『実写版デビルマン』感想1万字

総評

2004年の作品。115分。
今から16年前というのにCGは古さを感じさせず素晴らしかった。
冨永愛、スタントマン、CGチーム、特殊メイク、舞台セット、子役たち、hiro、一人一人は頑張っていた。

それでも脚本、カメラワーク、演出の雑さはカバーしきれない。演技や滑舌の問題は小さな問題と割り切ろう。これは日本アカデミー賞を狙うタイプの作品ではなかったろうし、新規ファン獲得が目標であろう。

新規ファン候補の一人として語ると、デビルマンに興味を持つきっかけにはなった。デマ、差別、不正義、人間の定義という社会派のテーマは良かった。
良かったけど脚本や演出が悪すぎる。人間の定義を問う割には描かれる人間像が気持ち悪い。こんなキショイ人間像を書く脚本家や監督に「人間とは何か」とか言われても聞きたくない。
監督たちは公開から16年経った今、どんな人間像を描いているのだろうか。

監督と脚本家は夫妻だった

語り尽くされた16年前の作品に文句を言うだけでは誠実でないと思い、調べてみた。

なんと監督は公開された2004年の翌年に53歳で亡くなっていた。脚本を書いた女性は奥さんだった。長い間二人三脚でやってきたらしい。良い夫婦だったのだろう。

監督は名前だけ聞いたことのあるビーバップハイスクールの監督だそうで、ストーリーに出てくる『不良と竹刀』という平成にしては奇妙な組み合わせが納得できた。

脚本家である奥さん・那須真知子氏はご健在で、2012年の『北のカナリアたち』の脚本をやっていた。私は見てないのでその作品で彼女の描いた人間観は分からない。

私の中のNo.1ダメ映画『ワールドウォーZ』との比較

実写版デビルマンはダメ映画として名高く、公開から16年経っても常に名前が挙げられ、人々に周知されている。愛されているのだろう。

私のNo.1ダメ映画はブラット・ピット主演『ワールドウォーZ』なのだが、デビルマンはこれと違ってフワッとイイ感じの雰囲気でまとめられてない稚拙な点が愛せる。

ワールドウォーZは「何も問題ありませんけど何か?」という尊大さが鼻につき、私は視聴中怒りを抑えられず2回画面の前から消えた。その点、デビルマンは2分に一回は「私がおかしいのではなく、明らかにお前がおかしい」とストレートに怒らせてくれる、等身大でフレンドリーな映画だった。ワールドウォーZと違って「変に感じる私が間違ってるのかな」という疑心暗鬼に陥らせない、友人のようなフレンドリーさは好感を覚える。

ではダメ映画では無かったかと聞かれたら迷うことなく「ダメ映画だった」と言い切れる。とにかく好感度が違うのだ。
愚かで滑稽な悪党と、善人ぶった大悪党。人間としてマシなのは前者だ。デビルマンだってそう言うと思う。

もちろん、ワールドウォーZが映画企画が頓挫しかけてブラット・ピットが奔走し、ペプシ社という救いの神に出会うという映画の裏側で起きた感動的なストーリーを考慮すれば許せる。私のワールドウォーZへの怒りはこの裏側を知ってだいぶ解けた。
デビルマンの脚本や演出への嫌悪感も、夫婦仲が良さそうな監督と脚本家夫妻のイメージでだいぶ緩和された。

人間とは、結果でなく過程が大事なのだ。実写版デビルマンは私にそれを教えてくれた。



リアルタイム視聴感想

以下は私が実写版デビルマンを見ながら書いた感想である。リアルタイムで実写版デビルマンの楽しさと不安と違和感に襲われる様が伝わると嬉しい。


主人公たちの幼少期を演じる子役たちがカワイイ。演技も拙くてカワイイ。

その怪物のマスクでかすぎだろ。お面じゃなくて被り物かよ。(いくらダメ映画として名高くても小道具にケチつけるのはいかんな。反省)


