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トイレが壊れて仕事の何たるかを悟った気がした

トイレのレバーを動かしたとき、いつもと違う感触に嫌な予感がした。
いつもなら、確かな手応えがあって、水が流れる。
手応えが、ない。
空振りだ。
そして、水は流れてこない。
どどど、どうしよう???


落ち着け。
まずはとりあえず、バケツで水を流し込もう。


ふう。第一関門はクリアしたぞ。
さて、この次、どうしたものか。


とりあえず、タンクの蓋を外して中を確かめてみる。
長年放置しているタンク内の汚なさといったらない。
しかし、それどころではない。
原因を探らねば。

あれこれ観察して、どうやらレバーを動かすとタンクの栓が上がり、その分だけ水が流れる構造であることが分かった。
なるほど、大と小ではこの栓の上がり具合が違うんだな、うまいこと作ったなー、などとタンクの構造を考えた人に心の中で拍手する。
水が流れない原因は、その、レバーの動きを栓に伝える連結部分が外れていることだった。
ということは、これを元に戻せば、また普通に水が流れるわけだ。

はめてみた。
引っ張ってみたら、スッポ抜けた。

あら?

何度かやってみたが、何度やってもスッポ抜ける。
困った。
経年劣化で、連結部分の凸と凹のどこかが折れたのかも。

騒いでいる私の声を聞きつけて、夫が様子を見にやってきた。
二人で、ああでもないこうでもないと相談する。
輪ゴムでくくるか?いや、くくれんやろ。
針金巻いたら?狭すぎて作業するの無理。
ボンドで留めようか?留まるんかな?耐水性ボンドってあるの?

結局、夫がボンドに挑戦している最中に、なぜかスポッとはまったらしい。
はめ方に、なにかコツというか向きとかがあったのかもしれない。

レバーを動かすと、水が流れる。
おおお!トイレでこんなに感動したことがあっただろうか!
トイレを作ってくれた人、ありがとおおおおお!

というわけで、現在は、また外れるかもしれないとドキドキしながらの、なかなかスリリングなトイレライフを送っている。


今回、こんなちっぽけな仕組みが外れただけで、トイレ全体が機能しないのだと思い知らされた。
そして、自分の仕事のことをふと考えた。

メディアを作ろうと思う人がいて、方針を決めて、キーワード考えて、ライターや編集者や校正者を集めて、構成作って、記事書いて、校正して、入稿して、公開設定して、ようやく記事は読んでもらえる状態になる。
このステップのどこかが止まったら、全体が止まる。

他の仕事でも同じだ。
どんな仕事も、その一つひとつが、全体を機能させるのには欠かせない。
トイレのレバーの動きを栓に伝える連結部分のように。

ライターなんて小さな仕事だよな、なんて落ち込んだこともあるけれど、いやいや、そうじゃないな、とトイレを見て気がついた。
全体を動かすためには、どんな仕事もなくてはならない。
私は私の仕事をすればいいんだ。
堂々と。

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