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しほちゃんは、ういている#9

しほちゃんが熱中症でたおれた。

 きょうは「ポケモンGO」のコミュニティデイ。数時間だけ、特定のポケモンが大量発生する日だ。駅前では、スマホを触っている多く人で賑わう。みんな伝説のポケモンを狙っている。彼女のお目当ては、この日限定のサングラスをかけているゼニガメだ。炎天下の中で水分補給もせずに、3時間以上も休憩もとらずに遊んでいたら、突然ぶっ倒れた。彼女はその後、救急車で搬送された。駅前の自動販売機を見ると、ポカリスエットやアクエリアスも、いろはすも全て売り切れになっていた。

しほちゃんは病室のベットでずっと白い天井をみていた。

 エアコンが効いてる室内にいるのに体温がまったく下がらない。頭痛がする。トイレに行くだけなのに眩暈がする。からだが、まったく自由にうごかない。彼女はじぶんを心底憎んだ。
見知らぬ部屋。知っている人が誰もいない空間は彼女を憂鬱にさせ、心細くさせた。

何もする気がしない。

 しほちゃんは、気分転換のために売店に向かった。そこで果汁100%のりんごジュースを買った。病室までの道の茶色いベンチで休んでいると、大学生にナンパされた。

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