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トヨタとスバルが電気自動車のメディア向け試乗会に込めた思いを深読みする

自動車専門メディアだけでなく、一般メディアでもトヨタが電気自動車の本格的な量産・市販をはじめたことが話題となりつつあります。それもこれも、トヨタとスバルが共同開発した電気自動車(トヨタbZ4X・SUBARUソルテラ)のメディア向け試乗会が開催されたからでしょう。

かくいう小生も、そのメディア向け試乗会に参加することができ、それぞれのモデルに2~3時間ほど乗って、このSUVスタイルの電気自動車が持つパフォーマンスや仕上がりを体感することができました。

bZ4Xとソルテラはキャズムを超えるか?

自動車専門メディアに寄稿する際は、マニアックな目線が求められますので、サスペンションやオーディオのセッティングがどのように違うかなどディテールにフォーカスした原稿を書いたりするわけですが、あえて第一印象を一言でまとめると「初物にしてはそつなくまとめた電気自動車」というもの。言い方を変えると、電気自動車らしい刺激はマイルドにしてありますし、尖った性能もアピールしていないと感じられたわけです。

それは、下にリンクを貼ったコラムの中でも書いているようにアーリーアダプターから大衆へと普及が広がるために越えなければならない「キャズムの谷」を大いに意識した乗り味という風にも理解すべきというのが、個人的な印象でもあります。

急速充電インフラの課題をアピールするルート設定

しかし電気自動車を普及させるには、クルマ単体の仕上がりだけでは不十分というのも、よく知られているところでしょう。基礎充電と呼ばれる自宅や職場での普通充電(コンセントなど)の整備は欠かせませんし、公共的な急速充電器による経路充電の充実も必須。

クルマとインフラが両輪となってユーザー満足度を上げるよう進化することが電気自動車の普及には必須といえるのは確実です。

そうした点も頭に入れて、著名モータージャーナリスト諸氏の評価を見ていると、クルマとしての仕上がりは別として、急速充電インフラの貧弱さを指摘する内容も少なくない模様。簡単にいえば「クルマはよくできているけれど、こんなインフラでは満足いくカーライフは遅れない」という評価といえます。

電気自動車オーナーとして3年以上を過ごしてきた自分としては、急速充電器の性能差があるという指摘は、なにを今さらと感じる部分もありますし、また今回の事例を日本全体の話として大きくするのもミスリード的と感じる部分もありますが、実際に同じ公道試乗会に参加した一人としては、そう感じるのもやむなしと思うのも正直なところ。

ここだけの話、今回のルートにおいて経路充電できる急速充電器は古いものが多く、最新の電気自動車に使うには貧弱な性能であることは否めないレベルでありましたから。

しかし、それは偶然だとは思えないのです。

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