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大雪山で紅葉ハイク!~不安で眠れぬテント泊(前編)~2020.9/19.20

「日本で1番早い紅葉を見に行こう。」

今回の旅は、ずまのこの一言で始まった。毎年ずまは、紅葉と共に全国を駆け抜ける旅を行っている。今回はぷちゃも、その旅の始まりに同行することになった。

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大雪山ってどこ?ここ?旭川の近くね。なるほど理解。

大雪山国立公園は、北海道の最高峰・旭岳(2,291m)を主峰とする黒岳などの大雪山連峰や、十勝岳・トムラウシ山などの山々が連なる、面積約23万haの日本最大の国立公園です。かつてアイヌの人々はこの地を「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼び、敬っていました。(大雪山国立公園、北海道観光公式サイト様より)

カムイミンタラ素敵じゃん。今回も旭岳ロープウェイを使って日帰りハイクするのかな?と思っていた。しかしずまは笑顔でこう言った。

「安足間岳(あんたろまだけ)って名前良くない?ここに行きたいんだよね。だから今回はロープウェイを使わないよ。」

まじか。安足間、安足間、あんたろま……。
いい名前じゃん。行く!(洗脳)そしてずまが引いたルートがこちら。○が安足間岳。

予定ルートは、愛山渓登山口→北鎮岳→裏旭キャンプ指定地宿泊→裾合平→愛山渓登山口。CTは1日目8時間半、2日目6時間半の行定だ。

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え、北海道の山でテント張るの……?

嫌だ!!!!!!!!ヒグマ怖い!! 日高の山で、朝テントから出た瞬間ヒグマに襲われた事件を思い出して震えた。そんな私を無視して、ずまは楽しそうに飛行機やレンタカーの予約をとっていく。こうして逃げ道を塞がれたぷちゃは、楽しみ半分ヒグマの恐怖半分で当日を迎えるのであった。


9月18日。その日はやってきた。羽田空港でパンと珈琲を摂取。美味すぎる。

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今回はANAにお世話になり、機内でオニオンスープをいただいた。美味しい。そして18時45分、旭川空港に到着。まずは空港にあるセブンイレブンで、ガス缶を購入。空港にガス缶売っているの最高すぎる。(イワタニプリムス・EPIハイパワー)

そしてレンタカーを借りて、まずはセイコーマートへ寄る。あーこれこれ。これを食べなきゃ北海道は始まらないね!気分はHighになり、ずまが運転する車は愛山渓登山口に向かっていった。途中で安足間駅と安足間川を見つけて、2人のテンションは最高潮に。安足間岳登頂の期待が高まったのであった。

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(ちなみに、ラストコンビニはココ!近くにセコマもあるので、補給がない人はどちらかで購入するんだ!他の山で、ラストコンビニをスルーしてしまい、マグオン1つとコーラ1本のみで登山した私との約束だ!低血糖とエネルギー不足で判断力・行動力がなくなるから補給大事。)


旭川空港から愛山渓登山口まで63km。1時間20分のドライブの末、駐車場に到着。電波はない。目の前に大雪山愛山渓温泉スパ&エコロッジ愛山渓倶楽部があり、駐車場は明るい。車は40台止められるが、私達が到着した時点で車は2台しか止まっていなかった。

明日から4連休なのに、2台だけ?嘘やろ。
一抹の不安を抱えつつ、車内で仮眠をとり、3時過ぎに起床。4時に行動を開始した。(結局出発時までに私達含めて5台しか止まっていなかった)


あ~やだやだ。ナイトハイクは嫌いなんだよ。だって暗くて怖いし、ヒグマいるかもしれないし……。でも私の鈍足だとこの時間に出ないと、いい時間にテント場にたどり着かない。今日の天気予報も12時くらいから雨だ。雨に降られる前に、テントを張りたい。

頭上には肉眼でも分かる天の川と満点の星空が広がっていて、とても綺麗だった。カムイが私達を祝福しているに違いない。よし、行こう!

