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「幻のそうめん」がスイーツになった理由

こんにちは。「竹の、箸だけ。」に、こだわり続けてきた、熊本のお箸メーカー「ヤマチク」です。純国産の天然竹を人の手で一本一本切り出し、削り、「竹の箸」を作り続けてきました。

2023年秋、ヤマチク工場敷地内に、贈り物に特化したセレクトショップ「拝啓」がオープンします。ヤマチクが日本全国の催事に出店する中で出会った「ものづくりの仲間たち」が手がけたものを集めたお店です。
「竹のお箸で食べるカフェ」も準備しており、お箸の使い心地も試すことができます。

さて今回は、「竹のお箸で食べるカフェ」で提供するメニューを紹介します!
なかでもイチオシなのがこちら…

ゆでたそうめんの切れ端を黒蜜に漬け込んだものに、あんこときなこをかけて食べるスイーツです。
その名も「そうめん屋さんのおやつ」。南関町の名物である「南関そうめん」をスイーツにしました。
そうめん製造時には、どうしても端材として、「ふし」と呼ばれるはしっこが余ってしまいます。そんな、製造時に出る「ふし」を活用して作りました。

100%の手打ち・手延べ。「幻」ともいわれる南関そうめん


「幻のそうめん」といわれる南関そうめん。南関そうめんの特長は、茹でても伸びないほどのコシの強さと、のど越しの良いシコシコとした歯ざわりです。基本は、100%の「手打ち」「手延べ」であること。特に手打ちそうめんは全国にもほとんどなく、幻のそうめんともいわれています。

最盛期には200を超える製麺所がありましたが、現在は南関町内で10軒ほどが伝統の味と製法を守り続けています。

参考:南関町オフィシャルサイト(http://www.town.nankan.lg.jp/page1617.html)

そうめんメーカーの家庭では、南関そうめんを製造したときに生まれる「ふし」を、味噌汁に入れたり、子どもたちがきなこをかけたりしておやつにして食べます。「そうめん屋さんのおやつ」は、地元の人たちが食べているものをアップデートした一品なのです。

そうめんがスイーツとなったきっかけ


南関そうめんがスイーツになったのは、そうめん職人の方と、ヤマチク3代目の山﨑 彰悟の会話がきっかけでした。

子どものころに、「製造時にできるそうめんのふしに、きなこやあんこをかけておやつとして食べていました」という話を伺ったのです。

「ちょうどカフェメニューをどうしようかなと考えていたときでした。そうめんのふしをおやつにするというのがおもしろいなと思って、メニューにできないかと料理研究家の高山 由佳さんに相談しました。そうめん屋さんには、『ぜんざいにするなら、おもちの方がおいしいですよ』なんて言われてしまったんですけどね(笑)」(山﨑)

試食会にて

拝啓のメニューは、南関そうめんなど仕入れ元のメーカーさんや、一般のお客様にも広く解放する予定です。その理由を、山﨑はこう語ります。

「地域の自慢を、いくつも作ることが、今の僕らの至上命題です。今、南関町にある地域の特産品の活用法が狭くなってしまっているんですよね。そうめんなら、ゆでて食べるだけ。せっかくおいしいものがあるんだから、食べ方がひとつだけではもったいない。そうめんをゆでるだけではなく、そうめんを使ったスイーツがあるって良いじゃないですか。地元の特産品に、様々な活用方法があることを分かってもらえれば、他の人も新しい活用法を思いついてくれるかもしれない。そんな期待をしています」

「掴む、切る、つまむ…。様々なお箸の所作を体感して」料理研究家が語る、メニュー開発


拝啓のメニュー開発を手がけたのは、料理研究家の高山 由佳さん。熊本市を拠点に、季節ごとの果物・花からおこした天然の酵母でつくったパンや、シンプルでやさしいお菓子を焼いています。
“豊かな大地からいただいたものに感謝し、形を変えてみなさまにお届けする”そんな想いを込めて日々パンやお菓子をつくっているそうです。

