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【モジャ毛語り②】俺もレッドじゃないけどお前らだってレッドじゃねーだろって話


【スズキアイミからのお題「緑」】








キミは“ヒーローごっこ”をしたことがあるだろうか。




女の子はあまり機会が無かったかもしれないが、


いつの時代も男の子はヒーローが大好きだ。






仲の良い友人たちと戦隊を結成し、

ボールや縄跳びや長めの枝やらを
溢れるイマジネーションで補完して必殺武器とし、

校庭の平和を守るため、

悪の組織(だいたい善良でどんくさい級友がここに勝手に属させられる)と日々戦いを繰り広げるのである。





そのヒーローごっこが始まる前に、

必ず行われる儀式がある。





「俺がレッドね!」


「え、ずりー!俺もレッドがいい!」


「僕もレッド!!」





ヒーロー候補生たちによる血で血を洗うレッド争奪の内紛だ。





リーダーでセンターで主人公。


理由は知らないが、
それは赤色が司るものだと昔から決まっている。


少年たちはみんな、
一番かっこよく見せ場の多いレッドに憧れるのだ。










一方、ヤマダヒロミチは、



昔からレッドへの憧れがあまり無い少年だった。




むしろ、


THE・主人公な性格付けのレッドの活躍なんて

「はいはい、そりゃレッドなんだから勝つでしょうよ。もういいよ他のキャラ見せてよ」

と思ってしまう、
幼少期から早速ヘソのひん曲がったガキだった。




わかりきった主役の見せ場よりも、


個性豊かな脇役の活躍の方に惹かれるタイプなのだ。






ただ、


他のポジションにもステレオタイプというものがあって、


青はだいたいクールなライバル(2番人気)。

黄色は3枚目ポジション。

ピンクは紅一点の女の子だ。





そんな中、



緑ってちょっと影薄がち。



“自然を愛する”とかの取ってつけたようなキャラ設定にされがち。





いいじゃん、グリーン。





そんな、明らかにピックアップされる回が他の色よりも少ないキャラクターだからこそ、


たまに見せる奮闘や、

子供たちに需要無さそうな回想シーンや、

ちょっとおちゃらけたスピンオフ回とかがめちゃくちゃ魅力的じゃん。




レッドなんてだいたいどのヒーローでも真っ直ぐな熱血漢なんだから、
数年したらどの戦隊の赤なのか区別がつかなくなる。



それに比べて、


ステレオタイプの確立しきっていないグリーンは、
戦隊ごとにキャラ立ちへの様々な試行錯誤が見られて、

結局、後年になって印象に残ってるのはグリーンの控えめな優しさだったりするのだ。







だいたい、だ。





巷の人々みんな、



主人公好きすぎやしないか?





少年ジャンプのキャラ人気投票とかで、
悟空やルフィにわざわざ1票を投じる意味が分からない。



悟空なんて、
お前が応援しなくたってめっちゃ強いしめっちゃ勝つしめっちゃ登場するんだから、





天津飯を応援してやってくれよ。



天さん頑張ってんじゃん天さん。
セル第二形態を決死で足止めするトコとかDB全編で一番アガるじゃん。









当然、


レッドという主人公の枠を巡る競争に身を投じたくなる気持ちだってわかる。


争って他人を蹴落としてでも味わいたいほど、
情熱の赤は魅力的だ。





だが、



“みんながなりたいものに自分もなりたい”というのは、


ともすれば、

それ自体が自身を、
“レッドになりたい典型的なその他大勢”の中に迎合させることになりかねない。




量産型の主人公になるぐらいならば、



俺は中央の赤を食うぐらい鮮やかな緑になりたい。






だから、


ヤマダヒロミチ少年は、
レッド就任権を賭けたジャンケンなんぞには初めから参加しなかった。






その決着がついた頃合いで、






スッと手を挙げ立候補するのだ。








「俺はグリーンやりたい!」













『は、何言ってんの?ヒロミチはどんくさいからヒーローじゃないよ。敵の戦闘員Bならいいよ。』










・・・クソが。






いいだろう。


俺を敵に回したことを死ぬまで後悔させてやる。





ヤマダヒロミチのシンボルカラーは、



赤でも緑でもなく、

暗闇よりも深く澱んだ漆黒。








偽善のヒーローども、かかってこいや!!



イーーーーッ!!!




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