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敵がいる世界は平和。

前回まであらすじ

やまだいは旅館にはびこっていた様々な不思議に手を入れはじめ、休みにくい仕組みの変更、料理長の変更を行い、脅しをかけつつも無事に円滑に事が済み結果が出始めていました。そんな中、人の育成と、人の選別に手を入れ始めるのでした。なるべくまーるく、そしてわかりやすく書くために偽名を使って行きますので、ご理解ください。

3つの勢力

一見仲良さそうに見えるスタッフですが、その勢力は大きく3つに別れていました。

①改革派

問題をしっかり認識していて、なんとかしないといけないと思っている人たちです。このグループはその思いが行動になってる人となっていない人がいましたが総じてお客様からも喜ばれていて、頼りになるスタッフたちでした。

②楽する派

改革派がいるから保守派では?と思った人もいるでしょうが、保守を求めているのではなく大変なことを避けているグループです。このグループの特徴は何か手をいれようとすると否定はしませんが絶対に協力しません。

③忖度派

有限会社たつただったころの社長(当時の会長)が一番派です。このグループは旅館の仕組みがどうであれ当時の会長が右と言ったら右を見るグループです。

●忖度とかくそくらえ

まず最初に切り崩したのは③忖度派です。この人たちに関しては仕組み変更前に派閥解体に乗り出しました。

当時の会長はまだ半分現役で、旅館のことにあれこれを口を出してきました。その本心は邪魔をしたいわけではなく一緒に仕事をしているだけです。答えてあげたい気持ちもありましたが、目標とする形に向かうには邪魔でした。言っていることは一昔前に止めたやり方だったのです。

ご想像通り忖度派に対しては忖度する先、つまり会長を完全に追い出すことで対応しました。とてもプライドが高く、それまで反抗する人すらいなかった人です。反抗しようもんなら切り捨てた人です。どう言えば二度と旅館に関わらなくなるか。優しく言っても遠回しに言っても無駄だったので、はっきりと厳しい口調で責めることにします。彼がパワハラ発言をするのをじっくり待っていました。そしてその時がきます。

「自分が何言ってるか分かってるか?パワハラって言葉を知ってるか?知らないなら勉強してからこい。そういう発言する人は邪魔だ」

捨て言葉をはき、二度と顔を見せなくなりました。忖度派のジョンとステファニーは何もそこまで、という顔でこちらを見ていたのを憶えています。

もちろんスタッフがみんないる場で言いました。旅館にとって優先すべきものをはっきりさせる為に悪者になるつもりで振る舞った結果、忖度派は静かになっていくのです。

そして、その方々は固定観念に縛られてしまった方々です。改革派が勧めていくことを頭では理解しても行動に至りません。彼らに対しては何も助けもしませんでした。その分は努力いただいている人に向けたかったのと、改革が進んでいけば勝手についてこれなくなり、スタッフとしていなくてもよい位置にいってくれます。なので、放置します。

ここは強行しました。ほんとはもっと円滑にやりたかったのですが‥。

●敵を作る

前のブログで書いた仕組みが出来上がったあとはその仕組みで実際に動かしていきます。ただし、人の配置については誰をどう置けば、育ってくれるのか、そしてやめてくれるのかを考えていました。

まず、最初におこなったのは改革派への声かけと改革派の意見の取り入れと行動の容認、決定権の譲渡です。改革派でサービスを仕切ってくれていたメアリーや、メアリーに協力してくれているジェニファーやエマに対しても同様です。彼女たちは楽する派が楽しているのを見ていて嫌な気持ちを持っていました。逆に楽する派のイザベラやシンドラはメアリーからの指導を疎ましく感じていました。

その構造をよりはっきりとさせるために、メアリーたちの楽する派への文句がさらに強くなるように話を聞き、話を振り、イザベラ達には優しく寄り添うようにしました。

●改革派にもっと自由を

改革派に対して、敵を敵だとはっきりと認識してもらったのは彼女たちの言い分を聞かせないようにするのと、同じ敵を持たせ結束を生むためです。その目論見通り改革派はよりはっきりと旅館が向かうべき方向を理解して行動をしてくれました。サービスの質はどんどん良くなり人事効率も誰から見ても明らかに上昇していくことになります。

また、人が足りない!という場面のときに敵に頼らない環境を作る目的もありました。

●楽する派にはよしよしする

楽する派は大変よねぇとかもう年だからねぇとか何につけても楽するほうに動きます。イザベラやシンドラはサボるわけではありませんが、メアリーたちの頑張りを当然のこととして扱い、自分たちは助けてあげてるというスタンスでいるのでした。彼女たちには

「そうだね、大変なのにありがとうね。楽できるようにしようね」

と優しく優しく接します。

優しくすれば大変大変言いながらも動いてくれるのを知っていました。そして、本当に仕事が楽になるように改革派と共に業務を改善していきます。しかし彼女たちにとっては拷問です。今まで慣れ親しんだやり方を捨て新しい仕組みに対応しないといけません。もちろん教えても出来ません。でもやることを強要します。

いつも声を掛けていたように、実際の労力はかなり減っています。楽できるようになる場を提供したのでそれをやらないなんてあり得ないよ、今まで大変って言ってたよね?という論理武装をしていきます。

そして時には優しく優しく。

「大変だよね、難しいかな?ゆっくりでいいよ無理しないで。なんならお休みしようか?」

そして休みにします。週4 の出勤が2になり1になり、0になりました。

そうしてるうちに忖度派は新しい仕組みに馴染める人は馴染み、馴染めない人は離れていきます。改革派はどんどん先に進み他の派閥の人がいなくても仕事が回るようになっています。

所謂窓際族と言われる状態なのですが、この時は人を選び窓際にいくように仕向けました。スタッフはもともと地元の人ばかりでしたので、強行すると田舎の風潮では悪い方にいく恐れもありました。そう感じさせないように注意しながら。

この一連の流れで共通しているのは忖度派が崇めていた人を旅館の敵として扱い、改革派がどんどん進めるように楽するはを敵として扱い、愚痴として言ってだけのことを実際に仕組みとして取り込み、それを出来ないって言った人を旅館の敵として扱うようにするなど、敵を作ってまとめていく手法です。このやり方は後に書きますが、あんまりいい方法じゃないと思っています。

作った仕組みはどんどんブラッシュアップされ、人の育成も円滑に進み、予定通りの方向へ向かうことができました。結果は出ているのですが‥‥。

この話を書けないなといったのは、こういったやり方はみんな仲良くという田舎マインドとは違ったものだからです。

書いちゃいましたが(笑)

地域に対してこんな事やったら、そのままバラけて終わりです。もしくは村八分になってやまだいが終了です。会社は同じ目的を持った人が集まった組織だから、同じ目的を持てない方には外れてもらって良いですが、地域は違った価値観を持った人の集合です。外すのではなく同じ目的が持てるようにアプローチが必要です。

地域への手入れって本当難しい!!


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