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精進料理に目覚める3歩前 #41

旅がらすに変身してからの数ヶ月。
思い切り羽根をのばすことに集中して
己の欲望に正直に従っていたワタクシである。

つまり
これはこの土地でしか味わえないものだからと
口にしたいと思ったものはとことん口に放り込んで

愛していたけれどアトピーさんが喜ばないようにと
泣く泣く縁を切ったはずのカップやきそばの元へは
旅がらすとなって思い切り伸ばして羽根は思いのほか
すんなりと届く事さえあったのである。

小麦粉を6割ほど自粛解除して
カラスでありながら鶏肉にも手を伸ばし続けて
数ヶ月。

アトピー氏が出てこようとウズウズし始めたその瞬間だけ
精進料理さんに泣きついて助けを求めて

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アトピー氏が大人しくなったのを見計らって
パンやサンドイッチやペ◯ングに手を伸ばしていたワタクシである。

トーストの焼ける香りと淹れたてのコーヒーの香りが
スルスルと鼻の奥へと入って朝を報せに来たならば
せっかく朝を報せてくれたのだからと
サクサクの食パンとふんわり湯気の立ちのぼるコーヒーで
優雅な1日をスタートさせたり


逆に歩き疲れてベッドに沈み込んで迎えた朝は
朝食なんぞの為にせっかく閉じている瞼を開いてたまるものかと
出来る限り布団の上に滞在する時間を延ばした挙句
時間がないからとマンガの主人公の如くパンをくわえて
駅へ向かって街中を駆け抜けて



珍しく早い時間にお宿へと戻れたからと
普段なかなか再生ボタンを押すことのない動画で腹を抱えながら
眺めるペ◯ング食べ比べの様子に刺激された
ワタクシの腹の虫が
無視出来ない程に騒々しく欲するペ◯ングを
探し回って購入して
そして湯を注ぐ。

そうこうしながら小麦粉さんと微妙な距離感を保って
旅がらす活動に勤しみながら数ヶ月の時を過ごしてきたのだ。


真っ黒な旅がらすとして飛び立ったはずが

とことん小麦粉に塗れて真っ白なカラスに変身してしまいそうである。


まあ。
それはそれで美しそうではあるのだが。

白いカラスになるまでを振り返ってみると
どうやらパスタとうどんとラーメンの間はすり抜けて
南から北へ西から東へ移動してきたようである。



しかしながら
飽きっぽさにもとことん自信を持っているワタクシである。
鼻に飛び込んでくる添加物の香りを腹の虫が無視するようになった頃。

腸はワタクシが小麦粉製品を口にする度
超過敏に反応するようになり


超絶不調なんですけど

とゴロゴロ音を立てて怒りを露わにするようになったのである。


うむ。

こうなったら暫し自炊を再開しよう。

そう心に決めたワタクシは
今更ながらオートミールに手を伸ばして
お酒の神さま大山咋さまにご挨拶に行った
松尾大社前の漬け物屋さんで酒粕を手に入れて

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精進料理に目覚める3歩前生活を
少しずつ再開することに決めたのである。

南の島では手に入らない食材に久しぶりに再会を果たして
ウハウハ浮かれながら台所に立つ。

さて。
オートミール酒粕もワタクシには初めましての食材である。
椎茸カブは数年ぶりの再会。


そろそろ今夜の晩御飯の支度を始めよう。



あ。


そうだった。
これを1番に伝えておきたかったのであるが
相変わらず勢いのあるダジャレさんが先に飛び出してくるので
すっかり後回しである。

ここ数ヶ月羽根を伸ばしていたとはいえ
この精進料理に目覚める3歩前生活をスタートさせる以前
確か2年くらい前?のように

アトピー氏は抑えきれないほどの暴走はしていない。

更に。
ワタクシ春だけお付き合いをしている花粉症さんという
お相手がいるのだ。

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春になると毎日毎日欠かすことなく風に乗って
思いを届けに来ていた花粉症さんである。

その重いくらいの想いに毎日無意識のうちに涙を流し
涙のみならず鼻でさえも水を流して

花粉症さんの存在を感じていたワタクシであるが

花粉の届かない南の島で暮らしていた数年の間に
どうやら花粉症氏はワタクシに
あまり興味がなくなってしまったようである。

暇そうな時だけ鼻の奥へと飛び込んでくるのだが
涙を流すほどの再会は果たしていない。

ワタクシに対する情熱の薄くなった花粉症さんは
呆気ない程にくしゃみと鼻水に押し出されて帰っていく。
何というか自粛ムード?

花粉症さんからワタクシに対する以前のような
何があっても諦めない揺るぎない情熱は
もう感じることが出来ないのである。

花粉症さんはワタクシと
付かず離れずの距離感を保ちたいようである。

ソーシャルディスタンスってやつらしい。

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花粉症さん結構流行りに敏感なようである。


さて今度こそおしまい。

それではまた次回。
ワタクシと酒粕とオートミールで再開する自炊を綴っていこう。

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