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大統領を「演じ切った」男(番外編)

一応科目紹介

放送大学に学籍があると、在籍期間中であればテレビ科目・ラジオ科目のすべてを視聴できます。また、単位を習得したオンライン科目のコンテンツ(開講期間中)を復習することができます。そんな中で、多分単位は取れないけど興味があったのは「英語で読む大統領演説('20)」です。放送大学のテキストはちょっと大きめの書店かネット通販で入手可能です。

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講師は放送大学・宮本陽一郎教授。本書の前書きにもあるように、歴史的映像と海外ロケ映像をフル活用した英語の授業は、中々お目にかかれないと思います。今回は単位取得を全く目的にしていない単なるお遊びでながら聞き的に楽しんでいます。

では本題

今回はこちらの方(Wikipediaさまから拝借)。

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そう、この空母の名前にもなったロナルド・レーガン(Ronald Reagan)です。1981年から2期8年に渡り、タカ派の外交を通じて、東西冷戦を終結に導いた大統領です。ハリウッド映画の俳優だった人物が大統領になり「The Great Communicator」として親しまれた人物です。ホワイトハウスを去った後の1993年にアルツハイマー病にかかり、翌年の1994年11月5日に国民に向けた手紙を公表します。英語で読む大統領演説の第13回 Ronald Reagan's Alzheimer's Letter (1994)が今回の記事になります。

すみませんネタバレかも…

講義はシミバレーのロナルド・レーガン大統領図書館から始まります。大統領専用機エアフォースワンとともに、ロナルド・レーガン自身が書いた手紙が本人の肉声と共に展示されています。講義では音源の使用はNGなので、ジェフ・マニングさんの朗読で、ゆっくりと、しかし、国民に語りかけるように進んでいきます。

全体としては5分くらい(テキストでは2ページ)の短いものですが、アメリカ大統領として、President Reganとして、語りかけます。自身がアルツハイマー病に罹患した何百万人のアメリカ人の一人として…。このことを(アメリカ大統領の場合は、退任してもPresidentなので公人的扱い)公表すべきかどうかな苦悩、そしていずれはアルツハイマー病が進行していきながらも、決して悲嘆に暮れることなく、以下の言葉を語りかけます。

I now begin the journey that will lead me into the sunset of my life.

自分の最期を夕日に向かって続く旅の始まりって言ってのける、しかもアルツハイマー病とともに。自身が西部劇のラストシーン(タイトルの写真のような感じ。PhotoNetworkさまの写真を使わせていただきました。)を演じている、そのシーン想起させずにはいられないでしょう。

また、講義では2004年にレーガンが亡くなり、シミバレーのロナルド・レーガン図書館の一角に埋葬される映像、ロナルド・レーガン図書館からみた夕日をバックに再度手紙が朗読されるシーンが出てきます。まさにthe sunset of my lifeでエンドロールのイメージなんですよ。ロナルド・レーガン自身がまるでプロデュースした彼自身の自伝的映画のラストシーンの映像です。と同時にベルリンの壁の崩壊に一役買い、新自由主義を進めた偉大なる政治家の死でもある…シミバレーの夕日はいろいろなことを語りかけてくれていると感じました。

肝心の英語の方は…

残念ですが、私自身は今回の講義で、ボキャブラリーが増えたりとか、英語の理解がより深まった実感はないのですが、英語で書かれたものを少なくとも映像や時代背景などと絡めて考えるという意味では、大変面白い講義だと思います。放送大学の学生さんであればネット配信で、一般の方はBS231ch、232chでお楽しみあれ。おすすめ度は星4.5/5です。


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