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日本一の桜を守る「弘前公園の桜守」

今回は日本一の桜を守る「弘前公園の桜守」ができた背景をご紹介したいと思います。

世の中は依然コロナ禍の最中にありますが、今年もまた桜の季節がやってきました。
私の住む街にある弘前公園には、日本最古のソメイヨシノをはじめ約2600本もの桜があり、圧倒的な花のボリューム感や、見頃がちょうどゴールデンウィークに重なることもあり、日本一の桜祭りとして毎年多くの人が訪れます。

(弘前公園の桜守)
私が働かせていただいていた弘前市役所には、日本一の桜を毎年見事に咲かせる人たちがいます「弘前公園の桜守」です。
弘前の桜を管理する技術は、りんご栽培の技術を参考にしており、「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」という諺とは真逆で桜の枝を毎年伐っていくことで圧倒的なボリューム感のある花が観る人たちと同じ目線で楽しめるように管理しています。

(危うかった桜の管理体制)
そんな日本一の桜ですが、私が弘前市役所に赴任した頃の「管理体制」は日本一にはそぐわない危ういとも思える状況でした。
当時は、唯一の樹木医である小林さん(NHKのプロフェッショナル仕事の流儀でも紹介された)が中心となり日本一の桜を守っていました。
小林さんは当時残り数年で退職という年齢で、また体調不良を抱えており、これまで通りの仕事を続けていけるか不安に感じましたし、彼の技術を直接受け継ぐ市の職員が傍らにいませんでした。
私は、日本一の桜を特定の人に頼って管理していることやその後を受け継ぐ人材を育ててこなかったことに驚きとともに、桜を誇りに思う弘前市民の一人としてある種の憤りにも似た感情を覚えました。

(桜を守る新たな組織づくり)
私は、当時人事を担当していたので、すぐに人に関する情報を集めました。その中で
①市の外郭団体に樹木医の資格を取る見込みの女性職員がいること
②市役所の農林部門に樹木医を目指している意欲的な若い職員がいること
などの情報が入りました。
私はすぐに人事の担当者と相談して、
①日本一の桜を将来にわたって持続的に管理するための組織を新設すること
②市の外郭団体にいる女性職員が希望するなら特別に市の職員として採用すること
③農林部門にいる若手職員を、弘前公園を管理する公園緑地課に異動させること
④小林さんを定年後も雇用すること
の方針を定め、市長に提案し了解を得たうえで
⑤3人のチーム名を「桜守」と名付けました。
今年も、この3人が中心となり日本一の桜を毎年見事に咲かせてくれると思います。

(おわりに)
日本一の桜を守る「弘前公園の桜守」は、以上のような経緯で組織化されました。
欧州統合の父と言われているフランスの政治家「ジャン・モネ」は、
「何事も個人なしには始まらない。しかし組織なしには継続しない。」と言っています。
弘前市民の誇りである日本一の桜を見事に咲かせ続ける「組織」として「弘前公園の桜守」がいつまでも活躍することを心から祈るとともに、みんなでコロナを乗り越えて世界中から多くの人が弘前を訪れ心から桜を楽しんでいただける、そんな世の中に早く戻ってほしいと切に願います。

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