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活動再開直後の小室哲哉さんから学んだテクノロジーが音楽を進化させる価値

 テクノロジーに関する実験的なイベントJ-WAVE主催のイノフェスに登壇させていただきました。テーマは「音楽✕NFT」です。企画段階では様々な紆余曲折があったのですが、毎年イノフェスに関わっている脇田敬大阪音大教授のサポートもあり。理想に近い企画になったなと、とても嬉しく思っています。小向プロデューサーの慧眼と調整力にも感謝です。

  モデレーターは、TM NETWORKや小室哲哉さんの活動にも精通しつつ、テクノロジーの本質を理解している音楽コンシェルジュふくりゅうさん。小室さんと3人で音楽とNFTの関係についてお話をしました。
 当日の直前打合せで、僕はぶっ飛びました。ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんのことを言及したいと小室さんが言い出したのです。気象学分野の研究に高性能コンピューターを活用するために渡米したパイオニア精神と、テクノロジーとの関係性にインスパイヤーを受けたようです。真鍋さんの受賞は日本にとって大きな意味と課題を投げかける出来事だとは思いますが、そのことを自分の問題として捉える音楽家がいるでしょうか?小室さんの知性の深さに心底、驚かされました。本当はその話を1時間位したかったのですが、絶対J-WAVEに怒られるので我慢しましたww
 ふくりゅうファシリテートは、いつもながら的確でした。ざっくりとした流れとしては、

1)音楽はデジタルの進化とともに市場が広がり発展していった

 音楽の中身は常に、入れ物が変化してきました。レコード、カセット、CD、MD、ダウンロード、ストリーミングという、いわゆる“入れ物と伝え方”の進化の中で、NFTも捉えるべきというのがこの日のスピーカー3人の共通するスタンスです。
 そもそも小室さんは、常に新しい手法に取り組まれてきたイノベーター的存在です。TM NETWORKのアルバム作品『Gift for Fanks』は、初のCDチャート1位を記録をしたそうです。80年代末からいち早くハードディスクレコーディングに挑戦、新曲無料ダウンロード配信をオウンドメディアで実施、高音質ハイレゾ配信を誰よりも早く実験。ストリーミング配信への先見性、プレイリスト文化への言及の早さ。様々な音楽未来像を常に時代に先んじて実践されてきた方なので、NFTを一緒に取り組めるのは本当に光栄です。

2)音楽・アートに唯一性を担保したNFTを付与して販売することで生まれる価値とは?

 ふくりゅうさんからは、NFTアートは、黎明期ではありながら、音楽家がNFTアート作品を世にリリースすることによって、CDやダウンロード、ストリーミングとは異なる短期的な“資金調達”、“コピー不可な固有性”、“二次マーケットでのビジネス”という付加価値を得られるメリットは大きいのではないかとの問題提起がありました。
 僕は、音楽(特に録音原盤ビジネス)の生態系という観点からもNFTを取り上げました。再生回数で売上をシェアするというサブスクのやり方だけではカバーできない、音楽界全体が健全に成長する生態系にしていくために、「ユーザーダイレクトファイナンス」が重要で、クラウドファンディングが音楽界に一般的に根付かなかった日本では特にNFT活用が重要だと捉えていることなどをお話しました。フィジカルでは行われた限定盤、豪華盤という価値観のデジタル上での復活でもあります。

3)音楽系NFTマーケットプレイス『.mura』が提案する新たな音楽エコシステムとは?

 テーマ3では、ふくりゅうさんが 出品者や購入者が、NFTアート作品の販売で得た収益が、新たな音楽シーンを生み出すエコシステムとなることを理想とする.muraのアーティストファーストな姿勢に共感すると言ってくれて、旧来の音楽マーケットを超えていく、持続可能な音楽コミュニティー再構築ということを目指したいと話しました。
 小室さんからは、NFTは期待しているけれど「マーケットがまだ見えない」との指摘がありました。.muraでは購入者を「コモンズオーナー」と呼ぶことに象徴される、新しいファンとアーティストのエンゲージメントの形、2020年代型のパトロネージュも意識して、新たな市場にしていきたいというお答えしました。
 以前、こちらのエントリーにまとめている内容です、詳しくはこちらをご覧ください。

 小室哲哉さんにとっては、TM NETWORK再起動発表後、初となる記念すべきソロライブパフィーマンスでした。映像に即興でピアノソロで音をつけたり、シンセソロで音を付けたり、打ち込みで音を付けてみたりと、この日のために用意した90秒の映像に対していくつものパターンでライブパフォーマンスを披露してくれました。曲名もどれを販売するかもまだ未定ですが(僕は全バージョンをそれぞれ出品、販売しましょう、と終演後にオススメしておきましたw)11月8日から.muraで公開され、購入可能になります。ぜひぜひ、チェックしてみてください。各アーティストと丁寧に向き合って、ユーザーと共有できるやり方で作品を販売していきたいと思っています。

<.mura参加予定アーティスト>
小室哲哉、am8、浅田祐介、クラムボン、ザ50回転ズ、ニルギリス、林ゆうき(以下、続々調整中)

ユーザー事前登録実施中

 ランディングページは、既に公開されています。興味のある方メールアドレスのユーザー登録をお願いします。
 出品希望のアーティスト用の問合せフォームもこちらに用意していますので、是非、ご連絡ください。

創業チームも募集中!

 StudioENTREは次々と事業をカーブアウトしていく、スタートアップスタジオですから、.muraもスタートアップとして法人化して事業をグロースさせるのが次のフェーズです。現在、創業チームに加わりたい人も絶賛募集中です。CEO、CTO、CMOなどなど全ポジション可能性あります。アーティストと向き合って出品作の「編成」を行う、次世代型のA&Rも求めています。興味のある方は、前掲のフォームから是非、お問合せください。

 イノフェスでの対談からの小室さんのライブパフォアーマンスを間近で見たのは、本当に貴重な体験でした。
 .muraにも参加してくれる浅田祐介は、シンセプログラマー協会理事としてイノフェスに参加していました。本番後に会ったら「山口さんの新しい2ブロックの髪型は良いけど、発言に毒がなくて物足りなかった(笑)」と言われました。短い時間の中で、NFTと音楽について語るなら、ポライトにゆっくりとポイントを簡潔にして、わかりやすく話すのが大切と思ったので、おそらく作戦成功ですww言いたいことの全部を早口でまくし立ててしまう性格をコントロールできたとしたら少しオトナになったのかもしれません(爆
 pocastでも語ってますので、よければ聴いてみてください。



モチベーションあがります(^_-)