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カレーとお祭り

一番好きな食べ物なに?
これみんな絶対に聞かれまくってきたと思う。
同時に答えまくってもきたと思う。

僕はこの10年くらいカレーって答えてる。

あぁカレーね!えぇな!うわ〜カレーの話したいしたらカレー食べたなって来たー!
こんな感じで終わるんがほとんど。
でもたまに、

どこの?
が来る。
どこの?
がどこからともなく来る。

こうなるともう僕のカレーの話スイッチはオンになってる。

店ちゃうねん〜。家のカレー。そう、家カレー。

おかんのとか??

ちゃうねん〜、実家のんとかちゃうねん〜。

こだわって作ってるとか?スパイスからとか??

ちゃうねん〜、普通にジャワカレーとかやねん〜。

隠し味があんの??

ちゃうねん〜、特にないねん〜。みんなと一緒のやつやねん〜。

ほな何がそんなえぇの??

俺は今まで一人暮らししたことなくて、誰かと同居生活しかしたことないんやけど、仕事とかから帰って来たときに、ただいまー言うてドア開けた瞬間にふわ〜っとカレーのえぇ匂いが鼻の奥まで美味しそうでしょ〜してきて、え!え!今日カレーなん!?うそん!え!とか思いながらリビング行ったら同居人が台所で鍋に火かけて混ぜてて、こっちは今日カレーとかなんも言うてへんかったやん〜みたいな笑顔でパンパンなって、そいつもそいつで嬉しそうな顔して、黙ってたんやで〜みたいな笑み浮かべて、もうご飯炊けるからな〜待っててや〜みたいな表情で炊飯器のタイマーのとこ覗いたりなんかして、いやご飯食べて来てたらどないするつもりやってん〜の動きで部屋着に着替えて、、、もう!!!、、、好きや!!!!

俺は予期せぬタイミングで食べる家カレーが一番好きや!!!!!!!

喜ばしてあげたいという気持ちがトッピングされて最高や!!!!!

今まで俺に予期せぬタイミングでカレーを振る舞ってくれた人達!
ほんまにありがとうな!!!!!

気温もあがって夏の気配を感じてます。
子供の頃は完全に夏派。圧倒的に夏派でした。日焼けなんかすればするほど良い。
親が運転して大きい車で旅行に行くときに、一番後ろで日差しを浴び続けて目的地までいったこともある。
夏の方が子供の僕にとっての楽しい遊び多かった。
花火、プール、海、虫取り、キンキンの麦茶。いや、最高。
中でもお祭りが自分の中では大きいものやった。

僕の地元にはだんじり祭りがある。
岸和田で知られるあの木の大っきい車みたいなん!
え、知らん?
ほなちゃんと説明したろ。

大小2つに分かれた独特の破風屋根を持つ曳き山で、多くの彫刻が組み込まれてて、刺繍幕や金の綱、提灯やぼんぼり、旗・織などの装飾が施されている。主に欅(ケヤキ)を用いて造られており、コマには松が用いられる。

いや、わからんわ!だんじりの説明の活字ー!説明の活字ー!

ほな、これでどうや!!!!

みなさんおわかりいただけただろうか。
だんじりこんなイメージの人多ない?
これだんじりちゃうで!
だんじりとお神輿のイメージ一緒なってる人多いと思うねんな〜。

ほんで、これ!お神輿ちゃうねん!
「いや、ちゃうんかえ!!」
色々種類あるねん。ごめんな。騙したみたいなってしもて。
これはふとん太鼓やねん!お神輿に太鼓載ってて、人が乗ってその太鼓た叩きながらみんな肩に小さい布団みたいなんかまして担ぐねん。

んで、これがお神輿!

