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LINE LIVE~リスナーがライバーに魅せられているとき、ライバーもまたリスナーに魅せられているのだ~

 完敗だった。
 悔しいけれど、私の完敗だったと認めざるを得ない。

 LINELIVEという配信アプリで劇団こいろはがチャンネルを開設し、私も一劇団員としてライバーを始めてから半年が経とうとしているけれど、ようやく配信とは何かがわかってきた気がしていた。

 個人アカウントで配信を続けてみたり、毎朝定時に企画配信をしたりと、恥ずかしながら活動に本腰を入れたのは今年なのだけれど、これまでのリス活(リスナーとして配信に参加すること)で仲良くさせてもらったリスナーさんたちに支えられ、配信がどんどん楽しくなった。そして、配信者たちがリスナーから贈られるアイテムで順位を競う『イベント』の最終枠を経験して、応援して貰えることのありがたさや、配信者としての責任の重さを実感した。特に最終枠は、ずっと興奮しっぱなしで、鳥肌が止まらなかったし、駆け付けてくれるリスナーさん、沢山のアイテムで応援してくれるリスナーさん、「順位チェック」や「イベント終了までの時間報告」や「イベントの説明」など配信側のスタッフとして動いてくれたリスナーさんたちとの一体感にたまらない感動を覚えた。「これがラインライブか…!」とようやくその神髄にたどり着けた気がしていた。

 けれど今思えば、この時はまだ、ラインライブのことをわかったつもりでいただけだったのだ。

 配信アプリは、コミュニケーションビジネスだ。
 YoutubeやTikTokなどの動画配信アプリと違うのは、「一方通行ではない」という点。ライバー(配信者)がリスナー(視聴者)とのコミュニケーションをエンターテイメントとして提供するというのが、このSNSの面白いとこである。
 だから本来、これは当然のことだが、イニシアチブはライバーにあるものなのだ。本当にこれは、至極当然のことなのだが。

 今回、私はライバー側でありながら、リスナーに心奪われていた。詳しくはしみずチャンネルと劇団チャンネルのアーカイブをみてもらいたいのだけれど(残ってないかもごめん)。
 ライバーが用意した企画に対し、あるリスナーは頭脳戦でそれに挑んできた。その企画は、ある条件を満たしたリスナー1名にだけ「そのライバーに企画を提案できる権利」がもらえるというものだった。
 そのリスナーは念入りな準備と根回しを行い作戦を実行した。私はたまたまその配信に居合わせただけで、その配信枠の主でもなかったのだけれど、そのリスナーの作戦の実態を知りたくなってしまったのだった。

 それが罠だった。
 一向に先の見えない謎解きゲームに、私は一喜一憂していた。翻弄される私を見て、そのリスナーはコメントでさらに私を惑わしてきた。完全に、イニシアチブはそのリスナーにあった。

 悔しかったのは、謎が解けないことだけではない。
 リスナーの思惑通りに、自分が踊ってしまったことだ。
 そして、同時に感動していた。
 リスナーの影響力がこんなにも強くなりうることに。

 結局謎解きのために連続4時間も配信してしまっていた。負けを認めて配信を終えたのは朝の4時だった気がする。体力も消耗し、疲れ果てていたので覚えていない。

 そしてまたもう一つ感動したのは、そこまでして欲しいものを手に入れたリスナーがライバーに提案した企画が、なんとも平和で、かわいらしいものだったということ。

 こんなに、手が込んでいるのに!!こんなに、私を翻弄したのに!!たぶんきっとどこかでやってくれたよそれ!!なんて良心的なリスナーなんだ!!逆に腹が立つ!!

 だから、いろんな意味で、完敗なのである。謎解きの難しさに荒れまくった様はどうみてもピエロだったし、自分が恐れていた企画などとは程遠いピュアな提案をされたことによって私の心がどれだけ汚れているのかという事実も叩きつけられたのだ。

 ウわさにもなっていたが
 ナぜかラインライブは3月をもってサービスを終了する。
 ギりぎりまでかけぬけるつもりだし
 ユるぎなくそれは変わらない。
 ルールも守る。
 スじも通す。
 マじでこれまでと何かかえることはないが
 ジぶんの覚悟だけは改めて強く持とう。

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