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職業作曲家への道を指し示します。

『プロ直伝職業作曲家への道』(2013年リットーミュジック刊)より

 この本は、プロの音楽家になりたい人のための本です。プロの定義は さまざまですが、本書ではシンプルに“音楽(だけ)で食っていけるこ と”という意味で使っています。そして、大企業のサラリーマンの生涯 年収の数倍、プロスポーツの一流選手に匹敵するような収入を目指すこ とも前提にしています。
 音楽を作るというのは、大変な事もありますが、とても楽しい仕事で す。素晴らしい作品を作ることで、賞賛も収入も得ることができたら、 幸せな人生でしょう。
 そうなるために必要な考え方や知識をできるだけ分かりやすく、実際 に第一線で音楽を作っている超一流の人たちの言葉=“プロ直伝”でま とめています。
 タイトルは『職業作曲家への道』としました。言葉の定義は、本編で 詳しく説明しますが、作曲家に加えて、編曲家およびサウンドプロデューサーを目指す人、ソングライターという意味では作詞家になりたい人も 含まれます。
 本書では、アーティストと職業音楽家 を区別して、後者を対象にして います。ただ、“ルートは違っても登る山は同じ”ですから、アーティスト志望者にとっても役立つ部分は多いでしょう。

 ただし、細かいスキルについては書かれていません。DAWのプラグイン情報やオシャレなコード進行などの枝葉を知りたい人は、他の本を当たってください。そういった枝葉ではなく、どういう考え方で音楽を作るのかという一番の基本が、ここにあります。
 私は、アーティストマネージメントと音楽プロデュースの仕事を長年 やってきました。全く素人の新人をプロの音楽家に育てましたし、2013 年からは“山口ゼミ”という作曲家養成セミナーを始めました。そんな経験の中で出会ったプロ音楽家志望者の不安や疑問に答えるために、この本を書ました。
職業音楽家は特殊な職業です。学校の進路指導で、先生から薦められることはないでしょうし、ドラフト会議で指名されることもありません。どうしても音楽を仕事にしたいという人だけが、シャカリキに目指すという世界です。裏を返せば「嫌なら辞めれば? 誰も頼んでないよ。」と言われる仕事です。
この本は、そんな特殊な職業を目指す、どうしても音楽が好きで、仕事にしたい人のためのガイドブックです。

 早いものでこの本を出してから7年経ちました。「山口ゼミ」の第一期の講座を行いながらリットーミュジックの編集者と一緒に作っていった本です。「山口ゼミ」は期待以上の成果を上げ、400人以上の受講生は、作曲家だけではなく、音楽業界でディレクターやマネージャーとして働いている人も居ます。自分で見切りを付けて音楽を仕事にすることを諦めた人も居ます。山口ゼミの最初の紹介文で「作曲家をしっかり諦められる講座です」と書いて驚かれたのを思い出します。音楽を仕事にできるのは(音楽に人生の価値においている人にとっては)とても幸せなことですが、もちろん簡単なことではありません。

  7年間で音楽業界、音楽シーンの状況は変わってきています。アーティストと職業クリエイターの障壁はだいぶ無くなってきました。今後は欧米のように、作曲家として成功してからアーテイスト活動を本格化したり、その逆のケースが日本でももっと増えてくるだろう。プロとアマチュアの境も曖昧になっています。

 ただ、プロの音楽家として成功し、続けていくための基本的な心構えは本質的なことはるなと改めて思います。このマガジンでは、毎回「山口ゼミ」の最終回で伝えている「プロ作曲家になり、続けていくための心構え」を紹介して、時代に合わせた補足説明をしていきます。疑問点がある人は遠慮なくご質問下さい。


モチベーションあがります(^_-)