副業を許可する場合の注意点

1.はじめに
新型コロナウイルス感染拡大により主に酒類の提供をする飲食店、旅客運送、観光事業が大変厳しい経営状況に陥り雇用調整助成金で何とか雇用を維持している現状です。

しかし先行き不透明であり、労働者の生活の安定の為に副業を認める企業が増えていました。

副業を認める際の注意点についてまとめてみたいと思います。

2.副業をどこの収入の補填にするのか明確にする

副業ですから主たる勤務先は自社です。
副業先はその減少した収入の補填をする為のものです。

賃金を所定労働時間に対する対価である固定的賃金と、時間外労働に分けて考えます。

固定的賃金をカットする様な場合には副業は向いていません。
この場合は雇用調整助成金で対応すべきです。

副業の許可は時間外労働減少による収入の減少に限り認める事が望ましいと考えます。

その理由は自社が主たる勤務先であり、副業はその補填であり、例えば人員整理する際に正社員からパートタイマーにする場合等、恒常的に人件費の抑制を実施するのであれば固定的賃金をカットする副業も認める事は問題ありませんが、そうでなければコロナ禍前の収入が確保できるまでの暫定措置という位置付けですから時間外労働ち対する賃金の減少を補填する目的であるという事を明らかにすべきです。

そうしなければ自粛明けに人員不足が起こります。

永遠にコロナ禍ではありません。
自粛明けに人員不足では制度融資をはじめとする借金を返す為の売上と利益の確保はできません。

経営者の視点としては、今は売上減少の緊急事態。
自粛明けは、借入金返済の緊急事態との認識のもと、経済活動にアクセスが踏まれたら直ちに企業活動を再開できる準備をしなければなりません。

3.労働時間の通算
副業がフリーランスなどの個人事業主や親族や友人が経営する企業の取締役などを除き労働時間は通算されます。

割増賃金だけではなく、残業規制も通算されます。

ですから副業を認めるという事は、自社の時間外労働の法的に許容される時間数を他社に譲っているという事なのです。

この点からも副業を認める理由を労働者に明確に示して、あくまでコロナ禍での労働者の生活の安定の為の臨時的な施策であるという認識の共有が大事になるわけです。

恒常的に副業を認めるのは、人員整理の解雇回避義務の一環として行う場合に限られます。

労働者の生活の安定の為の副業であればコロナ禍での臨時的な時限的措置という位置付けを明確にしなければなりません。

4.労働時間の把握

労働時間は通算されますから割増賃金や残業規制に影響があります。
主たる勤務先は自社ですから、自社の労働時間を踏まえて、副業許可に際して、副業に従事する労働時間の上限を明示するべきです。

これを行わないと副業を認めたが故に残業をさせられないという事態が生じます。

これでは自粛明けの人員不足を招き、借入金返済に影響が出て倒産につながります。

ここは非常に大切な考え方です。

副業先の労働時間も、自社の労働時間との認識をもち、管理する必要があります。

5.まとめ

副業を許可する場合には、会社の考え方と労働者の考え方が違うとトラブルに発展します。

会社が副業を認める場合には、その理由を明確にして、時限的なのか、恒常的なのかを明らかにする必要があります。

これを怠るとトラブルの原因になります。

この視点でお話をしているレポートは少ないので皆様の参考になれば幸いです。

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