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CDは日本にとって戦略的商品です〜タワーレコードの生き残りは越境ECとインバウンド次第

 ジグザグという会社の仕組みを導入したというだけで、タワーレコード側の取り組みについてはまだ不明ですが、大いに期待したいニュースです。今年度はコロナ禍で音楽パッケージ商品の売上が3割程度落ちることは間違いありません。対処策としては、ネットでの通販ですが、日本でも通信販売はAmazonが強いです。CD専門店の中でも、初期にeコマースを充実させたHMVが先行しています。タワーレコードが海外市場で日本の商材を売る方向に強化するのは当然の動きと言えるでしょう。
 では、デジタル配信サービスが普及して音楽消費としては標準になっている(日本以外はとっくにそうなっています)海外でパッケージが売れる可能性があるのか?僕はあり得ると思っています。何故なら、今や音楽CDは、日本の象徴的な商材だからです。日本のCDはジャケットやブックレットの充実度など商品としてのクオリティが際立って高くなっています。初回特別版などで、映像商品とバンドルしたり、特殊な形状にしたり、グッズとしての価値を高めるノウハウを持っています。その特殊性は、アーテイストのキャラクターとリンクさせていますので、ファンになったユーザーは手元にコレクションしたくなるのです。
 その際にはタワーレコードの役割は重要と考えます。元はアメリカから始まり、日本では輸入盤専門店から始まったお店ですが、本家のアメリカ法人が2006年に倒産したのに対し、日本法人は2002年に売却され、今やNTTドコモとセブンイレブン(セブンアイホールディングス)が親会社です。「No Music No Life」に象徴されるように、多くのアーティスト、音楽ファンに愛されているブランドです。レコード会社や事務所との関係も良好で、日本の音楽シーンの中心的存在の一つと言えるでしょう。
 ただ、デジタル対応については、NapsterJapanを仕掛けたのが、早すぎたのか失敗して、その失敗のトラウマで大きく遅れてしまっています。小売店のみでの戦いは将来展望はありません。いまやナショナルチェーンのCD店はほぼ日本にしかない業態です。No.1ブランドであるタワーレコードは「残存者利益」を独占できるでしょうから、経営的にはまだ暫く大丈夫と捉えていたのでしょうが、コロナ禍でその余命は明らかに短くなりました。
 一方で、海外市場で日本カルチャーファンを獲得できるのであれば、そこにはまだ成長余地があります。音楽業界との良好な関係と、音楽好きのスタッフをたくさん抱えているキュレーション力を活かして、越境ECで成果を出してほしいです。インバウンドが戻ってきた時には、訪日外国人客の主力お土産商品にできるでしょう。名物店長出身の嶺脇社長の手腕に株主も期待しているはずです。「No Music No Life」のTシャツが日本土産の定番になるのを楽しみに注視していきたいと思います。

 次世代の音楽ビジネスについて実践的に学び、ネットワークを得たい人にはニューミドルマンコミュニティがあります。


モチベーションあがります(^_-)