聞香会「五味シリーズ」第2回を開催しました♫

晴天ながら酷暑に見舞われた6月29日、天候なにするものぞ!と涼しいお顔で集結された皆さま方と共に、五味シリーズ第2回「苦を聞き比べる会」を無事に愉しむことが出来ました。
当日のメニューは以下の通りでした(配布した資料をコピーします)。

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聞香会~香木三昧のつどい~五味シリーズ㈡
「さまざまな苦を聞き比べる」メニュー(予定)

一.面白(古五味名香)(伽羅)
二.志(古五味名香)(伽羅)
三.仮銘 春霞(緑油伽羅)
  春霞かすみなれたるけしきかな睦月もあさき日数と思ふに(京極為子)
四.仮銘 雪間の草(羅国)
  花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草のはるををみせばや(藤原家隆)
五.仮銘 朧月夜(真南蛮)
  照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき(大江千里)
六.仮銘 柴の戸(寸門陀羅)(インドネシア産沈香)
  いづかたも山の端ちかき柴の戸は月見る空やすくなかるらむ
                            (宗良親王)
七.仮銘 あから橘(佐曾羅)(赤栴檀)
  月待ちて家にはゆかむ我が挿せるあから橘影に見えつつ (粟田女王)

  (注)古五味名香は分木の対象外となりますので、聞香会セットには
     入っておりません。ご諒承のほどお願い申し上げます。

              日時 令和四年六月二十九日
                 午前十時~十二時、午後二時~四時
              場所 麻布香雅堂 守拙庵
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『面白』は、文献によりますと「炷き出しは少し甘く、以降は火末まで苦い」とのことですが、個人的には、銀葉に載せた瞬間から「苦」を感じました。
それは、正に教科書的な「苦」の感覚を体現するものと思えました。
(外気温は約36℃だったと記憶していますが室温は26℃程度で、肝心の湿度は約56%と、聞香には比較的に好ましい環境でした)
文字通り「面白い」と思ったのは、時間の経過とともに「苦」と「甘」とが絡み合うように、或いは陰となり日向となって見え隠れするように聞こえたことでした。

次の『志』は、とても個性的な香木でした。
文献にあるように「初めより苦く、火末に至り少し甘い」のですが、「苦」のタイプが言わば標準的な『面白』とは全く異なり、「こんな苦味もあるのか?」と驚かされました。

両者に共通して感じたのは、ほんの小さな欠片に秘められた香気の豊潤さと言いますか、力強さでした。
一炷の大きさは1㎜×3㎜ほどですが、連衆を2巡・3巡しても香気に衰えはさほど感じられず、徐々に温度を上げながら延々と愉しむことが出来ました。

それから、文献には炷き出しとか中程とか火末とか大まかに記載されていますが、個人的な印象では、名香はいずれも時間の経過による味の変化の様子が判然とせず、従って文献の記述と一致しないと感じることが多いです。
そのように感じる要因の一つとして、電気香炉を用いることの功罪が関係しているのかも知れないと考えています。
つまり、加熱する温度を細かく設定し、しかも持続させることが可能な電気香炉を用いることによって「大勢の連衆が等しく同じ火加減で聞香することができる」というメリットがある一方で、「刻々と移ろう火加減に応じて推移する香味の変化を味わうことができ難い」というデメリットもあるのではないかと推察するのです。
この疑問に関しては、聞香炉による聞香の過程で、炷き始めから火末まで、つまり香炭団が熾りきった時点から燃え尽くす時点まで、載せ続けた銀葉の表面温度を測ることによって、電気香炉との比較対象を行なって、検証してみたいと考えています。

当日の詳細は、後日のアーカイブをご参照下さいませ。
以下に、お寄せいただいたご感想を一部転載させていただきます。

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今回は「苦」がテーマなので、伽羅をたくさん聞けるのではないか、と期待しながら伺いました。
 
伽羅はもちろん、どのお香木も非常に良い香で、苦というよりは甘さを感じました。
とくに「春霞」は、お菓子の甘さを連想して楽しい気分になる香でした。
 
「面白」と「志」もたくさん聞かせて頂き、ありがとうございます。
どちらもまろやかで優しい香で、やはり苦よりは甘さを感じました。
(深く吸い込むと微かに苦さを感じるとおっしゃっている方もいらっしゃいましたが)
人間と同じで、香木も時を重ねると、角が取れて柔らかな香になるのかな、と思ったりしました。
 
貴重なお香木をたくさん聞かせて頂き、本当にありがとうございました。
五味シリーズ、次回も楽しみにしております。
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