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降り落ちる雨は、黄金色#15

 コンビニに着き、二人の大好物なキャラメルコーティング・ポップーンをカゴに放り込んだ。

 新商品の棚を見ると新しい味のポテトチップスを見つけた。醤油味ベースの蟹のエキスが入った新商品の値段は、普通のポテトチップスと比べると割高で五十円ほど高い。二人ですぐに消えそうだねとか、無くなる前に一回位買ってみようかと話した。

 コンビニの新商品の棚は、猛スピードで変わっていく。試してみたいと思った時には無くなってしまう。だから、すぐに消えてしまう新商品には敬意と感謝の念を込めている。いつも話題を提供してくれてありがとう。

 ミスドや、スタバまで行かなくてもそれなりの味のものが買えるコンビニにノーベル平和賞を贈りたい。

「飲み物どうする?」

「コーヒーブラック」

「よく飲めるね」

 「あまい物たべると苦いの、欲しくならない?」

「…そうかな」

 私はコンビニで、コーヒーが出来上がるのを見るのが好きだ。空の紙コップを置きボタンを押すと、透明の容器に詰め込まれた、小さなコーヒー豆が私の為だけに、ワシャワシャと音をたて働いている様で微笑ましい気持ちになる。なんか可愛い。

「外で食べたいね」

「公園いく?」

 佳代と私はコンビニの近くにある公園へ向かった。この公園は春になると、桜が満開になり都内でも有数の花見スポットとなる。 

 公園のすぐ近くにはドブ川が流れて、陽の光を反射して光っている。こんもりとした腐葉土を歩くと、赤茶色の落ち葉がスニーカーの 間に入りそうになった。地面が柔らかい。このままどこまでも沈んでいきそうだ。

 私達は、川が見渡せる木製のベンチに私達は座った。ベンチに座り空を見上げると銀杏の葉が太陽の光を浴び、空の半分が黄金色に輝いている。

 近くの広場から子供だけでサッカーの練習をしている声が聞こえた。家族連れは美味しそうな 物を食べている。親子で仲良くキャッチボールをしている。日光浴をしているおじさんは、 眠たそうに何処をじっと見つめている。散歩 中の柴犬は嬉しそうに走っている。此処には休日の全てがあった。

 風が吹き佳代の長い睫毛が、空にむかって浮き立っていた。 私はずっと見惚れていた。

つづく

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