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エンタメ・コンテンツビジネスと独占禁止法

 Newspicksらしい、とてもわかりやすい記事です。法律の専門家ではない、大学も文学部中退の僕が独禁法について語るのは気がひけるのですが、現代のエンタメビジネス、コンテンツビジネスについて戦略的な思考をする際に、避けて通れないところになっていると思います。
 自由競争を基本とするアメリカでは余計に重要ですね。この記事にありますが、連坊取引委員会(FTC)法など、反トラストでの動きは、大まかにはアメリカの持つ健全性を感じます。
 マイクロ・ソフトのOS(windows)の独占状態を利用してブラウザ(IE)を強要したのを違法とされのは記憶に新しいところですが、1998年だったんですね。

 ただ、この記事を読んでいて時代の流れだなと思うことが2つあります。

 Googleのサービスはユーザーに対しては基本的なところが無料なので、従来の基準が当てはめにくいですよね。競争がないとユーザーが不利益を被るというのが独占禁止法のそもそもの趣旨なわけですが、価格のところで問題がないので認定が難しそうだなと思います。僕は、検索エンジンよりも、スマートフォンのOSのところでアップル(iOS)とグーグル(Andoroid)が、アプリ販売で30%を持っていくという大きな不利益を早く解決して欲しいなと思います。おそらくアメリカ司法省くらいしか、この問題にメスは入れらないでしょうから。

 もう一つ思うのは、アメリカ型の自由競争のルールにそもそも土俵に乗ってない中国IT企業の存在感が大きくなり、ファイヤーウォールの外に乗り出して来ているということをどう考えるかですね。自国に入れずに、外では自由にやらせる中国政府と中国巨大IT企業をどう裁くのか?そろそろ独占禁止法的な視点が必要なくらいの存在感になり始めています。今は、トランプが安全保障上の観点で排除するという、非常に政治的な動きになっていますが、同じくらい、公正な競争が中国市場では行われていない、なのに他国市場には乗り出している(それどころかNY証券市場で資金調達している)という不公平が問題だなと思います。
 巨大な消費事情を背景に、派手好きな中国人は資金は潤沢に出すでしょうが、エンタメ領域で文化的蓄積がなく、著作権に関する慣習が違う中国企業が主役になると、既存のエンタメ企業との摩擦は大きいでしょうね。(本来は長い歴史がある中国は文化的蓄積があった訳ですけれど、文化大革命など共産党政府の政策が文化的蓄積を強制終了的に「途切れさせた」という言い方のほうが適切かもしれません)

 もう1人の「主要人物」はEUです。アメリカのグローバル企業GAFAへの警戒心を隠さないEUは、これまでも何度か制裁をしてきました。

 日本はEU的な価値観を上手に活用して、米中の間を泳ぎ、日本のコンテンツをグローバル市場で売っていくことが重要だと思っています。(現状はそれにはほど遠いですね。遠い目)

 ちなみに日本に目を向けると、公正取引委員会のエンタメビジネスへの理解の浅さを感じることが多いです。
 最近も芸能事務所の契約書について取り上げていましたが、タレントビジネスに関わるなら、地上波在京テレビ局という、まさに特権的地位の濫用をしている事例にメスを入れなければ無意味です。番組主題歌になると音楽出版権を放送局が持つ業界慣習などは、典型的な独禁法違反なのですけどね。

 以前、スマホ時代の前に着うたが全盛になったときに、レコード会社がレコチョクを使って行っていたビジネスは、典型的な独禁法違反でした。音楽業界全体で見ると、そこでレコード会社が儲けることはプラスの面もあるので、僕自身はそれほどの課題感をもちませんでしたが、公取委はビジネス構造理解してないんだなと思っていました。もしかしたら、前述の放送局系音楽出版社問題も含めて、「業界の中で良い感じで回ってるなら、目くじら立て無いよ」という大人な態度なのかもしれません(笑)。

 独禁法も市場をどう捉えるかで考え方が違ってくるなと思います。今は日本市場だけで独占云々を語っても産業振興につながらない時代になっていますね。そんな意味でも、今回のGoogleへの提訴は、エンターテイメント産業の視点でも目が話せない事件だと思っています。

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