大人になった主人公たち、キレイな顔しててカワイイ。演技も拙くてカワイイ。キャラの背丈は伸びたが演技の成長は見られない。

オープンカー!?どんな車で学校来てんだ。

いくらダメ映画として名高くても小道具にケチつけるのはいかんな。反省。もう小道具に着目するのやめよう。

ヒロインっぽいの登場。

主人公と相棒を指して「同じ顔なのに」
→同じ顔か?私が興味無いから見分けられないだけか?まあ、登場人物も小道具の一種だと考えてケチつけるのはやめよう。『主人公と相棒は同じ顔』と理解して見進めよう。

ヒロイン、主人公に対して「そんな人間(相棒)と付き合うのやめたら?」
→え〜!?すごい嫌な感じ!好感度ひっく!これヒロインにするのか!?

ヒロインのミキ、上半身だけコックの作業着で主人公アキラの誕生日ケーキを作る。

料理長っぽい長いコック帽子まで被り、更にベテラン感あるスカーフまで巻いている。なぜ?そこまでするなら全身料理長コーデして。なぜ下は学生服のままなんだ。

食事始まったけど、コック帽膝に置いてる。あれじゃ食事取りづらいよ。邪魔じゃん。ミキが可哀相だよ。

もうこれで小道具に言及するのはよそう。

主人公アキラ、相棒リョウを嫌う集団にボコられてる。昔の映画としても不良と竹刀の組み合わせは酷くないか?

また小道具について喋っちゃった。でも止められない。

すごくヒップホップしそうな人が訳知り顔で不良たちに声を掛ける。なんでも昔、リョウはアキラをボコした相手の指を植木ハサミで切り落としたらしい。

この植木ハサミがすごくデカイ。植木ハサミだとしても唐突に、嫌に目立つハサミが出てきて気を取られ、語りが頭に入ってこない。

また小道具に言及してしまった。

アキラ、リョウをぶん殴り、切り落とされた指をくっつけようと相手の手を掴んで根本に押し付ける。

アキラ君パニックか?指はビニールに包んで冷やして保存すれば縫合できる可能性あるから落ち着いて。

切り落とされた指がくっついた。

どういう事だ。監督はどういうつもりだ?もしかしたらアキラ君には特別な力があるのかな?(私はデビルマン知らない)

でも周囲の人は指がくっついた事に驚いてないな。これはどういう事だ?

この雑な感じで作品がこれからも進むのかと、初めて不安を覚える。

まだ開始7分である。

なお当時指を切り落とされたのは語ってるヒップホップっぽい人その人だった。それを示すシーンは凄みがあってカッコよかった。

ヒップホップさん、すごく絵がうまい。描いてた悪魔っぽい絵を不良たちに見せる。

唐突過ぎる言動に指を切り落とさたトラウマが感じられる。少し精神的に不安定になっているのだろう。可哀相に。

今度は女子間のイジメシーン。苛められてる新キャラの元にヒロインが助けにくる。

「○○さん!」
「私に構わないで。ヒロインさんまでイジメられる」

このセリフは良いが、加害者の前でやるな。滑稽だぞ。
大丈夫か、この映画。

怪我人の立ち上がらせ方下手すぎる。なぜ支える腕や立ち位置をやり直した。ちゃんとリハーサルしとけ。監督不在か?

アキラ、授業中に意味もなく大声を出す。小声で話しかけろ。不自然だぞ。

オープンカーと、3Dメガネビデオみたいな頭に被るタイプのビデオメッセージ。

この小道具たち、何なんだ?
まだ開始10分。違和感のある小道具が視聴の邪魔をしてくる。

ビデオメッセージ自体はとても良かった。途中で2度ほどオープンカーに乗って助手席で頭に変なビデオカメラ装着してるアキラ君のカットが入らなければもっと良かった。

デーモンになってしまったリョウ、刃物を持ってアキラに「殺してくれ!」と頼む。

頼むが、なぜか刃物を持ったままアキラに突進。アキラ、リョウの腕を掴んで止める。もみ合う二人。

リョウの自殺を止めるアキラの場面のはずだが、襲ってくるリョウと防戦するアキラにしか見えない。二人の動き不自然すぎ。監督不在か?