お神輿は人は乗らへんねん。
担いでる上のところに神様いてるから人が乗って神様にお尻向けたりするのは良くないとされてるとかやったと思う。
僕の地元にはお神輿はなかったのでそこまで詳しくないです。すんません。
「ほな、書くな!」
えぇやないか!!寺社仏閣、神仏、日本の固有文化詳しいん渋いやろ!!
すいません、野次にあつくなってしまいました。本題に戻ります。

で、これがだんじり。

かっこえぇわぁ。
このだんじりは地元の杭全神社のだんじり。野堂東組。町(ちょう)の名前です。
このだんじりは上だんじり(かみだんじり)といって、岸和田のだんじりとはまた違う種類。
簡単に言うと大阪の上の方なので上だんじり、大阪の下の方なので下だんじり。
だんじりの構造も違い、曳き方も違う、見せ場も違うし、お囃子も違う。
おんなじ様でいて全く違う、それぞれの良さがある。
ノエル・ギャラガーとリアム・ギャラガーの感じです。OASISの。
詳しい人達からしたら、
いや、ノエルとリアム全然ちゃうがな!
でしょ!そうなんです。だんじりも違うんです。

このだんじり囃子を聞くだけで小学生の僕は狂喜乱舞していた。
今でも目瞑ると、遠くの方で大太鼓の響く音と鐘が鳴り響く音が薄っすら聞こえてゾクゾクしたん覚えてる。ずっと覚えてる。

夏休みに入る少し手前。7月の頭。夏の暑さがまだ本気やないとき。地元のだんじりの試験曳きがある。試験曳きは本番じゃないけど、実際にだんじりを曳く、予行練習的な習慣なんやと思う。ご祝儀を頂いたりもあるんやろうけど。
中学生の僕は部活を終えて家に帰りおかんの飯をちゃちゃっと食べて、友達との待ち合わせ場所へと急ぐ。
友達と合流し、自転車に乗って耳を頼りにだんじりを探す。
古い昔の家とかが連なったところを自転車で走る。
コンコンチキチンチキチンコンコンという鐘の音が薄っすら聞こえる、その方向に向かって一心不乱にペダルを漕いだ。どんどん音は大きくなる。
最後の曲がり角や!と思い、曲がる、目の前にだんじりが現れる。ゾクゾクゾク。
その時の興奮は最高としか言いようがない。色んな経験して来たけどあれに似てるもんも全然ない。あれはあれだけのもんやった。
友達とこれいつかやりたいな〜って。言いながら帰ったりした。
完全に憧れやった。

高校生になり、だんじりの青年団に入れることになった。
その一緒に見に行ってた友達のおじいちゃんがだんじりの人やった。だんじりに施されてる彫り物の宮大工とかをやってた人やった。わしの孫たち面倒見たって言うてくれはって入った。
最高やった。
入ったらヤンキーまみれやった。中には小さい頃からその町でだんじりと一緒に大きくなった生粋のだんじり青年もいたが、基本ヤンキーまみれやった。
もちろん、歳上も歳下も。ほぼウォーキング・デッド。僕がリックでヤンキーはウォーカー。
僕はヤンキーじゃなかった。サッカー真面目にやってきた、ただのだんじり好き。
しかもキーパーや。サッカー始めたときからキーパー。珍し。だんじり好きのキーパー。
ヤンキーたちに睨まれても俺はあのじいちゃんのツテや!と、これほどツテを頼りにしたことはなかった。負けん気だけは強かった。負けん気でツテを握りしめるだんじり好きのキーパーやった。キーパーは手広げなあんのに、ギチギチにツテ持ってた。

僕はだんじりに入って一つ、目標があった。
屋根に乗りたかった。だんじりの屋根。花形。
だんじりの上でお囃子に乗せて踊る様はヤンキーであろうと格好よく見えた。ヤンキー好きちゃうのにやで。
でも、ここはとても大きなお祭りでだんじりの規模もでかかったし、人数も多い、その競争して屋根に乗るとなるとすごい時間がかかるなと思っていた。

そんな時、違う友達から俺のところ秋祭りでそっちもだんじりあるねん!見に来るか?って言われて見に行った。

全然違った。吉田たちくらい違った。ゆうへいとこうへいくらいの差があった。
空気感、屋根での見せ方、だんじりの曳き方、同じ上だんじりやのに全然違った。ヤンキーはヤンキーやった。でも、なんか少数精鋭な感じがした。チャラついてはなかった。
終わってからそこの人たちと色々話させてもらって、そこのだんじりで色々やらせてもらうことになった。

鳴り物、お囃子の練習や、龍踊りの練習、だんじりのコマを水につけたり、だんじりの肩背(かたせ)という前に突っ張った柱を縄でしめたり、色々やった。
週に何度も練習に行った。
僕らの地域は天満囃子というお囃子で大太鼓一つ、鐘2つ、小太鼓一つ。
それに龍踊りという手を龍に模して動かす独特の踊りがあった。
天神祭りの屋形船でやってるやつ。わかりますかね?

