サメを知るために、サメを描く——【サメ愛好家イラストレーターめかぶさん・インタビュー】
世界のサメをくらべることができる図鑑、『くらべてわかるサメ』。
本書ではサメたちを、すべてイラストでくらべています。
リアルな描写ながらもわかりやすく可愛らしい。そんな印象のサメイラストですが、それらは全て、サメ愛好家イラストレーターめかぶさんの描き下ろし。その点数は、なんと150点!
前著『世界のサメ大全 サメ愛好家が全身全霊をささげて描いたサメ図鑑』と合わせると300近くのサメイラストを書籍用に描いているめかぶさんですが、はたして「サメ愛好家イラストレーター」とは? そして愛好家が語るサメの魅力とは? めかぶさんにインタビューし、存分に語っていただきま
した。
■ヒゲの細部の模様までこだわる
——今回、150種ものサメを紹介している本図鑑ですが……その中でも、「ここには是非注目してほしい!」といったポイントなどはあるでしょうか。
めかぶ:サメって結構、柄があるものが多いのですよね。有名な映画の『ジョーズ』に出てくるホホジロサメとか、水族館で人気のシュモクザメは無地なので、あまりイメージがないかもしれないのですが……。
——確かにそうですね。サメといえばグレーとかそんな感じのイメージです。
めかぶ:でも意外とサメって柄があるものが多かったりするんですよ。なのでそこは注目していただけたらなと。
——あ! このオオセの仲間とか。確かにいろんな模様があります。ヒゲとかも違いがあって面白いですね。
めかぶ:体の模様やヒゲの部分もそうなんですけど、特にオオセのヒゲの柄を描くのは大変でした。
——ヒゲの柄!? あ、本当だ…‥。確かに模様が入っている……!
——ここもオオセの大事なポイントというか‥…個性というか、そういうところを描いていただいたのでしょうか?
めかぶ:そうですね。
サメはやっぱり種類が多いので、 他の図鑑さんとかも参考にさせていただくことがあるのですが、こういう違いがあったんだと描くたびに色々新しい発見が毎回うまれます。小さな形の違いで名前が違うなど、奥深いのがサメです。
■最後の最後まで修正した、ボンネットヘッドシャーク
——本書はアクアワールド茨城県大洗水族館に監修していただきましたが、先ほどのオオセの模様の細かい違いみたいなのも、 アクアワールドさんにしっかり監修いただいたところなのでしょうか。
めかぶ:柄については特に修正依頼はありませんでしたが、ヒゲをもう少し多めにしてほしいとか、前の方だけちょっと長くしてほしいとかはありましたね。そういった、すごいちっちゃなこだわりというか、「もうちょっとヒレの形はこういう風にした方が、より近くなる」とか、やっぱりアクアワールドさんに監修してもらって、 よりリアルに近づけることができました。
——逆に言えば、この複雑な柄についてはめかぶさんの方で完璧に描かれたということですね……! すごい、職人技です。
めかぶ:いやいや! でも、そう言ってもらえるとありがたいです。
——カバーにも入っているボンネットヘッドシャークは、「もう少し頭に丸みがあった方良い」といったことをアクアワールドさんに指摘いただいて、最後の最後まで修正されていましたね。
めかぶ:そうですね。2〜3回、もうちょっと丸く、もうちょっと丸くというご指摘がありました。
——私なんかでは、2つとも同じ画像では!?ってくらい、ビフォーアフターでどこが違うのかわからないぐらいです……。でも、そういった細かな違いまでしっかりチェックいただいたアクアワールドさんと、アクアワールドさんの修正を反映し実物に近づけるめかぶさん。双方のこだわり方がすごいですね……!