アキラがデビルマンになってからの映像はとても良い!好き。

登場人物の言動や心理が全く共感できない点を除けばとても良い!昔の作品と思えない素晴らしさだった。悪評を聞いていた「ハッピーバースデー、デビルマン!」も私は気に入った。普通にアキラ君おめでとう!って気持ちになれた。誕生日だもんね。ハッピーバースデー、アキラ!


開始16分。

我慢できないから言わせてほしい。

服を着て鏡の前に立ったはずなのに、なんでいざ鏡に写ったら上半身ハダカ?場面繋がってないじゃん。


よくドラマ出演者が「場面繋がらなくなるから日焼けできない」と言ってても(気にし過ぎでしょ〜)とか思ってた。でもそういう心掛け大事だった。全然気にするべきだ。超目立つし違和感だった。「ん!?」って不審に思って見返した。

場面の繋がりの重要性を教えてくれるデビルマン。この場面は開始16分から始まるから、場面の繋がりの重要性を感じたい人はぜひ見てほしい。


バイク二人乗りして立つな。自転車じゃねぇんだぞ。

あとバイクで学校の運動場に直接乗り入れるな。普通に駐輪場で良いだろ。


ワイヤーアクション好きの私には楽しい場面が始まる。

ヒップホップの人が良い。不良だったろうに常に自身のトラウマを描くスケッチブックを持つ病んだ人になったらしい。すごく良いキャラ。


デビルマンになって身体能力が向上したアキラ。ヒップホップの人がドン引きする程の向上ぶりだがヒロインは能天気に「カッコイイ、アキラ君!(ピースサイン)」

その指切り落とすぞ。

この時代のイケイケ女子高生ってこの場面でピースサインするか?違和感だわ。監督不在だけでなく、女性スタッフも居ねぇな。居たとしても発言権ねぇな。クソだわ。(この時の私は脚本家が女性とは夢にも思ってない)


ヒップホップの人とアキラの交流が描かれる場面。

これスゴく良かった!ヒップホップの人、リョウに指切られてそのリハビリの為に絵を描き始めたそう。今ではリハビリとしてだけでなく、本当に絵を愛してるヒップホップ。更に虐めてたのにリョウを止めてくれたアキラに「ありがとう。やっと言えた」と笑顔で語るヒップホップ。

ヒップホップ、お前が主人公だ。今の所最も好感度が高い。

リョウの悪夢を見るそうで本当にトラウマやPTSDの類に襲われてるヒップホップ。可哀相。

こんな良い場面なのになぜか背景で素潜りだか海女さんだが海に潜る非日常が起こってて戸惑う。なぜ?不必要な背景では?意味があるのか?(視聴後振り返ると全く無かった)

監督は海辺育ちでこういう場面が日常なのか?それとも実際撮影時に海女さんが居たのか?ロケーション担当不在か?


ヒロインを盗撮してる変質者登場。蛍光剤塗ってるのかと思うほど歯が光る。


冨永愛登場。

CGとか、特撮的な衣装は良い本作。

冨永愛もさすがモデル。立ち姿もウォーキングも完璧。意味不明で無駄な動きをしない!監督不在(私の想像です)でもモデルの力量を発揮。滑舌まで登場人物の中で最高峰。


悪魔同士の戦闘のわりに肉弾戦。不良たちとの喧嘩と同じだが相手がモデルだから映える。冨永愛がキレイな両足で流れるようなキックをかます場面はとても良い。

ここからCG大活躍のデーモンの空中バトル始まる。開始25分頃、とても楽しい場面。ゲームみたい。大好き。


冨永愛の演技がうまい。貫禄がある。アキラが下手すぎるせいもあるが、ちょっとした所作が美しく迫力があり、無駄がない。無駄な動きが多い今作では特に光る美点。


アキラ君、デビルマンになった事全く動揺してなくて自然と受け止めててビビる。まあ、そういう世界観なのね。受け入れます。


開始29分。リョウとアキラが入った飲食店のクセが強い。何だその奥にあるバカでかい扇風機は?扇風機か?一体何?店の雰囲気とメイド風の店員の服装ミスマッチしてないか?でも私ファッションセンス無いから問題ないのかもしれない。でも背景海女さんの時と同じくストーリーに集中できない。