これです。
これを死ぬほど練習しました。
この踊りと鐘。
4寸の撞木(しゅもく)と呼ばれるハンマーみたいな形をしたものでタライみたいな形をした鐘を叩く。これをひたすらに練習。
えぇ音でるとか出ないとかじゃないんねん。ほんまに一生叩く。ずーっと。腕パンパンなる。それを耐えれないとうまく叩く余裕なんてのはない。
楽譜とかないから太鼓のリズムだけを聞いて鐘は対応する。太鼓のきっかけでお囃子がどんどん変わっていく。縁を叩き創めたらそろそろ次の展開に行くタイミング近づいてるなとか。そういう細かい音を聞き分けれるようにならないといけない。馴染むまでやる。
太鼓には個性が出る。えらい縁叩く人とか、バチで縁をカラーーーってのをえらいやる人とか、バチくるッとTOKIO松岡くん思い出させる人とか、叩いてるときずっと目つむってビタビタに浸ってはる人とか、シンプルに大声出すうるさい人とか、太鼓潰したいんかなってくらいパワー系の人とか。
そのな太鼓がリードする阿吽の呼吸がいるからひたすらに叩く。
コンチキチンチキチンチキチンコンコン。
叩き続けると手の皮がめくれて血が滲むのがわかる。
叩き終えると手の骨はきしんで片手じゃ撞木を話せないのでもう片手で指を一本一本めくるように離していく。でも死ぬほど自分に酔っている。俺ボロボロやん。
憧れのあれ、こんなお腹いっぱいやらせてもろてるやん。べろ酔い。泥酔である。

僕は屋根に乗りたかったので龍踊りの練習をたくさんした。
これは地域によって違うんやけど、ここはだんじりが走ってるとき屋根で龍踊りをする。バランスが取れない状況で踊るのは本当に難しいし、何より怖い。
龍踊りは最初は恥ずかしい。当たり前に。めちゃめちゃ恥ずかった。でも、慣れてる人たちの格好良さに触れるとどんどん魅力が膨らんでいった。恥ずかしさもとれて真剣に踊り続ける。踊っていると自分なりのこだわりも出てくる。お囃子は聞いて覚える、踊りも見て覚える。この龍踊りは間違えるということがない。音に合わせて両手を龍に見立てる。それだけ。
おじいちゃんとかが限りなく小さな動きとかで踊ってたりする。それがとてつもなく格好よく見える。無茶苦茶長い年数かけて無駄な動き削げていってこの人のこの人だけの形にたどり着いてるんやな。すごいなと関心した。

練習に行くと同世代の女の子たちもいた。ヤンキーやけど。
だんじりには女性は乗れない。女性が土俵にあがれないといったのと同じ様な風習がだんじりにもある。でも、だんじりに魅せられる女性も多い、ヤンキーやけど。
事務的なことをお手伝いしたりしていたかな。女性がハッピを着て髪の毛を飾ってお祭りに参加しているとお祭りが華やなになる。

龍踊りやお囃子の練習頑張ってるとヤンキーの女の子たちは優しい。
主に3人よく話す女の子がいた。全員1、2個歳上の女の子、ヤンキーの。(よ!ヤンキー倒置法!)
その中の1人の子のことが気になりだし、結果好きになった。
ヤンキーの女の子ってなんで可愛いんやろな〜。いつの世もそうや、ヤンキーの女の子って可愛いねん。これはもう絶対やねん。飯食うたあとタバコ吸いたなんのと一緒。もうしゃあないことやねん。

