見出し画像

読書メモ 心の疲れをとる技術 その1

この記事は、放送大学生が作る✨アドベントカレンダー🎄の22日目の記事です。

前回に引き続き、心の風邪をひいてしまったので、要因を見つけて次回へ向けた対策としてこちらの本を見つけました。重要な内容が多かったので、複数回に分けて要約と考えたこと残します。

要約

著者の下園さんは、自衛隊でメンタル教官をしていた。自衛隊で働く医師や看護師に講義することもあった。
自衛隊のメンタルを保つための要素として組織力と疲労のコントロールがある。疲労のコントロールをすることでうつを対処する方法と、組織力から企業のリーダーが使えるアドバイスを紹介する。トヨタなどで採用されているムリ、ムダ、ムラから章立てている。

  • ムリをしすぎて潰れないためには

  • 感情のムダ遣いを防ぐ

  • ムラのある人から脱却する

(今回はその1として、ムリについて)

ムリ

ムリは、虚しさやイライラを生む。しかし、本人は自覚がないことが多い。
ムリが表面化するのは4つの形で表れる。1.「体」体を壊す、2.「人間関係」イライラしたり、しがみついたりして人間関係を壊す、3.「行動」いつもは行わない行動として、犯罪行為、危険な行為、暴力行為、ギャンブル、ミス、事故、言い間違い、記憶違い、4.「心」うつ状態や統合失調症。しかし、本人は「ムリ」のせいだとは気付きづらい。

ムリは、1.普通の過労、2.別人化の始まり3.別人化の三段階で表れる。
1.普通の過労では、活動量が一時的に増えること。何か影響が表面化することは少ない。一晩ぐっすり眠ればかなり回復する。回復しきれないものは蓄積する。
第一段階が長引くと、第二段階の別人化の始まりに突入する。いつもの2倍疲労を感じて、回復にもいつもの2倍の時間がかかる。まず体に異常が現れる。不眠、食欲不振、だるさ、頭痛、目や肩や腰の痛み、吐き気、関節痛、めまい、耳鳴り。行動では、酒やタバコ、甘いものが増える。異性との付き合いが乱れ、金遣いが荒くなる、人付き合いが悪くなる、笑わなくなる、攻撃性が強くなる、嘘や被害妄想、弱音。責任や仕事を避ける。本人は気付かないが、周りからはいつもと違うと感じられる。
第三段階の別人化は、心に変化があり元気な時の本人のように考えられない。出来事に対する反応も変わる。アルコールやギャンブルにのめり込む。死にたくなるという気持ちが出現する。自分でも苦しみの異常さに気づくが無理のせいだと気付かず、ムリにムリを重ねてしまう。疲労は3倍に感じるし、回復にも3倍かかるので疲労が取れることはない。極端な形として表面化し、通院、入院、失踪、事故、自殺などにつながる。

組織への影響

優秀な社員がダメになってしまう。
無理を溜めやすい人は、頑張り屋さんなので組織で重要なポジションについていることが多い。
頭がいいので、正論を周りにぶつけ始めてしまう。
また、重要なポストであれば誰かが代打することが難しい。中小企業では、順調だった事業が1人の不調でどん底になってしまうこともある。
また、ムリを溜めやすい仕事は、人を助ける仕事、人と関わる営業職、接客業、クレーム対応、締切に追われる仕事、昼夜のリズムが崩れやすい仕事である。
まじめで頑張り屋さんほど、ムリによる突然の破綻に気をつける。

ムリを重ねた人のその後の人生への影響

第三段階まで深刻になって、正常な判断をできないので、急に退職したり、大切な会議や商談を無断で欠席する。
ムリで戦線離脱したことをきっかけに成長する人も多い。その場合は、過去の失敗を封印せず、無理の仕組みを知る必要がある。

  • 無理が溜まりやすい二つの特徴は、頑張ることが好きな人

    • 子供の心の強さへのこだわり

    • 短期目標で頑張る癖

  • 無理の深刻化に気付かない四つの理由

    • 人に備わった「麻痺のシステム」

    • 疲労の質

    • 比較によって評価する癖

    • 疲労による負担感の変化

  • 深まるムリを止められないもう一つの要因

    • 別人化(自分を責め、自信低下)

無理を溜めやすい人の特徴1  「子供の心の強さ」しかない

子供の頃は、自分に厳しくあることを求められ、努力や忍耐で克服できる課題が多かった。しかし、大人になると自分を愛し、認め、上手に使いこなす必要がある。また、不公平、理不尽、努力しても報われないときにめげずに生きていく必要がある。
大人は疲労と回復のバランスも子供の頃と違っているのに過剰に活動してしまう。

無理を溜めやすい人の特徴2  短期目標で頑張る癖

無理を重ねがちの人は、力が出やすい短期目標を連続させて走り続ける人が多い。3000m走るのに、全力疾走の100mを休憩なく30回繰り返そうとしている。
やる気を瞬発的にだせるし、やる気がある時高揚感を持て自信を感じやすい。その他の小さな悩みを考える暇がないから嫌なことを忘れられる。子供の頃は疲れ知らずだったから短期的に頑張ることを繰り返しても大丈夫だった。

