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今とこれからの中国を理解するために、"歴史的な事件"としての天安門事件を知る!

「天安門」三十年 中国はどうなる?   石平、安田 峰俊

 2020年代の日本人が、好む好まざるに関わらず、最も関心を持つべき国が中国だという見解に異論を持つ人は少ないのではないでしょうか?巨大な消費市場があり、日本とは歴史的に繋がりが深く、文化的な共通点が(他国にくらべると大いに)あり、地政学的に影響を受けざるを得ない、外交面でも北朝鮮(拉致被害者)も、韓国(歴史認識での迷走)も、ロシア(北方領土)も、アメリカ(最大の同盟国)も中国との関係性抜きでは語れなくなっています。同時に中国はこの数十年で驚異的な経済発展を遂げ、世界的に見てもどんどん存在感を強めています。政治、文化、経済等々、あらゆるレイヤーで濃い接点があります。
 ですが、僕たちは中国を正しく把握、理解できているのでしょうか?多面性を持つこの国と人たちを日本人が理解するのは簡単ではありません。「資本主義的な手法で驚異的な経済発展を遂げ、経済格差が非常に大きい共産党独裁の社会主義国」という大枠が、多くの日本人にとっては、理解不能な定義矛盾でしょう。僕もその一人です。

 この本は、中国人のリアルな息遣いが感じられる本です。安田峰俊は、先入観に囚われずにリアルで実証的に中国についての著作やコラムを多数書いています。石平は、日本に帰化(いい加減、この言葉やめたほうが良いですよね。「日本国籍取得」でよくないですか?変なバイアスを感じる言葉で、時代錯誤的だと感じます。)した中国人で、保守系の論客として活躍しています。彼の大きなエポックが天安門事件だったのですね。今も彼の心に深い傷となっているのが、この本を読むとよくわかります。そして、文化大革命、天安門事件と、国家犯罪と言ってもいよい「大失敗」をしている共産党政府の統治が何故、綻びなく続いているのかが、この本を読むと実感できます。一言で言えば、「豊かさがすべてを隠す」ということで、経済成長を継続できていることが、中国国民の不満が顕在化しない一番の原因のようです。 

 今とこれからの中国を理解するのに、「天安門事件」を通して視ることは有効だと思います。そして、僕ら日本人が当たり前の正義、常識としてとらえている「民主主義」がアジアにおいては普遍の価値を無いことを、確認する機会にもなりました。「民主主義」の崇高さを説くだけでなく、西欧型の民主主義が曲がりなりにも成立していることを、日本の優位性と捉えて活かしていくべきだなと思いました。その事については改めて書きたいと思います。


<もっと理解するためのオススメ本>

**八九六四 「天安門事件」は再び起きるか ** 安田 峰俊 
 本書と姉妹本的な内容。中国人にとっての天安門事件がどういう意味を持っているのかを追った丁寧なルポルタージュです。より多面的に知りたい人にオススメです。

幸福な監視国家・中国   梶谷 懐, 高口 康太

 中国は巨大な自国の市場に外資参入を制限して、自国のIT企業を育成しました。当初は欧米のサービスを真似する「中国版Twitter」「中国版Google」といったいわゆるタイムマシーン型でしたが、研究開発はスタートアップ育成にも積極的に取り組み、中国発のサービスも出てています。ただ民主主義と人権意識がない国でテクノロジーが発達するとどうなるのか?SFで描かれたディストピアのような状況が起きつつあるのかもしれません。そして少数民族や意識の高いインテリを除いたほとんどの中国人(漢民族)は、その状況を全く気にしてないどころか、利便性を積極的に受けいているということがよくわかります。


もっとさいはての中国  安田 峰俊

著者のライフワーク的な中国レポートです。中国のリアルを知りたい人にはたくさんのヒントがあるでしょう。

中国美女の正体 宮脇淳子, 福島香織
 少し下世話な角度も含んで、中国人女性の生き方や価値観を日本人女性が教えてくれる。日本のビジネスパーソン(おっさん)向けの書きっぷりではありますが、対談型で読みやすく、卑近な内容です。

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モチベーションあがります(^_-)