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あらうんど・ないんてぃー1 交通事故➕免許返納問題➕独居老人問題がトリプルで舞い降りてきた日

1933年7月、彼女は京都で生まれた。ちょうど90歳
「大きなったなぁー。こんなに長生きするとは思わへんかった。」と笑う
その人が私の母である。この母をめぐる一連のストーリーを書いておこうと思い立ち、超久方ぶりに記事をアップします。

登場人物は以下になります。
母・・・90歳
私・・・クラフト関係職
弟1号・・・建築関係職
弟2号・・・教育関係職
叔母・・・母の妹(主婦)
その他に弟1号の嫁子ちゃん、娘なども登場。

2023年6月のある月曜日、弟1号からLINE電話が入る。WIFIの調子が悪くって恐ろしく聞き取りにくかったのではあるが、とにかく母が運転中に接触事故を起こしたので、今から警察へ行くんだけど一緒に行きませんか?というお誘いである。

「おふくろずーっと機嫌悪いんだよ?」だから私に一緒について来てほしいということらしかった。弟1号と一緒に出かけるのは何時ぶりだろう?2〜3年ぶり?つーか、ちょっと不思議な組み合わせではあるよなぁとか思いながら電話を切った。

事情がよくわからないままに、弟1号の車で最寄りの警察署へと向かう車中で、動画を見せてもらう。ドラレコの映像だ。
母の運転する軽自動車が駐車場から出て右折しようとするその途端、優先道路右側から走ってきた軽自動車の後ろをかすった。車はフラつきながらもそのまま走り去っていく。
「あー、びっくりしたー!」と母は言い、これまたそのまま走り去って行く。

え〜〜〜、走り去っちゃうの????
いやいや、そこ走り去るところじゃないから!
停まって110番するところだから!

それが金曜日の出来事。

で、月曜日に母宅を訪れた弟1号がバンパーの傷を発見し「どうしたの?」と聞いたところ、「ぶつけられたんや。」と母は言った。
「警察には電話した?」
「してない。」
青ざめる弟1号
ドラレコの映像を見て更にザザーッと血の気が引く弟1号

問題は、2つ。
1つは明らかにぶつけているにもかかわらずぶつけられたと言ったこと。
2つめは警察に連絡をしていないこと。
やっばっ!!
これって当て逃げじゃん!!

というわけで、沈みゆく夕陽の中を90歳の当て逃げ犯とその子供の計3人で最寄りの警察署に向かった。警察の方はとても丁寧な対応で、先方の方が既にちゃーんと事故届を出しておられる事もそこで判明した。当然だよね?

で、管轄が違うとの理由で、その方が事故届を出された警察署へ向かって再び移動することになる。街はすっかり群青色に染まりネオンがやけに眩しく感じられた。

2つ目の警察署で、先方の電話番号を教えていただき弟1号が平身低頭モードで電話する。保険屋さんにも連絡する。その横で、母はなんだかブンむくれている。むくれてはいるが「世話になったなぁ。」と言い、3人で遅い夕食を食べ終えた時にはもう22時を回っていた。

そして、車を修理に出し、独居老人である母はノーカーライフに突入する。その時点で、弟1号は「もう運転は無理!」と思っていたのではあるが、はっきりそうとは言わない。「修理に時間がかかっている。」「保険屋さんと交渉している。」という理由で。

すると、1ヶ月経っても車が戻ってこない事に痺れを切らした母が「早く車を返して。」と言い始める。

事故後、兄弟LINEを立ち上げ、そこからああでもないこうでもないと際限の無いやりとりが始まったのではあるが、車に乗りたいという母の意志は鉄筋コンクリートのように硬く、子供3人で入れ替わり立ち替わり説得すれども譲る気配がまったく無い。なので、藁にもすがる思いで叔母(10歳年下の母の妹)にSOSをLINEで送った。

すると、あろうことか、その叔母からの返信を弟1号が母も入っている家族LINEで誤爆しちゃったのである。


これ、誤爆しちゃあイカンでしょ。大至急、母のもとに駆けつけ禁断のメッセージを家族LINEから密かに削除するという一幕もあったりして、スリルとサスペンスはNetflixでなくとも充分堪能できるのね?と理解した。


そもそも母の場合、当て逃げだと認識していないことが問題だし、警察に連絡していないのも大問題。だが、もっと問題なのは、本人が問題だとも思っていない事なのだ。

免許返納支援のために叔父と叔母が来てくれた結果報告を弟達にLINEでする。以下、LINEで送ったテキスト。

今日のまとめ。

︎母的にはこのまま運転を止める気は無い(半分くらい意地になっているかも?)→「逆に90まで運転できたんやからすごいわ。もうええやん。これを機会にもう諦めたら?」と叔母さん。さすが 笑

︎思い立って出かけられないのが一番辛い。→叔父さん大いに同調。この気持ちは子供たちには分からない。と、吐露できたのは良かったかも?本人的には「籠の鳥」みたいな気分で不愉快だとの事。

︎京都のおじいちゃんから自転車を取り上げたら3ヵ月で死なはった。私もそうなる。→ならへん。姉ちゃん(母)はまだまだ生きる(キッパリ)by叔母。

︎皆んな気をつかってくれるけど、母のために時間を割くことで、それぞれの家庭に影響が出るのではないか?と心配。→みんなやりたくてやっている(人身事故起こすより良い)→「やってもうたらええやん」by叔母。

︎︎叔父もシニアカーには反対。安定性が無い。別荘地の中、車がスピード出して走っている。坂道だし、転んで骨折でもしたら一気に寝たきり生活になる。

︎乗らなくてもいいから車が駐車場に停まっていてほしい。→乗らないならいらんやん。と叔母。姉妹パワー炸裂!

ちなみに叔父はアルツハイマー(初期)なので75才で免許返納し、叔母が運転手。 あと、事故った時に「ぶつけられた」と言ったのは、典型的な認知症の症状だね?とは、介護職の多い叔母宅での判断。気を悪くしないでね?と叔母。 叔母宅では、どんな小さな事故でも起こしたら免許返納というルールになっているそう。 まあ、こんなところかな?

とまあ、このように、いわゆる高齢者の免許返納問題が、突如我が家に舞い降りたのである。母の運転歴は50年ほどで大きな事故も無くやってきたし、90歳目前にして免許証の更新も出来てしまった。であるならばと、弟1号と2号が相談してサポートカーに乗り換えた。自動衝突防止装置の付いているHONDA N-WGNである。だが、その最新式の車をもってしても起こるものは起こるのだよね。

ただ、今回の事故に於いてとてつもなく幸いだったのは、誰も怪我をしていないし誰も死んでいないというその1点に尽きるわけで、もしこれが人身事故だったら・・・と思った瞬間、兄弟3人は揃って零下30度まで一気に肝を冷やした。実に身体によろしくない現象ではある。

そして、母のノーカーライフを支える生活が始まった。否、支えつつ「車返して!」コールに耐える生活が・・・。

(特に続けたいわけではないのだが)続く・・・。







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