高山 由佳さん

高山さんに、拝啓のメニュー開発について振り返ってもらいました。

「『いいことだな』というのが、拝啓のお話を伺ったときの第一印象でした。ヤマチクさんとは数年前からのお知り合いで、お箸の大切さはよく分かっていました。だから、お店をきっかけにお箸のよさを伝えていくという考えが素敵だな、力になりたいな、と思いました。『そうめんをスイーツにする』というアイディアには、驚かされましたけれどもね(笑)」

メニューの方向性は、「地元のお客さんに親しみを持ってもらう」というもの。
地元の人たちがお店に寄って、お茶しながらおしゃべりをして…。そんなシーンをイメージしながら、メニューを考えていったといいます。

だから、お客さんたちが家に帰って真似しながらつくれるような、親しみやすいお料理にしようと考えていました。

「山﨑さんからお話をいただいた当日に、2時間ほどおしゃべりをしていて、なんとなくメニューのイメージができていったんですよね。南関そうめんと南関あげをどうアレンジしていくか考えていって、自分でも試作をしたり、家族に試食してもらったりしながら、レシピができていきました」

「拝啓」のメニューのポイントは、お箸を使って食べること。
つかむ、切る、はさむ、つまむ…。お箸には、様々な所作があります。拝啓のメニューでは、多様なお箸の所作を体感できるようにしています。

試食会にて

例えば「そうめん屋さんのおやつ」には、くるみが入っています。「小さなものを掴む所作も、メニューのなかで体感してほしい」という思いからでした。

「1つのメニューで、なるべく多くのお箸の所作を体験できるようにしてほしいなと思って。『そうめん屋さんのおやつ』では、麺を掴んで口に運ぶだけではなく、小さなものを掴む所作も体感してほしいと思って、くるみを載せてみました」

お箸で使うことのよさと、地元の食材の魅力を再発見してほしい、と高山さんはいいます。

「掴む、切る、つまむ…。お箸で様々な所作ができることを体感してほしいです。拝啓ではお箸をたくさん用意しているので、色々な種類のお箸の使い心地を試していただけたらと思います。それから、南関町の食材のおいしさも感じてもらえたらいいですね。かしこまらずに気軽に入れる場所になればと思います」

「黒棒ティラミス」「そうめん焼売」…。地場のおいしさを生かしたメニュー


「そうめんやさんのおやつ」の他にも、様々なメニューをご用意しています。

■九州名物・「黒棒」でできたティラミス


お箸で食べられるティラミス。同じ南関町の菓子メーカー橋本製菓で作られた焼き菓子「黒棒」を細かくしたものに、マスカルポーネチーズとクリームチーズを混ぜ合わせたソースを流し入れてティラミスに仕上げました。
黒棒は、小麦粉と卵をじっくり焼き上げ、黒糖蜜を絡めたお菓子です。ティラミスのレシピはメーカーさんに開放し、地域で活用していただきます。「ティラミスをお箸で?」と驚かれる方も多いでしょう。掴む、切る、口に運ぶ…。そんなお箸の所作を体感いただけるような工夫を凝らしたスイーツです。

■そうめん焼売


ひき肉、玉ねぎなどの具材に、細かくみじん切りにした南関そうめんをまぶしつけて蒸した焼売。中には名物・南関あげも入っています。見た目のインパクトがあり、興味をそそられる一品。

■ミネストローネ


南関あげ、なす、たまねぎ、にんじん他、季節の野菜を入れたミネストローネ。南関あげも、南関町の名物です。一般的な油あげより長期保存が可能で、ふっくらした食感が特徴。水分を極力減らして揚げるため、一般的な油あげより水分の含有率が低く、常温で約3ヶ月ほどと長期保存が可能です。
地元では味噌汁や煮物に入れるのが定番ですが、今回は洋風にアレンジしました。
ミネストローネの味つけは、塩だけというシンプルなもの。野菜のだしがいい味になっています。
和の素材である南関あげも、よいアクセントに。夏、冬野菜で入れる野菜をリニューアルすることも検討中です。季節を感じられる一品になるよう、研究を重ねています。

南関町の様々な食材と、お箸の使い心地を楽しめる「拝啓」。オープンは、11月11日です。ぜひ遊びに来てください!

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