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コンサートを支えるために必要なスタッフを支援することの重要性。

 Covid-19は様々な分野の経済や生活に大きな打撃を与えていますが、最もダメージを受けているのは、コンサートの分野ではないでしょうか?
 「自粛」を強いられ、公的救済はされないという状態から始まり、長期に渡って続いています。

 コンサートは、通常1年以上前に実施が決まります。大規模になればなるほど、会場の予約や出演するアーティストのスケジュール、制作の準備がありますので、早めに決める必要があります。
 コロナ禍については、法的な「実施の禁止」ではなく、「自粛の呼びかけ」というスキームになっています。この日本の仕組みは民主主義国家としても日本人の国民性を考えても適性な枠組みなのかもしれませんが、その結果として、コンサート中止保険すら適用外になっているようです。「自らの判断で辞めたのですから、中止保険は適用されないし、会場費も支払ってくださいでは主催者は踏んだり蹴ったりです。
 おそらくは既存の仕組みをアレンジした方が対応が早いという理由で、経産省はオンラインコンサートへの半額助成をJ-LODで行っていますが、実施後に経費の半額相当が助成されるという形は傷んだコンサート業界にとって有効な仕組みとは言えません。みなさん苦しんでいると思います。

 そんな自らも苦しむ中で、コンサートに関わるスタッフを支援するための基金が立ち上がりました。事務所(音樂事業者協会、音楽制作者連盟)のコンサートプロモーター(ACPC)の3団体が協力しています。この連携は、高額チケット転売問題で大きな成果を上げた実績があります。業界関係者の皆様のご苦労には感謝の言葉しかありません。日本は永田町、霞が関で大きな声を上げないと変えられないことがあります。国全体に関わること、法律や行政の方針を改めるためには、ロビーイングが欠かせません。元々、音楽業界は自立心が強い方が多く「お上の力を借りる」のに抵抗感のある人が少なくないのですが、そんなこと言ってられません。風営法改正でも、高額チケット転売問題でも力を合わせて成果を勝ち取っています。以前は「政治音痴」な業界でしたが、素晴らしい変化だなと思っています。

 今回は、コンサートに関わるスタッフ向けの基金です。コンサートのクオリティを支えているのは、舞台監督、PA、照明、楽器ローディ等々の現場のスタッフです。彼らの高い技術と経験が無ければ、コンサートを成功させることはできません。
 実際にお金が渡せることも重要ですが、それ以上に、みんなが彼らを必要としている、大切に思っているというメッセージが伝わることも重要です。伸び伸びとコンサート運営が行えるようになるにはもう少し時間がかかりそうですが、明けない夜はありません。

 最後に残したいのは、ドイツのメリケ首相の昨年3月のスピーチです。「アーティストは必要だ」と言い切ってくれて気持ちが救われたことは忘れません。音楽が「不要不急」扱いされている日本社会との彼我の差を感じつつ、政治家や社会の意識を変えていくこと、音樂の社会的な価値を伝えることは続けていかなければいけないなと改めて思っています。
 日本の経済のためにも文化は重要です。精神的に豊かであることが、ますます重要になっています。音楽の、アートの、文化の価値を社会全体が評価すようにしていきたいと、非力な自分ができることはなんだろうと考えています。


モチベーションあがります(^_-)