ミキの言う通り、だんだんアキラとリョウの顔がそっくりに見えてきた。

アキラ、デビルマンになった事を諦めて受け入れるのが早くて展開がスムーズ。物語冒頭で悩む主人公は苦手なのでストレスフリー。アキラにはまったく共感できないけど。


アキラ、ミキと再会。また監督が無意味な動作(今回はわざわざベッドに倒れ込む二人)を描いたと思ったら愛し合う二人。全く共感できない。


この出演から13年後、週刊文春で内縁の妻にDVをしたという記事を出されたボブ・サップが登場。

私の中ではこの記事のイメージが強すぎて今ではコメディ的な出演としてもキツイ。


続いて新しい不審者の登場。カット割りがおかしくて二人いるかと思ったら一人だった。


ヒップホップの危機。

だがデビルマンアキラは何故か海遊び。探していると分かるが、普通服着たまま海に入らんだろ。ヒップホップの声聞こえてるなら余計に海中の線は無いだろ。しかも海に顔つけて探したと思ったら一瞬で顔出したし。それじゃ海中に居ても見つけられんだろ。真剣に探せや。


しかも海にヒップホップ居なかったやんけ。山やんけ。

原作ファンから非難轟々だったと噂の敵が登場。原作知らない私はフーンと流せたが、ヒップホップが死んでも全く悼む様子がないアキラには流石にドン引き。この作品の清涼剤だったのに。RIP(安らかに眠れ)ヒップホップ。


ヒップホップの名前が知りたくてアキラの発声に耳を傾けたが「ウシくん」としか聞こえない。

元々人の声の聞き取りが苦手で字幕が出ない日本の映画やドラマは見ない私だが、今回はアキラ君の滑舌も明らかに悪いと思う。ヒップホップがアキラ君からしか名前を呼ばれないので名前が分からないまま、ヒップホップは逝ってしまった。


なぜアメリカの放送が日本の商業施設で流れてるんだ?

なぜ普通に国内放送にしない。それほどボブ・サップ出したかったのか?


不自然な事にわざわざ試験時間中にヒップホップの遺影を机に置く教師。

なぜ普通の授業時間中にしなかった、監督。


監督の学校観、イジメ観が私と違いすぎてファンタジーを見てるよう。リアリティ0のフワフワした描写のお陰で胸糞なイジメシーンも心落ち着けて見れる。


車が静岡ナンバーだったり、静岡県警だったり、静岡県のイメージが悪くなる。

静岡県警の規制線と制止をあっさり通過して現場を歩き回るアキラ。静岡県警への風評被害の懸念が生まれる。監督の警察へのイメージは私と全く違うようだ。ついて行けない。


40分過ぎから登場する子役、演技がうまい。だがストーリーは疑問点が多すぎて語りきれない。


社会の不正や不正義というテーマはとても良い。


51分。小林幸子が登場。ストーリーの不自然さや無理矢理な展開が2分に一回はあって疲れる中、幸子の上手な演技が光る。残念なのはストーリー上、幸子は登場の必要が無い点。


ミキ、唐突なキリスト教徒展開。食事のシーンでは祈りとかしてなかったけど、どうなん?

それにしても好感度低いヒロインである。口を開けば開くほど好感度が下がる。

「将来子供をたっくさん生んで」って、お前はゴキブリじゃねぇんだぞ。「たっくさん生んで」って、随分軽い言い方だな。2、3人って感じの言い方じゃねぇぞ。10人くらい生む言い方だぞ。

この制作陣の女性観気持ち悪いぞ。女性スタッフ居ないな。(スタッフロールで脚本家が女性と確認。絶望)


リョウの車がオープンカーじゃなくなった。

小道具を雑に変えるな。最後までオープンカーをゴリ押ししろ!


