星   2021/11/23

道路に星が落ちていた

ひっそりと
歩道のすみに

こんなところに
星が落ちていようとは

立ちどまり
しばし見つめた

きっと今ごろ
どこかで泣いているだろう

小さな子供がしくしくと
お星さまがなくなっちゃったと

お母さんが
優しくなだめているだろう

銀の紙を取り出して
もう一度作りましょうと

もしかすると
外に連れ出しているかもしれない

抱っこして
空を見あげて

こんなにたくさん
ぜんぶお星さまなんだよと

その子は思わず
泣きやむだろう

思っていたのとは
あまりに違う星の姿に

あんなに遠くて
あんなにちっちゃくて
五角形でもないなんて
これじゃあ折り紙で作れないよと

お母さんが笑いだす
つられてその子も笑いだす

笑い声が空に響く
満ちたりた至福の時間

ふたりの目から星が流れる
それを見つけてまた笑い声

あれはいつのことだろう

ふたりだけの思い出
今となっては僕だけの

道路に星が落ちていた

僕はしゃがんで
それを拾った

手のひらで
星は光った

キラキラと

いつまでも

これからも…

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