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迷惑じゃなかったのに~父の突然の訃報~

今日は父の話をしたいと思います。

以前にちらっと書いたのですが
父は私が娘を身ごもった時から消息を絶ち
娘が小学校3年生の時に、(遺品整理?)の業者から電話があり
父が数か月前に亡くなっていたことを知りました

父は、脳梗塞で倒れた後入院し、
結果的には入院中に肺炎で亡くなったとのことでしたが
入院中、家族に連絡を取りたいと言われても
かたくなに「迷惑がかかるから」と誰の連絡先も言わなかったそうです

父が亡くなり
父の住んでいた家に専門の業者が入り
手帳をみたところ、私の携帯番号が書かれていたそうです

父は几帳面な性格で、毎年の手帳が保管されていましたが
そのすべてに私の携帯番号は書かれていたそうで
重要な人なのだろうと判断され、連絡が来ました

どうして迷惑だと思ったのか、くやしくて、悲しくて、さみしくて
後悔して、泣きました
何となく、プライドがあったのかな、とも思います

仕事先では、私のことを話していたそうです
娘がいて、孫ができた。いつか、孫に会いに行くんだ、と言っていたそうです
結局、娘は父(娘にとっては祖父)と会うことはできませんでした

大好きなお父さんを
一人ぼっちで旅立たせてしまった。
私はワンワン泣きました。しばらくずっと泣き続けました。

ちゃんと話したかったな。迷惑なんて思ったことないこと、娘に会ってほしかったこと、ううん、私が会いたかったこと、今は伝わってるかな

【父の人生】
父は8人兄弟の末っ子でした。
上はすべて女子。
跡取り息子を生むために、生み続けた結果の8人目、ようやく待望の男子でした。
姉からも、母親からもかわいがられて育ったそうです

ところが、母との結婚を反対され駆け落ちしてしまいます
そのせいで母と祖母との関係が悪く
跡取りは難しいと判断され
父の家には跡取りのための養子(男性)が入りました

その後、父と母は離婚し
父は帰る先(実家には養子がいて居心地が悪い)もなく
1人で生きていくことになります
友だちの連帯保証人になり、逃げられ、多額の借金を背負い
その借金取りのせいで仕事を辞めざるを得なくなり
死を覚悟したそうです

私は父のそんな状況(仕事をやめ、路頭に迷っていたこと)を知らず
結婚の報告をするため、電話をかけたのですが不通になっており
おかしいな、と会社にかけたら
「○○ちゃん知らないの? もう何年も前にお父さんはやめたよ」
「え?なんで?」
「・・・それは僕の口からは言えない。お父さんに聞いてごらん」
と意味深なことを言われました
会社はお父さんとお友達が立ち上げた会社だったので、小さな会社で、私も会社役員の人たちのことは知っていたのでこんな会話でした

電話が不通なので休みの日を使って実家に行き
呼び鈴を鳴らしても反応がないため、鍵を使って中に入りました

父は、自分の部屋で手首に包丁を当てていました

「なにしてるの!!!!」
叫んだ私に驚いて、父は私をみました
もちろん自死しようとしていたのです

とんでもないタイミングで私が会いに行ったのは、なにかのはからいでしょうか
ちょうどその前日に水道がとまってしまい
電気、水道、ガス、すべてがとまって、もう生きていけないと思ったと言いました

「死なないでよ」
「もう生きてる目標ないんだよ。最後に会えてよかった」
「だめだよ、私結婚するんだよ、一緒にバージンロード歩いてよ」
「え?」
「お父さんと歩きたいよ」

父の表情が変わり、「バージンロード歩くの夢だったんだよ」と笑ってくれました
その時持っていた全財産を父に渡し、その後もお金を送ろうかと言いましたが、それは拒否されました
「水道代が払えれば大丈夫。なんとかなるよ。ちゃんと働いて、結婚式に行くよ」
その言葉通り、父は結婚式にきてくれました

父は夫とも話をして、「夕飯がいるかいらないか、それを面倒がったために俺は離婚したから、そういう細かいこと気を付けるといいよ」と謎に助言していました
(お父さん、離婚の原因はたぶんそこではないです・・・と心の中で思った)

その後も、連絡は取りあい安心していたのですが
娘の妊娠を報告すると
「そうか、おじいちゃんになるのか。嬉しいな。そしたらもっとちゃんとしないとな。絶対に会いに行くよ」
私は広島に嫁ぎ、父は埼玉だったため、なかなか会うことはできない状況でした
そして、それを境に音信不通になったのでした

父は幸せだったのかな? と何度も思います
もっともっと大好きだと言葉にすればよかった
そのままの父で、私は誇りに思っていたことを伝えればよかった
後悔ばかりが残ります

この父の死をきっかけに、兄と連絡をとるようになったのは

こちらの記事に書かれていますので
もしよかったらお読みください

人は、突然死んでしまうこともある

この後悔があったのに、
私の最愛の祖母との別れが、同じように起こってしまったのは
また別の話でします




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