無抵抗のデーモンを大量射殺する場面、殺されるデーモンたちの動作がサッカーの観客席でやる『ウェーブ』で違和感があったが、2階バルコニーから転落するデーモンがたくさんいて、スタントマンたち頑張ってた。監督、アクション好きなんだね。


リョウの銃の撃ち方、驚くほど説得力がない。

方向性はバイオハザードのミラ・ジョヴォヴィッチなのに、すごく安っぽい。バイオハザードがお金掛かってた事を理解できる。


元小錦関登場。

マジでビビった。この映画、コニシキ出るんだ。俳優選びの方向性が分からない。しかも1分で退場。友情出演か?


コニシキの退場から数分後、相撲体型のトリオが登場。画面が煩い。


アキラのデーモンバレがダサすぎるけど、宇崎パパの態度はカッコイイ。


戦争が始まる。

開始1時間4分。部屋で語り合うアキラとミキ。とりあえずその存在感ありすぎて視聴の妨げになる意味不明な光るオブジェやめろ。どんな小道具のセンスだ。


いじめられっ子とその近所の子供が再登場。相変わらず演技がうまい子役。

出てきたおにぎりがデカすぎ&円形すぎてビビる。海苔を隙間なく米に巻きつけるので真っ黒。アボカドかと思った。小道具担当、料理未経験か?開始1時間9分頃を見てほしい。あまりに円形なせいか、あれだけ演技がうまかった子役がバカでかいアボカド似のおにぎりを片手で食べている。すごく違和感ある絵面。この演技のうまい子が自分からこんな食べ方するはずない。監督の指示だ!


デーモンになってしまって自己肯定感が下がってるいじめられっ子にミキ「○○さんは人間よ」と語る。彼女を励ますためにミキは彼女に口紅を塗る。いじめられっ子は鏡を見て笑顔で「キレイって良いね」と語る。

→これマジで女性スタッフ、居ないな。

なんでデーモン前と変わらない顔面を飾り立てて励ますことになるんだ?その前の場面でデーモン化した腕にコンプレックス抱いてるとミキも分かってんだから、腕をどうにかしてやれよ。あと塗ったかどうかも分からねぇ色がうっすい口紅塗った程度じゃテンション上がらねぇし、そもそも絵面的に口紅塗る前と変化が見えねぇんだよ。スタッフ大丈夫か!?感動の場面にするならもうちょっと頑張れよ。


1時間16分。

過激な反デーモンの自警団に銃を向けられるアキラの家族。

緊迫する場面のはずが、アキラたちに向けられる銃はフラフラしており、アキラたちがフラフラ動いても発砲しない。元々自警団が訓練を受けてない民間人だとしても疑問。

ここまでは疑問で済んだが、『スッと立ち上がるアキラ、それを警告もしない自警団』『自警団リーダーに歩み寄るアキラ、それを警告もしない自警団』『あっさりリーダーの銃を抑えつけるアキラ』で、もっと真剣にやれと苛立ちを覚える。


私は原作を知らないが、過激な自警団に罪のない人々が殺されるのは戦時中を連想させる。方言を喋る地方出身者、母国から連行されてきた当時の朝鮮人など、下劣で悲惨な事件を参考に作者は書いたのではないか。もしそうであるならば、被害者に誠実な演出をしてほしかった。これでは滑稽なだけである。


親含めて衆人環視の中でアキラとミキの唐突なキスシーン。

1時間17分間見てきたが初めて「はぁぁ〜」とため息とは違う、驚きの声が出てしまった。このキスシーンは原作であるのか?必要だったか?ミキ役の女優さんへのセクハラではないか?


