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敬語誤用パターン1:登場人物の上下関係/順序が入れ替わる

メールマナーコンサルタントの山田直毅(なおたか)です。

敬語誤用の3つのパターン

1.登場人物の上下関係/順序が入れ替わるパターン
2.言い回しを使用できる条件を満たしていないパターン
3.名詞/動詞/形容詞のいずれかがわかりづらいパターン

この記事ではパターン1「登場人物の上下関係/順序が入れ替わるパターン」について解説します。


登場人物とは?

メールで登場する人物は大きく分けると
・外部(お客様や社外関係者など)
・内部(自分・同じ会社の方・身内など)
に分かれます。外部には敬語を使い、内部には敬語を使わない。これがルールです。
※外部と内部の境目は状況によって変わります。


上下関係/順序が入れ替わるとは?

立てなければいけない方を下げてしまう。
立ててはいけない方を上げてしまう。
そんなシーンに出くわしたことないでしょうか?

具体的には以下のケースが考えられます。
・外部の方に謙譲語を使ってしまう
・外部の方に丁寧語を付け忘れる
・内部の方に尊敬語を使ってしまう
・内部の方に過度な丁寧語を使ってしまう


具体例1:「担当者に伺ってください」

「伺う」は謙譲語。お客様の行為を謙譲語で表現すると、お客様を下げてしまいます。

正しくは「担当者にお聞きください」「担当者にお尋ねください」尊敬語を使います。

使っている言葉が尊敬語・謙譲語のどちらなのかを意識することが大切です。


具体例2:「早速の回答ありがとうございます」

「回答」はお客様から受け取ったもの。丁寧に取り扱う必要があります。

正しくは「早速のご回答ありがとうございます。」「早速ご回答くださいましてありがとうございます。」回答に「ご」を付けることで丁寧に取り扱うことができます。

外部の方が所有している物事に対しては「お」「ご」を付けるように心がけましょう。


具体例3:「弊社の田中がおっしゃるには」

「おっしゃる」は尊敬語。田中さんが上司でも、内部の方に尊敬語は使わないようにしましょう。

「弊社の田中が申しますには」「弊社の田中が申します通り」謙譲語「申す」を使うのが正しいです。

登場人物が多くなると、誰を立てなければならないか、主語が誰なのか、物事の所有者が誰なのか、混乱してわからなくなることがあります。

「誰」を意識して文章を書くことは、ビジネスメールマナーの基本ですが、難しいところでもあります。


具体例4:「ご返信が遅くなり失礼しました」

相手に対する動作・相手に差し上げる物に「ご」や「お」を付けることは間違いではありませんが、お詫びのシーンでは自分を下げることが大切です。

返信は自分から行うもの。返信はお客様のものではありませんので「ご」を外して「返信」にしても差し支えありません。「返信が遅くなり大変失礼しました」とすることで、お詫びの気持ちがより強く伝わります。

「返信」を「返事」に変え「返事が遅くなり大変失礼しました」としても問題はないのですが「返事」は軽い印象があります。「返信」「返答」「回答」など、かしこまった印象の名詞を選ぶこともお詫びのポイントです。



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