「会計」は世界共通の概念なので、文化や習慣を軽々と超えますが、「人」はそういう訳にはいきませんので。
こんにちは。公認会計士の山本です。
私は、日本の根本的な問題は、
会計で信用が創れていないことにあると考えています。
「会計で信用が創れていない」とはどういうことか、と言えば、
一例を挙げると、
銀行が企業にお金を貸す時、企業から財務諸表を提出してもらい、内容をチェックし、問題がなければ、お金を貸します。
一見、「会計で信用が創れている」ように見えます。
しかし、その財務諸表自体が正しいか、という、
根本的な部分を、銀行は検証しません。
そのため「日本の」銀行は、
会社の所有者に、個人保証を入れてもらう訳です。
即ち、究極的には、「人」で「信用」を創っている訳です。
多くの経営者が高齢化し、事業承継が急務となる中、その最大の障害である個人保証について、なるべく取らないように、と、国が銀行に指導しているにも係らず、銀行が個人保証を中々、外せないのも、結局、会社が作る数字が信用できないから、という根本的な問題があるのだと思います。
私が Note で書いている「中小・中堅企業の海外展開」でも、
ドイツの中小・中堅企業は、現地の人間に任せることが出来るから、10社、20社、30社、それ以上と海外子会社を持つことが出来るのに対し、
日本の同規模の企業は、現地の人間に任せられないから、海外子会社が4~5社もあれば、精一杯ということになるのも、
結局、同じことで、
我々が「会計で信用を創っていない」からな訳です。
「会計」は世界共通の概念なので、文化や習慣を軽々と超えますが、「人」はそういう訳にはいきませんので。
まあ、しかし、
例えば、ドイツ企業の経営者と話したりすると、
その人が、会計の細かい知識などはなくても、
会計が「信用」を創る、という認識は、
骨の髄まで染みついているように感じるのですが、
日本企業の経営者と話しても、それが感じられないのは、
やはり、その大元となる文化や歴史、考え方の差なのだと思います。
まあ、ただ、「人」で「信用」を創る方法が、
至るところで目詰まりを起こしていることを考えれば、
敢えて、意図的に、
そういう考えを取り入れても、良いのではないかと思います。
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