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【読書感想文】異界の花が紡ぐ、愛と成長の物語『守り人シリーズ(三)夢の守り人

守り人シリーズの三巻目では、バルサの幼なじみのタンダが異界の〈花〉に魂を奪われてしまい、バルサが彼を救うために奮闘します。

そんな本書のポイントは、夢を守るというテーマが深く描かれていることです。夢って、人の心の奥底にあるものですよね。しかしタンダは、異界の〈花〉に魂を奪われて、自分の夢や記憶を失ってしまい、それが彼にとって大きな気づきになるんですね。バルサも、タンダを救うために自分の夢や恐れと向き合います。守るって行為も、ただの責任や義務ではなく、本作では愛情や選択として描かれています。

本書を読んでみて、私は特に、バルサとタンダの関係が心に響きました。二人は幼い頃から一緒に育ち、互いに信頼し合ってきました。しかし、タンダが危機に陥った時、バルサは初めて自分の愛情を自覚し、タンダに対して積極的になるんです。二人の関係は、恋愛だけじゃなくて、友情や家族みたいな深い絆で結ばれています。それは、二人の会話や表情、仕草に、互いへの思いやりや愛情が溢れている描写からありありと伝わってくるんです。

その意味で、この物語の核心は、「人と人との絆」じゃないかとも思えました。そんな、友情や家族としても深く結ばれた二人の関係も物語に深みを与えてくれます。

本書はただのファンタジーではなく、人間の心や社会の問題を深く掘り下げた作品でもあります。バルサとタンダの関係を中心に、登場人物たちの感情や成長がリアルに描かれていて、心理描写が豊かな作品が好きな人には、特におすすめです。


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