採用されたが断った話。

採用の連絡があった。

面接時間は十分程度だったし、職務経歴書は「色々書いてあるが、うちでは意味ない」という様なニュアンスの事を言われたし、採用の電話があった時も、言われたのは「スリッパとコップ(?)持ってきてください」だけだった。

一旦は、焦りもあり、はい。と答えた。が、労働条件もなにも教えて貰えず、不安で寝られなかったので、翌朝電話して確認したところ、給与は時給換算で906円。と言われた。求人票には基本給170000円から230000円とあった。年齢、経験により考慮との事だった。さすがに170000円スタートは無いだろう。事務経験者だし、まぁまぁの年齢だし。と思っていた為、906円と聞いた時、震えた。

大阪の最低賃金は、970円かなんかだ。

906円ではアルバイトやパートを雇うことも出来ない。

パートやバイトなら最低賃金以下で雇う事が出来ないのに、なぜ、正社員だったらそれが許されるのか、疑問に思う。

会社は正社員だからって、一生食わせてくれるわけでもない。厚生年金は条件が揃えばアルバイトやパートでも加入できる。なので最低賃金以下で正社員として働くメリットは全くもって、全然ない。

正社員とは名ばかりの奴隷制度で、暴力だと、そんな風に感じた。もちろん、そうじゃない正社員もたくさんある。

それにしたって、酷すぎる。

ワタシが「それだと生活していけない」と言うと、経営者はこう言った。

「仕事って長年やって給料が上がるもんでしょう」

長年って一体、何年勤めたら、最低賃金以上の給料が貰える様になるのか?

昇給は年一回(本人の能力によるので、確実じゃない)月額にして500円から1000円という話しだった。最高の1000円昇給しても、一年ごとに時給換算で5円ほど上がるだけだ。10年かかっても、最低賃金の970円に追いつかない。その頃には最低賃金も上がってる。

異常だ。

ちなみに前職の基本給は24万円と、4万ほどのみなし残業手当だった。残業しないように無駄な時間を削り、猛スピードで仕事をしたので、ワタシの場合は残業手当分、丸儲けだ。時給にすれば1750円になる。もの凄く良いわけじゃないと思う。それでも、最低賃金を上回っていたし、正社員として働くメリットはあった。ワタシはアルバイトから正社員になった口なのだが、アルバイト当時の時給は1100円だった。

給料が下がる事は、キャリアがあるわけでも大したスキルがあるわけでもないので、仕方ないと思ってるのだけれども、さすがに最低賃金以下の給料では、入社したとしても気持ちが続かない。それが仮に、自分のどうしてもやりたい仕事なら、我慢できたかも知れないが、全然そういう仕事じゃない。

事務所には女性が二人働いてらっしゃったが、あの人たちはどうやってモチベーションを保っているんだろうか?凄く不思議だ。

働いてる限りは、食べていくだけでなく、ちょっと余裕が欲しい。別に何万円もする、ブランド物のバッグが欲しいとかそういうのじゃない。ちょっとした欲しい物が買えたり、美味しいものを食べたり、年に一回でも旅行へ行くとか、貯金ができるとか、そういう余裕だ。時給にして906円の給料では、それだって許されない。

この不景気に、仕事があるだけマシ。という人もいるかも知れないが、そういう問題じゃない。最低賃金以下で働きたくない。という事で、辞退した。

国はもっと、正社員の基本給について真剣に考えるべきだと思う。

働き方改革の課題の中に、正規雇用と非正規雇用の格差是正というのがあるが、是正どころか、バイトしてる方がマシやん。という給料の正社員はきっと沢山あると思われる。以前面接した会社も、給料は月額160000円です。と言っていた。そこは土曜日休みの会社であったので、最低賃金以上に設定されてはいたが、年金もろもろ引かれたら、手取りが13万とか12万だ。やっぱり多少の余裕もないので、採用の連絡を貰ったが辞退した。

長時間労働を減らしたいなら、残業しないで済むだけの給料を、国は企業に保証させるべきだ。基本給だけでは、一端の生活すらままならないのでは、そりゃ残業もする。

病気になっても、病院にかかることも躊躇するというか、かかれない。健康保険料は払っていても、払っているだけで恩恵は受けられないのだ。頑張って、身体を壊したら、それで終り。そんな悲しい話があるだろうか?アホらしい。だから、そういう企業は業績が上がらないのだな。と思う。会社が給料を出し渋るから、社員は頑張れない。頑張れないから、業績が上がらない。という感じで。

その給料で働こうと思ってくれるだけ、会社は社員に感謝すべきだ。雇ってやってるじゃない。そんな給料でも雇われてやってる。という社員の全員に感謝しろ。と、採用の連絡をしてきた、経営者のぶっきら棒で偉そうな口調に、そう思った昨日だった。






















だった。



事務所には事務員の女性が2人ほど居た。その人たちもスタートは906円なのだ。

一体、なにを原動力に働き続けてるんだろう。と、そう思った。

賃金じゃない。仕事はやりがいだ!という人も居るが、やりがいだけではお腹がいっぱいにならない。しかも、伝票整理が主な仕事じゃ、やりがいがあるかどうかも疑問だ。どんな仕事にももちろん、意味があるし、必要ではあるけど、ワタシにとって仕事というのはお金以外の何物でもない。

最低限の生活ができる。というのが条件で、時給906円では、一人で生きていくということも出来ない。そんなんだったら、働く意味もない。

不景気とは言え、先々の事を考えれば続けられる気がしない。というか、社員の生活について

面接は一回だったし、給与について聞いていいのかが分からなかったが、ちゃんと聞いてりゃ良かったな。と後悔した。次回に活かそう。

それではちょっと安すぎる。

というか、本気でそんな給料で人が雇えると思ってるんだろうか?と疑問に感じた。

それだと手取り14万とか13万とかですよね?って聞いたら、

「長年勤めて、給料って上がるもんでしょ」

とか言われた。

はぁ!?だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?