僕はその子と話したいから踊りの練習を頑張った。
たまに踊っていて目が合うと笑ってくれた。
先輩にお囃子のCDを借りてひたすらそれを聞いていた。
一曲2,30分。長っ。クラシックやん。いや、クラシックの尺はピンキリや。ピシャの例えが出せない。あぁえぇ出ぇへんかった。
とにかく、ほんまに聞くんしんどかったけど聞いていた。あんなに傍で聞いてたときとちゃうんや思った。
僕はその子はヤンキーやからヤンキーが好きやと勝手に思っていた。
僕はノリで開けたピアスをしていた。なるべく目立たないような。
透明なピアス。当時で言う透ピ。キャッチでとめるやつ。
ピアスは何年もしてなかったら閉じると聞いていたので一つや二つ若気の至りでえぇんとちゃうかくらいで開けていた。
チャラいと思うかもしれないが、僕の地元は高校生にもなるとヤンキーでもなんでもない奴もピアスしてたりした。ヤンキーは小6から中1にかけての間に開けて校則を破っていた。僕はそんな校則のない高校やった。校則は破らない。ヤンキーはそんなん関係あるかえ精神。心の太さが違う、本気の覚悟でチャラつきにいく。たいしたもんや。

でも、僕はその子の気を惹きたくてピアスを徐々に拡張した。
ボディーピアス。当時で言うボディピ。
なんでピアス全部ピでとめんねん。ピやとなんか可愛さすごいな。今の言葉でもすきぴとかあるし。ピは色褪せへんねやな。

普通のピアスは18ゲージ、当時の僕は8ゲージまで拡張した。3mmくらい。
無茶苦茶痛かった。ボディピをしていた従兄弟にやってもらった。従兄弟はピアスに長けていた。
僕は拡張した耳に黒い角みたいなピアスをつけていた。
アメ村に電車乗ってそれだけ買いに行った。黒い角みたいなん欲しいな〜で電車乗って難波行った。

でも、その子とは全然発展しなかった。
まず、僕が好きな素振りを見せないというか、アプローチできなかった。
やったアプローチと言えば耳拡張したくらい。そこに黒角ぶっ刺してるくらい。なんや、それ!耳へのアプローチやんけ。でも、僕はそれがヤンキー女子へのアプローチとしては当時最高手をとったつもりやった。
それに、だんじりのこの練習もめっちゃ実になるし、どんどんのめり込んでいってたので万が一告白してフラれてこの場に居づらくなるのが嫌やった。
牛歩で時が熟すのを待ちながら、僕は練習に明け暮れた。黒角ぶっ刺してるから水牛なんかな、この場合の牛は。

気が熟す前、青い青い硬い硬いときにえらいことが起きた。
ある日その子に急に、


そのボディピむっちゃキモない?めっちゃ思っててん。
あとさー、あんたの龍踊りなんかねばねばしてるよな。めっちゃおもろいねんけど。

びっくりした!!
おいっきりアゴしばかれた!!
全然対応でけへんかった!!
見えへんかった!!
ノーモーションやった!!
黒角も速攻家帰ってとった!!
あの目合ったら笑ってくれてた思ってたやつ、普通にずっと笑ってたん!!
恥ずかし!!!!なんやねん!!うぉー!!!
めちゃくちゃにダサいやん!!!

そっから普通にそこ行くんやめた!!
なんか全然練習とかえぇわ〜ってなった!!
屋根とか全然のんらんでえぇわ〜ってなった!!
龍踊り間違えるとかないからもうこれでえぇわ〜ってなった!!
お囃子も手むっさ痛いしやめよ〜ってなった!!
地元の夏祭りのじいちゃんのツテんとこだけ行っとこ〜ってなった!!
大人しく屋根とか目指さんとだんじり回りではしゃいどこ〜ってなった!!
えぇねん!!
別に!!女の子おったからだんじりやってる訳ちゃうし!!!!!
ちゃうし!!!いや、ほんまに!!マジやで!!信じて欲しい!!

ただ、、
ただ、
ただ!!

拡張したボディピ全然とじひんねんけど!!!!!!!!
なんかまだ裂けてんねんけど!!なんなんこれ!!!
外科行かなあなんやつやん!!!
もう33歳や!!!最悪や!!!
恥ずいねん!!!!めっちゃ後悔してる!!!!
黒角ぶっ刺さへんかったら良かった!!!!
身の丈合ってへんねん!!!!

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