若者に蔓延するファストスキルによる差別化の問題についてスロースキルとはなにか

 とある言説で、Z世代はファストスキルによる差別化を図ろうとしてる、という話を聞いたので、一度ファストスキルとスロースキルの違いについて40過ぎた私が述べてみようと思う。

 まずファストスキルについては、ネットで調べたら出てくるようなこと、例えば英単語のrewardとはなにか、を聞かれたときにスマホで「reward 日本語」と調べて、「報酬」という日本語が出てきてそれを伝える速さみたいなものです。
後は映画を倍速で早く観て3hで3本の映画を見ること、またはタイパ的な能力を指します。

 逆にスロースキルについては、ネガティブな言い方に聞こえますが、例えば、
朝7時にちゃんと起きて電車に乗って学校や会社に行くこと、
高校生が一日2h勉強をする習慣を身につけること、
大学4年間で専門の学士を取得すること、
難関の資格に5年から10年かけて得ること、
自分の働いている会社で3年間勤め上げること、
恋人と5年以上付き合いを続けること、などがあげられます。
このスロースキルは昔で言う人生経験というものです。

じゃあスロースキルの良いことは何かというと、習慣化です。
この習慣化された人間の経験は何年経っても忘れないということです。

例えば私は先週カレーライスを20人前作る機会がありました。
けれど普段は全然料理をしないけれど、覚えていました。
それは20年前に1年間ほどカレー屋で20人前のカレーを一日2鍋ほど作っていたからです。
だから20年ぶりにカレーを作らなければいけないときに、具材の数とかをネットで調べたりしましたが、実際調理するときには昔の感覚を思い出して1hくらいで作ることができました。
たまねぎの切り方からじゃがいもの皮むき、肉の炒め方から下地の煮込み方も鮮明に覚えていました。
 これがスロースキルのメリットです。

 では本論に戻ると、Z世代はファストスキルで差別化を図ろうとしてると言う話です。例えばジャンプをいかに早く読んでそのあらすじを周囲にネタバレし俺はすごいんだという差別化を図りがちだという話です。
その風潮が蔓延しているので、例えば40歳以降の人間は使い物にならないとか、俺達20代こそが世の中を動かす基盤だとかいう極論になります。
けれどファストスキルでしか差別化を図れない人に難解な問題や専門的な問題を任せることはできるのでしょうか。
 例えば政府の政策委員会に20代の人が入って議論をする、極端に言えば、日銀の政策金利決定委員会に20代の人が参加したところでなにをいえるのでしょうか。
例えば、私も学生時代受けた日銀では(当時は私は生意気すぎて怒られたけど)、20代前半の学生なんて少し経済かじっただけで金利とはなにか、利上げの影響はなにか、インフレと実態賃金の乖離によってどういった国民に影響を与えるのか、財務省と日銀の本質的な違いはなにかなど、今思えば、20前半の学生にこれを理解し、また実行に移せるだけの力を得るにはスロースキルによって日々偉い人からしばかれないと得られないものだなーと思います。

 これがスロースキルによる本来の正当な差別化です。
しかしながら今はファストスキルによる差別化を日本ではとりいれていてて、その採用基準が若い人、というのです。

 しかしながらいずれ人は年を取り結婚をして子を生み老後になり死を迎えます。
そういうときに生き残る術はスロースキルによる経験です。
 なので世の中がファストスキルによる差別化を図っていますが、私はこういう時代だからこそ生き残るためにスロースキルを習得し続けていかないと生き延びていけないですよ、という本論でありました。

 読んでくれてありがとうございます。


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