春晴れる季節【日本歳時記】春=晴るゝ
はじめましての人ははじめまして、ヤマガと申します。
少しずつ暖かくなり、ようやく春らしくなってきました。
春といえば、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?
卒業式、入学式、花見などの行事、桜や菜の花、タケノコなどの食べ物、また「出会いと別れ」の季節をイメージする人もいると思います。
今回は、この「春」について思うことを話していきたいと思います。春について、話していく際に貝原好古編録・貝原益軒刪補『日本歳時記』が参考になったので紹介させていただきます。
『日本歳時記』は季節ごとに日本の民間の風俗や行事を紹介しています。貝原益軒は江戸期の福岡を代表する大儒であり、好古はその養子です。彼らは、この本の著作意図を、歳時の時宜を民間に示すためとし、また怪しい説や誤った説を正そうとしたのだと語っています。
『日本歳時記』の巻之一には「春」について次のようなことが書かれています。(自分なりに訳しましたが、所々間違っている個所があるかもしれません。ご了承ください。)
【現代語訳】
『漢書律歴志』が言うには、春は蠢くものである。蠢くとは物が動きを起こす様子のことである。
『爾雅』には、春を青陽という。日本語では、春という言葉は「はる」と読み、晴れるという意味で使われている。冬は暗く晴れ晴れしないで、雪が降ったり、雨はたくさん降り、空は晴れることはめったにない。
春になると、のどかな気候になり、空は明るく、日の光の色も輝いて晴れるのである。また、木の芽(芽吹くこと)が春という意味もあるが、前の説には及ばない。『春秋元命苞』が言うには、陽数は三になるため、三か月で春とする。陽数は九で終わるため、春は九十日ある。四季はすべてこれと同じである。
春は季節の最初のものとして、日の光が少ない時間(日の出)である。昔の人の言葉に、一年の行いは春(正月)に計画を立てて行うべきと言ったため、春のはじめに、年中にするべきことを計画し行って、一般民衆とともに、それぞれがその行為を最初に勤めるべきである。
余裕をもって、時間を無駄にしないよう心がけなければならない。また、春は最初の日の光で、新しく始まり、生物が生まれ出る時間である。自然の摂理に従って、ものが育っていくことを願い、殺すことを禁止するべきである。
※昔の人の言葉「一年の計は元旦にあり」
2つの説があります。
① 『月令広義』(中国の伝統的な行事、しきたりなどを解説した書物)
「一日の計は晨にあり、一年の計は春にあり」まとめて、「一年の計は元旦にあり」
② 毛利元就(②の説が有力?)
1588年に長男へ宛てた手紙に教訓として書かれたとされています。
「一年の計は春にあり、一月の計は朔にあり、一日の計は鶏鳴(=朝)にあり」
※当時の日本は中国の暦を用いていたので、春は1~3月の季節。
春と晴れ
春は、日本の四季の中でも、新たな生命が芽吹く季節です。昔の人たちは春を大切にし、新年の計画を立てる時期として重視していました。
そして「春=晴れ」のように、これから寒さが緩み暖かさが増してゆく時期でもあります。今は科学技術の発展で室内では温度を調節できますが、昔の人はそうはできなかったため、自然に敏感で季節感の感覚が今よりも強かったと思います。(今は気候変動など変な天気も多いこともあり、季節に対する志向性は昔よりは減っているのかもしれません。)
春は、新たな始まりの季節、山笑う季節です。
『日本歳時記』に書かれていることも、もちろん含みますが、個人的な感覚では「桜が花咲き散った」光景を見たときに一番春を感じます。出会いと別れのように、「ぱっと咲いて、ぱっと散る」。そこに儚さを憶えます。
春の季節のように「晴れ」の気持ちで日々を過ごせたらと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。また次の記事でお会いできたらと思います。