという企業は少ないです。
どういう要因で低下したのか詳しく聞かせて欲しいです(笑)。
特に人件費については、全ての業種で半分以上の企業が「上昇した」と答えています。

各コストの変化に対する価格転嫁の状況を見ていきます。

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製造業、サービス業の従業員規模の小さい企業ほど「転嫁できなかった」とする企業が多いことがわかります。

「サービス業」にどんな分類が入るかを調べると、次の通りでした。
大分類G(情報通信業)のうち
 中分類38(放送業)
 中分類39(情報サービス業)
  小分類411(映像情報制作・配給業)
  小分類412(音声情報制作業)
  小分類415(広告制作業)
  小分類416(映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業)
大分類K(不動産業、物品賃貸業)のうち
  小分類693(駐車場業)
 中分類70(物品賃貸業)
大分類L(学術研究、専門・技術サービス業)
大分類M(宿泊業、飲食サービス業)のうち
 中分類75(宿泊業)
大分類N(生活関連サービス業、娯楽業)
 ※ただし、小分類791(旅行業)は除く
大分類O(教育、学習支援業)
大分類P(医療、福祉)
大分類Q(複合サービス事業)
大分類R(サービス業<他に分類されないもの>)

ざっと見るとコストに占める人件費の割合が高い業種が多そうです。

業種ごとのコスト構造の違いが、調査結果にも現れています。

原材料・仕入価格の変動に対する価格転嫁状況です。

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コスト全般のグラフと同じような傾向ですね。

労務費の変動に対する価格転嫁の状況です。

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特徴的なのは「製造業」で「転嫁できなかった」とする企業が多いことです。伍魚福でもそうですが、価格改定を行う理由として、原材料・仕入価格の変動が一番影響が高いので、よく理解できます。

エネルギーコストの変動についての状況です。

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コスト全体に占めるエネルギーコストは、転嫁できなかった、という回答が多いです。
「原材料」「労務費」と比べるとコストに占める比率が低いと思われ、その結果がアンケートにも反映されているようです。

BtoBの企業が「価格転嫁」するためには、商品・サービスを利用いただく顧客と話し合い、合意しなければなりません。

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価格転嫁が概ねできた、一部転嫁できた企業が発注側事業者に協議を申し入れているのは、当たり前ですね。
価格転嫁できなかった企業でそもそも「協議を申し入れることができなかった」のが44.1%もあります。競合企業との関係を配慮してのことなのか、発注側企業が協議を受け入れない体質を忖度してとかの理由なのでしょうか。

そもそも「交渉機会」が設けられているかどうかの調査結果です。

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これも当たり前ですが、交渉機会が設けられていると、受注側事業者も価格改定を申し入れやすくなります。

白書では、発注側事業者に交渉機会を提供するような「取組が期待される」という微妙な表現で呼びかけを行っています。

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伍魚福では、毎年商品カタログの改定の際に協力工場の皆さんに価格改定のアンケートを取り、協議を行うこととしています。
その代わり、次のカタログの改訂までは、価格の維持をお願いしています。
原材料の高騰等、想定外の事由があった場合は、個別の協議をします。
工場の皆さんとのWIN-WINの関係を維持しなければ、良いスパイラルが回っていると言えませんので。

価格転嫁できない理由の説明があったかという設問です。

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説明なく価格転嫁を受けない企業が37%もあるのが驚きです。
これは改善すべきですね。白書では「真摯に対応することが期待される」と少し強めの表現になっています。

販売先の数別での価格転嫁状況です。

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販売先の数による差は、他の要因よりも少ない印象です。
販売先が10社まで、という企業で「概ね転嫁できた」「転嫁できなかった」がそれぞれ多くなっています。販売先との関係性が二極化していると読み取ることができます。

取引依存度別での集計結果です。

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製造業において、取引依存度が高い企業ほど「転嫁できなかった」という回答が多いです。依存度が高すぎると、価格交渉しにくくなるのでしょうか。

受注側企業に「優位性」があるかどうかでの集計結果です。

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価格交渉力を持つためには、受注側が強みを持っていることが必要です。アンケートでもそういう傾向にあることが読み取れます。

実際に価格転嫁できたかどうかの結果にもつながっています。

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価格転嫁の成否別に見た、優位性の差の一覧です。

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製造業では、商品やサービス自体の優位性はもちろんですが、「提案力・企画力」「アフターサービス」の優位性がプラスに働くことが読み取れます。

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サービス業においても「提案力・企画力」がトップ、続いて「アフターサービス」「ブランド力」となっています。

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その他の業種(建設業、卸売業、小売業、金融業その他)でも「提案力・企画力」がトップとなり、以下「供給力」「製品の機能・サービスの独自性」と続きます。

当然ですがどの業種でも「総合的な優位性」があるかどうかがポイントとなります。
自分の企業の強みをさらに伸ばし、お客様に評価されること。
伍魚福でも商品のおいしさ、おもしろさだけではなく、いかに「共感」を持っていただけるかを考え、提案力やサービスレベルの向上に努めていきたいと考えています。


最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan