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2020年4月の記事一覧

オンライン演劇覚書3

今日たまたまそういう場面を目撃したのだが、『未開の議場』のようにオンライン会議の画面をそのまま見せるのではなく、オンライン会議の参加者の様子をその室内に設置されたまた別のカメラから捉えた映像を使うと多少なりとも「演劇らしさ」が増して感じられるのではないだろうか。

おそらくそれは「オンライン会議に参加する」という行為を引いて捉える=その行為の全体を「やって見せる」形になるからだろう。現実と嘘の二層

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オンライン演劇覚書2

ところで、私が思う「演劇らしさ」、私が演劇に期待するもの、私が何かを演劇であると感じるときの判断基準になっているものは何かというと「嘘」である。正確に言えば、「嘘を嘘と知りながら真に受けることを前提とした奇妙な形式」ということになるだろうか。もちろんあらゆるフィクションは多少なりともこのような側面を持つのだが、演劇の多くは生身の俳優が別人を演じるというかたちを取るのでその「あからさまな嘘」が意識さ

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オンライン演劇覚書1

昨日、「『未開の議場』-オンライン版-」を観た。脚本・演出はカムヰヤッセンの北川大輔。もともとカムヰヤッセンで上演した戯曲をリメイクして「「商店街のお祭りの実行委員会が、オンラインで会議をする」という設定の、生放送の会話劇」に仕立てたらしい。「俳優は稽古から本番まですべてを、Zoomというオンライン会議アプリで行」い、観客は「会議の様子を、YouTubeLiveで配信」しているものを観る。北川は「

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村川拓也『ムーンライト』@京都市西文化会館ウエスティ ホール(2018.12.16.)

村川拓也『ムーンライト』はピアノの発表会を題材にした演劇作品だ。なぜピアノの発表会か。この作品はロームシアター京都×京都市文化会館 5 館連携事業「地域の課題を考えるプラットフォームCIRCULATION KYOTO – 劇場編」の一環として上演された。公式ホームページによれば同事業は「京都市の中心部を囲むように点在する5つの文化会館を線でつなぎ、芸術文化の視点から京都という都市を見つめ直すプロジ

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Counting Sheep@Vault Festival 2019 in London

2019年3月にロンドンでCounting Sheepという作品を観た。
Vault Festivalというフェスティバルの参加作品で、ロンドン滞在中に観たもののなかでこれが一番面白かった。お国柄か、ロンドンで観た作品のほとんどがストレートプレイで、質は高くても(10本ほど観て面白くないと思ったのはダンスの1本だけ)物足りなさを感じていたということもあったかもしれないが、それでも私が2019年に観

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新聞家『保清』レビュー

他者としてのテクストと対峙することを通して人と人とが向き合う場と営為を創出してきた演劇カンパニー・新聞家。主宰の村社祐太朗はこれまでも、多くの作品で毎回の上演後に観客を交えての意見会を設けるなど、上演前後の時間も含めた「場」の構築に取り組んできた。今回の『保清』において村社は9日間出入り自由のオープンスタジオを用意することで、そこに生じる多様な関わりのありようを浮かび上がらせてみせた。

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