愛山渓登山口から三十三曲分岐までは非常に整備され、有名なハイキングコースと遜色がないくらい、傾斜が緩く歩きやすい道だった。この先には分岐があり、イズミノ沢ルートか三十三曲がりの急坂を選ぶのだが、今回イズミノ沢ルートは道の崩落があり通行止めだった。三十三曲がりの急坂から道も登山道らしくなり、傾斜が少しきつくなった。しかし道は分かりやすくとても歩きやすい。ありがてぇ。平成ヒットソングを集めたプレイリストを流しながら、気分上々↑↑と歩みを進めていった。(人がいない所でのみ音楽をかけている)

しかし!ここで問題が発生!途中から前日の雨で道がぬかるみパラダイス、時々沼に。私達はトレランシューズで歩いていたため、道が水没しているのは死活問題だ。足が濡れない場所を探し、歩いて行く。ずまは足を水没させることなく上手に歩けたが、私は2回水没した。すれ違った登山者の長靴がうらやましいと、こんなに思ったことはない。
(写真は帰り。まだマシな道。)

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午前中は晴れ時々曇り予報であったが、お日様は見えず、稜線にはガスがかかっている。沼の平分岐で、稜線に出ても虚無だろうとルートを変更。2日目に予定していた沼の平を先に巡ることにした。

沼の平の登山道は木道で整備され、とても歩きやすかった。(所々木道が腐っていたり、浮いているので注意)山と高原地図に、この付近はヒグマ注意と3ヶ所も書かれているので、私の心は死んでいた。ヒグマがでてきた時の対処法を何度も頭の中で予習した。ゴールデ○カムイのヒグマと戦うシーンを思い出し、やられる前にやれ!!と思ったりもした。

「見て!沼が綺麗だよ!」

心が沈没していた私を余所に、前を歩いていたずまが嬉しそうな声を出した。おお!!広大な大地に美しい沼がいくつもあり、ガスの中でなんとも美しい景色を描いているじゃないか!!急に開けた視界が、奥深い山の中にいることを教えてくれた。ここが北海道の山に来ているということを、視覚で初めて実感した場所だ。

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北海道最高〜〜〜!!!イェェエイ!!!

またトコトコと歩き、ピウケナイ沢の渡渉ポイントがやってきた。前日の雨で渡渉できないのではないかという懸念があったが、そこは難なくクリアできた。よかった。足を置く石が分かりやすく、渡渉しやすい川だった。(私が一番苦戦した渡渉は、宮崎県の大崩山だ。ここはヤバい。でも好き。)

裾合平に到着すると、そこにはチングルマの楽園が広がっていた。一面の赤、赤、赤。チングルマの大群落地と聞いていたが、こんなにも凄いものとは想像していなかった。ガスっていなければ、チングルマと旭岳という最高の景色が見られたので少し残念だった。(また来年!)

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チングルマはいいぞ!!

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夏も歩きたくなっちゃうね!!

今年初めての美しい赤を見て、疲れも吹き飛ぶ。気分良く歩いていると、鼻孔を硫黄臭がくすぐった。ずまと顔を見合わせ、逸る気持ちを抑えながら、白く濁った川に沿って登っていく。人の集まる先には湯気の立つ水たまりがあった。

ペロッ……。これは温泉だ!中岳温泉だ!!!!

ザックを下ろし、いそいそと新しい靴下とセイムタオルを準備していると、ご婦人方に声をかけられた。

「温泉に入られるんですか?」と。

当たり前だ!!!!!これを楽しみに歩いてきたんだぞ!!!!この時、人はいるが、温泉の中には誰も入っていない状況だった。そんなの関係ねぇ!私達は靴と靴下を脱ぎ捨てて、温泉に足を入れた。

し、しみる~~~~~~!!!長距離歩いた足に、温かい温泉が染み渡った。2人で溶けていると、先程のご婦人方も足湯仲間になった。気持ちいいねぇ、なんて皆で言いながら最高の時を過ごした。(中岳温泉にテントの携帯トイレブースあり)