無理の深刻化に気付かない四つの理由

無理を自覚しにくい四つの理由1 人に備わった「麻痺のシステム」

人には、自分に痛み止めをする機能があるから、それが苦しさを麻痺させる。しかし、その麻痺させるシステムが過剰に作用することて気付きづらくなる。
原子時代は、痛いと体が警告していても危険も隣り合わせだったため対応できるように一時的に痛みを感じなくさせるシステムがある。だから、ピンチには、痛み、疲労、不安、恐怖、悲しさなどの感情を感じづらくしている。突然ムリが表面化するのは、ついに麻痺のシステムが機能しなくなったから。

無理を自覚しにくい四つの理由2 疲労の質

肉体的な疲労は、「疲れた、休もう」と自覚しやすいが、頭脳労働や感情労働は精神的なもの。精神的な疲労感は、だるさや頭の重さ、眠さなどになる。
肉体的な疲労がない場合、眠るきっかけを失ってしまう。
また、夜勤や不規則な勤務では、最も眠くなる時間に活動していて疲労が回復しにくくなる。生活リズムのズレは、肥満、高血圧、循環器の病気のリスクを高める。

無理を自覚しにくい四つの理由3 比較によって評価する癖

周囲からムリを指摘されても、周囲の人や過去の自分と比較することで気付きづらくなる。同じ業務だとしても、独身と介護者では疲労に差が出る。また、過去に乗り越えた場面との比較では年齢による疲労回復力の低下を考慮されてない。
ストレスには、エネルギー苦と不快感情の苦がある。前者は歳を重ねるほど弱くなり、後者は強くなる。ここから、不快感情の処理が上手くなり、ストレスに強くなっているように感じることがある。

無理を自覚しにくい四つの理由4 疲労による負担感の変化

疲れてくると同じことでも多くのエネルギーを消耗する。マラソンに例えると、同じ距離でも元気な時と風邪の時だと疲労感に違いが出る。ムリの進行段階によって、疲労を2〜3倍に感じる。だから、いつもと同じイベントだから、と捉えると危険である。
自信の低下、自責、自己嫌悪がムリをやめられない最後の要因につながっていく。

深まるムリを止められないもう一つの要因  別人化

自分は、限界がわかると思っている人も多い。疲れ切ったら休もうと思っていても、その時には思考が変わり物事の受け止め方や行動パターンが変わってしまう。思考力が下がって、考えることを負担に感じて柔軟性がなくなる。
自責や不安から、仕事を断れず、エネルギーもなく仕事も進まない。
疲れた人間にとって自責で考えることは厳しい人のようだ。しかし、休むことになれば上司への伝え方や、仕事の依頼などをしないと言えない。それに比べて、自責でやることにすると「これから頑張る」と考えるだけで良くなる。

うつになるとエネルギー低下により複雑な思考ができなくなる。解雇、離婚など、もう悩むのは嫌だから短絡的に考えるようになる。別人のように感じたり考えていても、それに気づけない。夢の中で後から考えればわかることに違和感を感じないことに似ている。その結果、「仕事ができなきゃ死ぬしかない」と考えることもある。


考えたこと

自分は、ムリをためやすい人としての「子供の心の強さ」「短期目標で頑張る」の両方に心当たりがありました。ムリをする自分というか、頑張っている自分が好きだったので、ついついムリを重ねていました。また短期目標がないと頑張れないと思い、自分を追い込んで締め切りを積極的に作ることで頑張れるように奮起していました。確かに、3000mの長距離走で100mダッシュを繰り返していると思えば、わかったのですが当時は気づいていませんでした。早く走れている快感や達成感にばかり気を取られていました。努力でカバーできると思い、できるだけ娯楽の時間を減らし、趣味でも仕事関係の本を読んだり、どんどんアウトプットをする機会を作っていました。頑張るのはいいことだという考え方に染まっていました。

また、段階については、自分にもすごく心当たりがあります。プログラマーをしているとバグを見つけたら直してから帰ろうってことがあります。でも、遅くまで残業してもなかなか直らない。どうしてもうまく行かず諦めて帰ると、次の日の朝に何事もなかったように簡単に直せることがあります。これは、残業して疲れていてあまり論理的に考えず、目先の手段を試していくなどの短絡的な解決策を繰り返していたからこそ、起きていました。行き詰まったら次の日にするってことは自分の中では染み付いていました。しかし、それは次の日になったら完全に回復すると思っていたのです。それが長期的にも起こっているとするとすごく理解しやすかったです。思考する余裕が減って、短絡的に考えたり、感情的になりやすくなっています。一度ストレスで失敗してしまったからこそ、読んでいる間に何度も何度も心あたりがありました。

これは、大きな失敗やメンタルを壊してしまう前にこそ読んでほしい、学んでほしい内容でした。まだ、イメージができていませんが、伝えていきたいなぁと思います。

良い本なので、皆さんも読んでみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?