システム開発会社における経営視点とは

だいぶ記事を書くのをサボっていて反省しながら記載しています。
今日からGO TO トラベル キャンペーンらしいですが、もうCovid-19の数字はどうでも良いんですかね?

さて、立場上、メンバー(主にPMやブリッジSEなど)に「経営視点がない」という趣旨のフィードバックをすることも多いのですが、そもそも経営視点って何?というのを記載したいと思います。(自分のために・・・)
一般論としての「経営視点」ではなく、システム開発会社としてみる経営視点です。
メンバーからすると、YNSの経営(主に私)や、お客様(の担当者というよりは経営者、決裁者)の視点ということですね。

前に社内向けに行ったフィードバックとして、社内とお客様への配慮はしているが、経営を考えていないという事を言いました。
社内向け配慮とは、残業が多くならない、技術的にチャレンジできる、コミュニケーションが円滑、仕様変更が少ない、など。
お客様向け配慮とは、見積額の適切さ、納期の順守、柔軟性、品質の高さ、など。では、経営向けの配慮とは?

いくら適切な見積もりで納期内に質の良いものを残業なく納品していたとしても、結果的に利益の出ていないプロジェクトになっては元も子もありません。
お客様向けの見積もり金額が世間一般の相場からしても妥当だったものだとしても、その中身のプロジェクトマネジメントが洗練されていなかったり、各開発者の質が悪かったりで余計な工数がかかるようでは、結果的に利益が無くなります。

営利組織である以上利益を求めるべきであり、利益がない会社は存続も成長も出来ません。
利益を出すために開発会社は仕事を受注し、納品して対価を得るわけですが、経営者視点がないPMやブリッジSEというのは目的がプロジェクトを完遂する事になっていて、目的と手段を取り違えているわけです。

上記はプロジェクト開始後の話ですが、プロジェクト開始前も同じです。
見積もりを作成するという業務があり、これがなかなか厄介です。

システム開発の見積もりというのは、大体「何をどうやって作りたいか」が曖昧な状態で見積もり依頼されるケースが多いです。
「どうやって」はプロである我々が考えて提案する事で問題ないですが、「何を作るのか」すら曖昧なのははっきりいって非常に多いですが困ったものです・・・

見積もり業務というのは、契約前ですのでこれだけでは費用が発生しません。(会社によっては、見積もり提案料を取る会社もあるかもしれませんが、弊社はそんな交渉力がないため出来ません。)契約がないものに対しては出来るだけコストを最小化したいものですが、社内向けの配慮が強くなると、そこのコストを惜しまず投資し、見積もりという名の「要件定義やコンサル」を契約前に行い、契約後のブレを無くそうというバイアスがかかります。

ただ、これをやらないで曖昧な状態で見積もりを出し、それで契約をすると、何を作るか明確でない状態でスタートするため、プロジェクト開始後の運営難易度が上がります。PMの采配で上手くQCDのバランスを取る必要が出てきますが、なかなか簡単ではないです。

そういった不確定要素を取り除きたいがために、契約前に不確定要素を潰して契約後は契約したものだけやりたいという意図で上記のように進めていることがあるようですが、それは本当に顧客のためになっているのか?とも思います。

契約前にいくら要件定義をしたとしても、お客様がその要件定義書を見て完全に完成形をイメージできるものでもないですし、それをやれと言われるとお客様にとってはかなりのプレッシャーになります。また、仮に後になって要件定義に盛り込むべきだったものに漏れが見つかった場合は、それは仕様変更ということになり追加見積になります。

そうすると、お客様の担当者は、その上の決裁者に追加見積の決済を取ることになりますが、その理由としては「要件定義に抜け漏れがあったから」と言わざるをえず、決裁者からすると担当者の落ち度に見えます。
そんな仕事の進め方で果たして真に良好な関係が気づけるのかというと疑問です。

自分が発注者だとしたら、「とりあえずこんな感じの要件で進めますけど、違うところがあれば遠慮なく言ってください。出来る限り何とかしますので!ただ、少し工数にバッファは入れさせて下さいね^_^」という提案をしてくるPMや営業に依頼したいものです。これ自体は発注者視点と言えますが、発注者と良好な関係を築くことが経営に対しても良いことは言うまでもありません。

ただ、こんな感じで受注した場合は、宣言通り「出来る限り何とかする」ことが求められますので、先に記載した通りPMの采配力が試されることになります。ただ、それが実現できれば、また頼みたくなるパートナーとして見てもらえる可能性が高いです。

という感じで、弊社も全員にそういう視点を持たせられているかというとまだまだ全然ですが、少なくとも会社としてはそうありたいと考え日々切磋琢磨しているつもりです。


フィリピン開発拠点の立ち上げやマネージメントや主に日本でのBizDevなど。