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【002】言葉はまるで雪の結晶、でも~東京2025デフリンピックを応援しよう!

■障がい者スポーツセンターは、いろんな音でいっぱい!

 障がい者スポーツセンターではいろんな音が聞こえます。ボールが跳ねる音。プールの水の音。ビームライフルの電子音。視覚障がいのある人の卓球(サウンドテーブルテニス)の球の中にある鈴の音。もちろん、ひとの声。白杖で床を確かめる音。車いすをこぐ音――。

 実は先日、館内を歩いていると、人気バンド「Official髭男dism」の「Subtitle」が聞こえてきました。音楽を使ったスポーツ教室や利用者さんのスマホから曲が聞こえることもあるのですが、こういうヒット曲を聞くことは、あまりありません。

 「珍しいな」と思いながら、私は、「紬(つむぎ)や想(そう)、湊斗(みなと)はあの後、どうなったんだろう」と考えていました。

 「Subtitle」は、俳優の川口春奈さんや、アイドルグループ「Snow Man」の目黒蓮さんらが出演したフジテレビ系ドラマ「silent」の主題歌でした。ご覧になっていた方なら、この曲を聞くと、私のように、ドラマのシーンや、ロケ地の駅などを思い出すかもしれません。主人公・紬(川口さん)と、中途失聴の元カレ・想(目黒さん)との再会や、鈴鹿央士さんが演じる「今カレ」で、想の親友の「湊斗」ら周囲を巻き込み、登場人物がみな揺れ動く様子が印象的な内容でした。

■聞こえない人、聞こえにくい人の「デフサッカー」

 このドラマでは、高校時代にサッカー選手だった「想」が、聞こえなくなって初めて仲間とボールを蹴る場面がありました。日本障害者サッカー連盟のウェブサイトは、障害者のサッカー7競技を紹介しています。このうち聞こえない人、聞こえにくい人の「デフサッカー」は、聴覚障がい者のオリンピック「デフリンピック」の正式競技です。

東京2025デフリンピックのPRポスター=大阪市長居障がい者スポーツセンターで

■デフリンピックって?

 デフリンピックは1924年にパリで初めて開かれ、パラリンピック(1960年のローマ大会が第1回)よりも、長い歴史があります。パラは、日本では64年東京、98年長野、2021年東京と、計3回が開かれましたが、デフリンピックはアジア全体でも2009年に台湾で開かれただけです。そのデフリンピックが、2025年に東京にやってきます。その内容は、「東京2025デフリンピック 大会ポータルサイト」で知ることができます。


 長居、舞洲の両スポーツセンターは、デフリンピックやデフスポーツを応援したいと考え、館内にポスターを張って
います。また、Youtubeの「大阪市障がい者スポーツ振興チャンネル」では、手話ができる東口紘也指導員(舞洲SC)が講師を務め、手話講座「グッチの部屋~手話を学ぼう~」を公開しています。


 紬は、想に会えなかった8年間を埋めようと、手話教室に通いました。「グッチの部屋」は50講座あり、スポーツに関する手話が、今すぐ学べます。「Subtitle」の歌詞にあるように、言葉はまるで雪の結晶のように消えていきます。でも、思いとは言葉で紡いでいかないと、伝わらないものですよね? 「グッチの部屋」の詳しい紹介は機会を改めますが、ご興味のある方は、ぜひ、こちらへ。