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公認会計士試験合格者が考える簿記一級の難しさについて

こんにちは。
今回は、「公認会計士試験合格者が考える簿記一級の難しさについて」というテーマで書こうと思います。
2020年11月に行われた公認会計士試験に幸いにも合格できましたが、不合格だった時のための布石として、2月28日の簿記一級試験も申し込んでいました。
ここでひどい点数をとったら見せる顔がないなとヒヤヒヤしていましたが、あれほどの大きな試験を合格した後にもう一度必死に試験対策をする気にはなれず、試験問題の形式を把握する程度でのぞみました。
そんなこんなで試験を受けてみた結果ですが、会計試験を終えただけあって、合格点(自己採点ベース)をとることができました。(試験結果が届いたら追記します。)

僕の友達も同じ日に簿記一級試験を受けていました。この簿記一級の試験をきっかけに公認会計士をめざすかどうか悩んでいるようで、会計士試験との違いをざっくりでいいから知りたいと言われ、このノートを書こうと思いました。また、あまり公認会計士試験を受けた直後に、簿記一級の試験を受けている人は見当たらないので、レベル感を比較するにあたってより参考になる記事が書けるのではないかなと思います。

今回は簿記一級と公認会計士の試験の違いについて、大まかな試験範囲の違いと、実際に解いた感触という観点から、簿記一級はどのくらいの難易度なのか、どのくらい公認会計士試験に役立つのかをお伝えします。

※他のサイトで解説されているような客観的な情報ではなく、主観的にどう感じたのかを記載していますので、1サンプルとしてみていただけると幸いです。

結論

先に結論を言っておきます。
「簿記一級は公認会計士試験に比べるとだいぶ簡単だけど、確実に役立つ。」
が僕の答えです。(軒並みですが。。)
会計士試験と簿記一級試験の違いについて、試験範囲の違いと、実際に解いて感じたことからお伝えします。

・試験範囲について

簿記一級試験では公認会計士試験とでは範囲に大きな差があります。
簿記一級が会計科目に特化しているのに対し、公認会計士試験では監査や企業活動の理解に関わる複数の科目が出題範囲とされています。

ざっと簿記一級と公認会計士の範囲で被っているところは、財務会計論と管理会計論の計算部分にあたるので、短答式試験の約4割(200/500)、論文式試験の約2割(140/700)が重なっているといえます。(ほんとにざっくりです。)
論文式試験においては、文章を書くことが大半です。文章で点を重ねることは受験生の差が開きにくい一方、計算問題は他の受験生との差が開きやすい科目であり、合否を決める上でとても重要です。
なので、簿記一級の計算問題の範囲が影響する割合は少ないようにも見えますが、数字の割合以上に試験結果に影響する重要な部分だと思います。


・簿記一級を解いてみた感想

会計試験に向けて勉強した基礎論点が理解できていれば特に一級は問題なく解けるな、という感触でした。
簿記一級試験を短答式試験、論文式試験と主観的に比較してみます。

短答式試験は一級と同様に個別論点毎に問題が出てきますが、やっぱり短答式試験の方が難しかったです。短答式では、一つ得点をする(8点/問)ために、複数の論点が問われることもあり、一つ一つの論点もそれなりに複雑になっています。簿記一級の基礎論点はわかっているのが当たり前の上で、それが複雑化されてもいかに対応できるかが問われていると思います。

論文式試験は、短答式試験以上にかなり難しいです。そもそも高得点を取るように設計されていないので、難しくて当たり前で、僕自身も最初は論文式試験の問題を見ることですら現実逃避したくなるレベルでした。
連結財務諸表(BS,PL,CF)の穴埋め等が普通に問われる上に、外貨建ての問題も入ってきたり、加えて企業結合の論点も入ってきて受験生が苦手とする論点が次から次へと放り込まれてくるイメージです。簿記一級試験と難易度にはかなり差があるかなあと思いました。ただ論文式試験も、結局は基礎論点の積み重ねであり、応用したものなので、受験をするのであれば簿記一級の範囲は基礎として当たり前になっているレベルが望ましいのかなと思いました。

・簿記一級の立ち位置は?

ここまでだと、確かに簿記一級は基礎部分として必要だけど、公認会計士試験までの道のりは遠いなという印象を受けられると思います。実際、難関資格ともいわれる公認会計士試験は範囲も膨大だし、簿記一級の試験を受けただけで簡単に「もう一歩だよ」ということはできないのは事実です。
ただ、2つ知っておいて欲しいポイントがあります。

1つ目は、簿記一級レベルの基礎知識なしでは公認会計士試験は絶対に受からないということです。
今回僕が試験対策をせずに、合格点をとれたのは、公認会計士試験を合格するために基礎をしっかり身につけ複雑な問題を解けるようにしていたからだと思います。また、複雑な問題だけでなくいかにみんなが取れる基礎問題を取り切れるかも公認会計士試験の分かれ目です。基礎論点をミスなく確実に解けなければ一瞬で落ちる世界ですし、一級レベルの知識は公認会計士において必要条件であると思います。

2つ目は、簿記一級レベルをマスターしていれば、公認会計士受験生の中でも優位なスタート地点にいるということです。
公認会計士の合格ボーダーは「受験生のレベル」と「試験問題の難しさ」で決まります。先ほどまで公認会計士試験の試験問題の難しさをアピールするばかりで終わってしまいましたが、相対試験に合格するにあたっては受験生のレベルという観点もとても重要です。会計士試験に合格する方は簿記一級レベルを完璧にされている方が多いと思いますが、逆に不合格の90%の多くの方は簿記一級レベルをまともにマスターしていない方が多いのかなと思います。客観的な保証はないですが、短答式試験の財務会計論の平均点が大体40%を推移しているあたりからそう読み取れます。
なので、簿記一級レベルをマスターしていることは、すでに公認会計士受験生の中でだいぶ優位なスタート地点にいると思います。


おわりに

今回は、実際に簿記一級を解いてみて、公認会計士試験との違いについて思ったことを書いてみました。たしかに公認会計士試験が大変であることに変わりないですが、簿記一級の範囲は確実に公認会計士試験にとって必要な基礎論点を出題しており、確実に有用であるなと思いました。公認会計士を目指すにあたって、簿記一級試験を必ずしも受ける必要はありませんが、自分が基礎論点を理解するためのいいマイルストーンになるのではと思います。

本日もありがとうございました。

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