【読書感想文】童話の裏側、赤ずきんが見た真実とは？『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

西洋童話を新しい視点で描いた連作短編ミステリです。シンデレラやヘンゼルとグレーテルなど、おなじみの物語がミステリーとして再構成されています。

物語は、主人公の赤ずきんがシンデレラの物語に遭遇するところから始まります。しかし、シンデレラは舞踏会で失踪し、ガラスの靴は血まみれ。次に、ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家を発見するも、二人は行方不明。眠り姫は100年の眠りから覚めた後、謎の死を遂げます。

このように、童話の裏に隠された暗い側面いた本作のテーマは、「童話の裏に潜む真実」。明るく楽しい童話の世界に、新たな解釈を加えた物語が展開されます。

また、巧妙なトリックと謎解きも本書の魅力です。シンデレラのガラスの靴の謎、ヘンゼルとグレーテルの秘密、眠り姫の死の真相、マッチ売りの少女の事件など、各エピソードに散りばめられた謎が物語を引き立てます。そして、全編を通じて隠された「大きな謎」が、最後に明かされることで、すべてのエピソードが一つの大きな物語として繋がります。

童話とミステリの融合を見事に果たした本作は、新たな発見と楽しみを提供してくれる一冊です。