アキラの悪魔らしい突起がある腕を撫でるミキ。この映画、特殊メイクは良いんだよな〜と思っていたが、ミキがアキラの腕の一番目立つ突起を触る→ピロンとゴム製を感じる折れ曲がりを見せる突起。


待って待って。その突起、柔らかいの?固いイメージで特殊メイク作ったよね。突起曲げるような触り方しなかったら固いイメージ保てたよ。ミキ役の女優さん、なんでねっとりした手付きで突起を触った?

この女優さん、いじめられっ子を立ち上がらせる場面の時も無駄な動作してたから、冨永愛から仕草を学んでほしい。スマートじゃない。

キスシーンと同じ1時間17分。突起の触り方に注目。


自警団に連行されるアキラ。

そのV字型の磔の器具なんだ?Vフォーヴァンデッタ以外で出していい大道具じゃない。そんな磔器具も、そんな連行の仕方も見た事ないわ。どんなリアリティラインだ。

V字じゃなくてXだったかもしれないがどっちにしろ変。バイク二人乗りの時もそうだが、動く車両の上で立つな。


最初に民衆を先導したミキのストーカー、それに感化されて暴動を起こす民衆、虐げされる無実のミキたち。

社会の不正義を語る素晴らしい場面。


電気の消えた家でミキ母はマッチをつけて夫に語りだす。

それは良いんだけどそのマッチが秒で消える。そのマッチ意味あったか?視聴の妨げになるレベルで意味不明な小道具やカメラワーク、仕草が多いのが今作の特徴。


リンチされて殺されるミキ両親。無実の善人が酷く殺される、とても胸が痛む場面。


原作ファンから大不評と聞いていた、ミキの「私は魔女」発言。原作知らない私は『人間であること=人間の優しさを信じていたミキが絶望して、自警団のような人間が“人間”なら、自分は人間でない』という悟りに感じられて問題なく受け止めた。


場面代わり、自警団に追い詰められるいじめられっ子と近所の子供。悪魔として花開くいじめられっ子。

そこにあった日本刀を手にとるいじめられっ子。

いくら外国と戦争中で内戦まで起こってるとしても、日本刀がそこら辺に落ちてるのはおかしくないか?


良いCGに感心していたが、浮き上がるいじめられっ子の体が一度不安定に揺れる。撮り直した方がいい。これまでの1時間25分、あれだけワイヤーアクションや格闘シーンだけは頑張ってたのに、残り30分で力尽きたか?
声出して「フフッ」と笑ってしまった。

「悪魔はお前ら人間だ!」と自警団に立ち向かういじめられっ子。とても良い場面。アクションシーンの予感。

だが制作陣は本当に力尽きていたらしく、鏡の前の場面と同じくまた場面が繋がらなくなっている。

右手に日本刀を持って走るいじめられっ子。カメラが切り替わると何故か左手に銃を持っている。いつ銃持った?


冨永愛やいじめられっ子など、出てくる女性たちのアクションシーンは皆良い。

いつの間にか日本刀が床に刺さっていてまた場面が繋がらないが、アクションシーンだからご愛嬌。サラ・コナーを思わせる片手銃撃は素晴らしい。銃撃の重みは伝わらないが、リョウの両手に銃持ってブンブン振り回すシーンを見た後は些細な問題に感じる。


戦火の中を生き抜こうとする人の絵面はとても良い。近所の子供が可哀相。生きてるといいな。


ボブ・サップ、デーモン化。

デーモン化する時にその筋肉を活かして北斗の拳的な洋服破りするかと期待するが、とても丁寧に服を脱ぐボブ・サップ。残念。1時間27分頃。


アキラの場面。

吐血から撃たれた銃の弾が出るシーンや、強制収容所で殺されたユダヤ人たちを思い出させる積まれた死体のシーン。とても良かった。


ミキ両親の遺体の前でおもむろにフードをかぶるアキラ。どうした?その仕草意味あるか?

