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子どもの頃からずっと、発想力を求めてる話


いちばん欲しい能力は「発想力」

 世の中には「◯◯力」がたくさんありますが、人によって欲しいと思うのは違います。
 私が欲しいのは、発想力です。
 誰も聞いたことがない面白いことや、あっと驚くような打開策を、生み出す力です。

奇想天外な発想に嫉妬した思い出

 時折思い出す度に「あの子みたいに面白いことが思い付けばいいのに」とうらやましくなる記憶があります。
 中学2年の国語の授業で、小説を書くことになりました。
 数ヵ月かかって皆完成に近づいた頃、先生が隣のクラスのA君の小説のあらすじを紹介しました。

 「あるカップルが、ホテルに行くんです。ところがエレベーターに閉じ込められてしまって、どうやって脱出しようか悩みます。
 そのエレベーターは、シンドラー社(当時問題になっていた)だったっていう……。
 なので、『シンドラー社の恐怖』っていうタイトルです。
 そしてカップルはふたりとも男性で、しかも幼稚園児です。
 無事に脱出できるのか、そもそもなぜそのふたりはホテルに行こうとしたのか、気になりますね。」

 皆が「A君の小説、キモい」と嘲笑う中、私は戦慄で震えていました。
 「カップルがホテルに行く」という、中学生なら気になるシチュエーション。
 シンドラー社のエレベーターという、タイムリーな題材。
 幼稚園児の男の子ふたりという、謎多き設定。
 何という、奇想天外な発想でしょう。
 ありふれた恋愛小説を書いていた私は、嫉妬心で胸がいっぱいになりました。

弁理士の仕事も、発想力が問われる

 知財を扱う業務においても、発想力が必要とされることがあります。
 例えば、商標登録出願に対し拒絶理由通知(特許庁からの「この商標は登録できませんよ」という通知)を受けた時の対応です。
 
 通常は、「拒絶理由通知の根拠となった商標法の条文に該当しない」などと反論します。
 しかし時には、商標法より上のパリ条約を持ち出すといった、斜め上を行く発想力が登録へと導きます。

まとめ

 私の発想力は、まだまだ発展途上です。
 それでもいつか、誰かを嫉妬させるような発想ができる人間になれれば、と思います。
 (A君、どうしてるかな……?)

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