■コワモテだけどおとなしいサメ
——今回、めかぶさんで特におすすめなサメはおりますでしょうか。
めかぶ:私が1番好きなのが、シロワニというサメです。こう、シロワニってすごい顔が、コワモテなんですよ。歯がむき出しになってて、体も大きいんですが、意外と性格は臆病っていうか、おとなしい性格なんですよね。そこのギャップが可愛いなと思ってて。
めかぶ:比較的、水族館さんでも見れる大型のサメではあるんですが、水族館の水槽で泳いでる姿見てても、早く泳いでることってあまりないんですよね。動きも早くなくて、のろって泳いでる感じです。
——歯が剥き出しで、コワモテなのにおとなしい大きいシロワニ! それはぜひ、水族館で実際に見てみたいです。
めかぶ:生態も面白くて、生まれてくるまでがなかなか壮絶なんです。シロワニのメスは子宮が2つあるんですけど、それぞれの子宮の中で子どもたちが未受精卵を食べたり、食い合いをしたりして、最終的に各子宮から1匹ずつ生き残って産まれてくるんです。
——生まれてくるまでにものすごい競争があるんですね……。
■サメを知るために、サメを描く
——めかぶさんは「サメ愛好家イラストレーター」ですが、もともとイラストレーターとして活躍していた中でサメを描き始めたのでしょうか。それともサメが好きでイラストを描き始めたのでしょうか。
めかぶ:サメが好きになって本格的にイラストレーターになったって形です。美大には通っていたのですが、広告デザインとかポスターを作るとか、電車の中吊り広告のようなポップ を作るとか、そういうデザイン的なことを学んでいて、当時は一切サメは取り扱ってなかったです。これを言うと驚かれるんですけど、 サメに関わらせていただいたのが、実はここ6年ぐらいなんです。
——えっ!? 6年!?
めかぶ:個人的にサメを勉強したいっていうことから描いていたのですが、描いたイラストをSNSで発表していたら、幸運にも前の本の出版社さんから本の出版のご依頼いただいて。その時の本と今回の『くらべてわかるサメ』で著作が2冊になりましたので、本格的にイラストレーターとして活動していこうかなと。
——勉強するためにイラストを描く、というのがすごいですね。めかぶさんが、サメを勉強し始めた理由というかきっかけはあるのでしょうか。
めかぶ:たまたま古代ザメの動画を観ていたら、ビビビっとなんかサメが来て……。最初はサメのでかさに驚いたんですけど……そこからサメを学ぶというか、自分で個人的にサメの勉強をし始めて。サメを勉強したいっていうことから描き始めたのがきっかけです。
——ビビビっと!(笑) 急にきた感じなんですね!
めかぶ:そうですね。もともと『ジョーズ』のイメージがあるから、頭の中に「サメ=ホホジロザメ」っていうのだけはあったんですけど、 知るたびにサメって幅が広くてすごいなって。大きさも、大きいサメからちっちゃいサメ——ちっちゃいのだと、もうこう、手のひらに乗るぐらいのやつまで色々いて。それに、私がサメを好きになったきっかけが古代ザメからだったんで、やっぱりサメは人間よりも前から存在してるっていう、その歴史の深いところがすごい魅力を感じますかね。
——歴史の古いサメ……。今回「くらべてわかるサメ」でも、古代ザメを何種か紹介していますよね。
めかぶ:そうですね。「くらべてわかるサメ」ですと、ラブカとかカグラザ
メ、エドアブラザメとかは古代ザメの部類に入りますね。
めかぶ:こんなにたくさん描かせていただいていても、描かせていただくたびに、違う発見とか、こんなことあったんだとか、毎回勉強になっています。
■サメ以外にも、深海魚やカエルも好き
——今後、イラストレーターとして挑戦していきたいことなどあるでしょうか。
めかぶ:今は、いろんなたくさんのサメを描かせていただいていますが、深海魚とか、他のジャンルにも挑戦していきたいなと思っています。あと私、他にもカエルも好きなので、カエルとかも描かせていたけたらなと。まだ勉強中ではあるのですが……。
——サメ以外にもいろんな生き物がお好きなんですね。
めかぶ:はい。ただ、もし今後もサメで何かやらせていただくのであれば、 水族館さんとかでも何かコラボとかできたら嬉しいなとは思います!
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取材後も、「サメは子供向けの図鑑は多いとは思うんですけど、今回の本は大人の方にも楽しんでいただける内容になっているので、ぜひ、大人の方も興味を持っていただけたら嬉しいです。」と語るめかぶさん。ありがとうございました!
●めかぶさんがイラストを担当された新刊『くらべてわかるサメ』、好評発売中です!
『くらべてわかるサメ』
アクアワールド茨城県大洗水族館(監修) めかぶ(イラスト)
販売価格 1,980円(本体1,800円+税10%)
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