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温泉から上がり、また行動を開始する。私は1度長時間座ると、地面に根が生えてしまうタイプなので、ここから先は足が重くて仕方がなかった。

「今、疲れレベルいくつ?」

「ゼロ。まったく疲れなし。」

きっとずまも疲れているだろうと質問してみたが、彼は超人であった。日帰りでCT30時間の行程を歩けてしまう人間にとって、私との登山はお散歩程度なのだ。ずまの後をのそのそと歩いていると、強風が吹いて、一瞬ガスを吹き飛ばした。

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おお!!山肌がちらほらと黄色く色付いている!綺麗だ。

そんな悠長に景色を見られたのも、ここまでだった。

ガスは濃くなり、視界は真っ白。風も強くなり、雨とあられが降ってきた。急いでレインウエアを着て、心を無にしてひたすら歩く。心が死にそうになっている時に、ずまが声をあげた。

「着いたよ!頑張ったね!」

目の前に、風除けの石が所々に積まれた平地がうっすらと見える。本日の宿泊地、裏旭キャンプ指定地に到着したのだ。2人で協力して急いでテントを張り、中に入る。外の寒さを感じない、天国がここにあった。(電波はない)

濡れた物をセイムタオルで拭き、レインを脱いで、体が冷えないように色々と着込む。とりあえず体を温めるためにシュラフの中に入ったら、いつの間にか2人共寝ていた。

誰かの話声で、目が覚めた。どうやら、男性グループもテントを張るようだ。今、ここには私達と彼らしかいない。仲間ができたと内心喜んでいると、何かを相談する声が聞こえた。

風が強すぎてテントが張れねぇ!
今何時?
14時。
……ロープウェイの最終って何時だっけ?

・・・・・・。

はい、仲間は去っていきました。リスクを回避できるの素晴らしい!でも、この天気の中でテント1張りだけなのは寂しい。珈琲を淹れるために、お湯を沸かしていると、強風がテントを叩いた。その瞬間、ゴトクにテントが触れ、テントが少し破ける事態が発生!

ぎゃああああああああ!テントが破けた所に防水シールを張り、その周囲を補強する。水・風が入ってくる気配はない。エマージェンシーグッズを各種持ってきていて、本当によかった。

あ~珈琲が美味しい。内臓が温まると体も温まってくる。暇なので、ずまにゆるキャン△はいいぞ、よりもいはいいぞ、とダウンロードしてきたアニメの布教活動を行う。(少女週末旅行もダウンロードしていたが、アマプラの無料期間が過ぎていたようで布教できず。悲しい。)雨は降ったり止んだりを繰り返していた。

ある程度アニメを見終わったため、また眠る。18時頃に再度お湯を沸かして夕ごはんを食べた。外を見てみると、もう1つテントを確認できて、少し安心した。

シュラフに入り、電気を消す。明日は晴れ予報だから、もうすぐ雨は止むはずだ。暗闇の中で、風が強く吹いている音と、大雨がテントを叩く音が響く。風の音が、あまりに唸りを上げているので、怖くて眠れない。

テント壊れない?明日の朝を無事に迎えられるのだろうか?

不安が頭の中にこびりついて、離れない。おやすみ3秒のずまも、今夜は眠れないようで、何度も寝返りを繰り返していた。

眠れない私達は明日の予定を見直すことにした。

朝3時に起きて朝食を摂る。
1.雨が止んでいたら、撤収して間宮岳で日の出を見る。
2.雨が降っていたら、また寝る。
↳6時起床。
⑴大雨強風なら旭岳から下る。
⑵晴れなら稜線を歩く。

見直し後、耳栓をして寝てみることにした。耳栓をすると、あんなにもうるさかった風の音が消えて、雨音だけが聞こえた。その音は心地よく、音を聞いていたら、いつの間にか眠れていた。

――1日目――

愛山渓登山口→沼の平→当麻乗越→裾合平→中岳分岐→間宮岳→旭裏キャンプ指定地泊(CT9時間。12km。)

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前編はここで終わりです。読んでくださり、ありがとうございます!












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