あと天井からミキの携帯電話がぶら下がるのは何故?ミキの遺体は天井にないのに。


戦場の場面とか、こういうセットにお金掛けてるね。戦場表現とても良い。


ミキの生首を教会に捧げるアキラ。首から下も持っていってあげてほしかった。彼もPTSDだと思って異常な言動には目を瞑っているが、頭と胴体はセットにしてあげてほしかった。


泣くアキラの元にリョウが久しぶりに登場。

「神は居たかぁ!?」

声がデカイし唐突。急にマントを大仰に脱いだと思ったら白いスーツ姿だし。協会という場所柄もありタキシードに見える。ブロマンスからの結婚式が始まるかと予想してしまう。


アキラ「お前(リョウ)は最初からサタンだったな。俺を騙していたんだな!」


開始10分から1時間37分の今までずっと、リョウは自分をサタンだと名乗ってたぞ。

やはりミキ家族を惨殺されてアキラ君は精神的に不安定になってる。


本当にブロマンス展開になってきて震える。悪くない。むしろ全然良い。男同士のクソデカ感情&アクションシーンで再編集すればイケる映画だ。


ミキの生首を何度もアップで写すな。


アキラ「俺を殺せ!」


リョウがアキラに「殺してくれ」と頼む開始16分頃の反転。こういう逆転の構図は大好き。


アキラ「俺はデーモンじゃない。デビルマンだかrrな」


良い巻き舌に思わず声出して笑う。ここまで1時間40分見てきてアキラとリョウの顔がそっくりに見えてきた。ミキの言う通りだった。


CGの戦闘シーンが始まる。この映画本当にCGは良いんだよ。ファイナルファンタジーのムービー場面みたい。

私はファイナルファンタジーのムービーシーンが好きで、ずっとムービーで見せてくれねぇかなぁと思うタイプなので今作と相性が良いと思う。

デビルマンの歌でしか聞いたことのないデビルキックが見れて興奮!


なんかよく分かんない流れで地球が凄いことに。二人の戦闘の余波とか、そういう感じには見えなかったが、きっと演出力の問題でそう見せられなかっただけだろう。

地球の一部から円形の爆発が起きるのを宇宙から見る、という恐竜絶滅のドキュメンタリーでしか見たことのない絵面が見れる。しかし氷河期は来なかった。


CGは本当に良い。ずっと見ていたい。


冒頭に出てきた、主人公たちの幼少期を演じる子役二人が再登場。とてもカワイイ。この二人がそっくり。双子か。冒頭では分からんかった。髪色違うと同一人物に見えないんだよね。


海女さんがいたあの海に戻る二人。なぜか空に浮かぶ月が割れてるが、そんな描写や理由はストーリーには無かった。


リョウ、「デビルマン」の発声が「デビrrマン」になる。デビルマン、確かに言い辛い名前だ。


死にゆくアキラに「俺もすぐ逝く」と語りかけるリョウ。

やだぁ、完全にブロマンスじゃん。めっちゃ好きだわ。

リョウ、自分の語りかけにアキラが微笑むと「笑った」「アキラが笑った」と笑う。

新生児微笑を見て喜ぶ新米パパのよう。


いじめられっ子が再登場。あの近所の子も生きていた様子。良かった良かった。荒廃した世界で二人は生きていく決意を固める。今回の生存者はこの二人だった。


スタッフロール。

アキラとリョウの俳優の苗字が違ったので双子ではないのか?宇崎竜童と阿木燿子の名前を見て驚く。ミキ両親はこの組み合わせだったのか。永井豪先生もどこかで出演していたらしい。小錦関はKONISHIKIと書かれていた。

脚本が女性でびっくりした。この女性観を書いたのが女性!?気持ち悪い。

エンディングに流れる、普通に良いんだけど全くストーリーに合わない歌、歌手がhiroと書かれてた。スピードか?→調べたらやっぱりスピードのひろこちゃんだった。歌がうまい。

監督は男だった。

CGチーム頑張った。それだけしか言えない。


噂に聞いていた以上にダメな演出とストーリー、とても良かったCG。実写版デビルマンが末永く映画ファンに愛される事を願う。

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