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診療報酬について考えてみる -work.03-

 今まで、診療報酬って何となくしか理解していなかったなと思い、この機会に頭の整理を兼ね、自分の言葉でOutputしてみることにした。

1.診療報酬とは

・保険医療機関及び保険薬局が、保険医療サービスに対する対価として保険者から受け取る報酬。
・厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を踏まえ決定(厚生労働大臣告示)

 診療報酬の支払いを医療機関に直接行うのは、実際には保険者(健康保険組合、国民健康保険組合など)ではなく、審査機関である社会保険診療報酬支払基金(通称:支払基金)が間に入る。支払基金側は、保険医療機関及び薬局からの診療に係ったレセプトデータをもとに『医療費の請求は正しいのか?』について審査を行った上で、健康保険組合(保険者)などへ請求をし、その後、健康保険組合などから支払われた医療費を保険医療機関へ支払う。

図1

 私の経験上、支払基金の各支部(各県)の担当者の解釈次第で、審査基準が違うこともあると聞いていた。そのため、特定保険医療材料(保険償還価格)や検査料、医学管理料など、算定可能かどうか判断がつきにくいグレーな部分については、医事課担当者から直接、各支部の支払基金に問い合わせてもらっていました。

2.診療報酬の中身

① 技術・サービスの評価(手術料、処置料、検査料など)
② 物の価格評価(薬価、特定保険医療材料価格)

大きく分類すると、上記2点になる。
 ①は、DPC(Diagnosis Procedure Combination:診断群分類包括評価)でいうところの”包括評価部分”および”出来高評価部分”に該当。

 ②は、薬価や特定保険医療材料の材料価格(保険償還価格)が該当。DPCにおける出来高評価の範囲となる手術や麻酔の部で算定するDoctor fee的要素となる。

診療報酬の中身について語る上で、DPC制度についても少しだけ触れたい。

3.”DPC”と”DPC/PDPS”

 DPC(Diagnosis Procedure Combination)とは、Diagnosis(診断)とProcedure(治療・処置)のCombination(組み合わせ)の略称。
 DPCは、この「病名(診断)」と「提供されたサービス(治療・処置)」の「組み合わせ」によって、さまざまな状態の患者を分類するためのツール(方法)である。

#DPCとは、つまり・・・
『患者を分類するための診断群分類』であり、

#DPC/PDPS(Per-Diem Payment System)とは、
『診断群分類に基づく1日当たりの定額報酬算定制度』を意味する。


■ 両者の使い分けを明確にする
「DPC」という呼称については、従来以下2つの意味が混在していた。

①患者分類としての診断群分類
②診断群分類に基づく1日当たりの定額報酬算定制度

 繰り替えしになるが、本来DPCとは①の意味で作られた略称であり、支払制度の意味は含まれていない。そのため、支払制度としてのDPC制度の略称については、”DPC/PDPS”とすることで整理された。(平成22年12月16日:DPC評価分科会において)


■ DPCに基づく支払制度の概要
実際に病院に掛かった際に請求される費用について考えてみる。

◆DPCにおける診療報酬総額
 =「診断群分類(DPC)による包括評価」+「出来高評価」+「食事療養費、ベッド差額代金 etc」

◆診断群分類(DPC)による包括評価
 =「診断群分類番号ごとの1日当たり包括点数(DPC/PDPS)」×「入院日数」×「医療機関別係数」×10円

 私の場合だと、診療報酬総額の3割(残りの7割は保険者支払い)を病院窓口で負担することになる。
 診療報酬は、大きく「包括評価部分」と「出来高評価部分」に分かれる。包括評価部分はいわゆる”Hospital fee的要素”(医療機関の運営コスト等入院医療における基本的費用に対する報酬)、出来高評価部分は”Doctor fee的要素”(医師による疾病の診断や治療等、医師の技術料部分に当たるサービス費用に対する報酬)になる。具体的に、以下で整理してみる。


■ 包括評価および出来高評価の範囲

◆包括評価の範囲 ~ホスピタルフィー的要素~
・入院基本料
・検査(内視鏡検査の技術料、病理診断、病理学的判断料を除く)
・画像診断(画像診断管理加算、選択的動脈造影カテーテル手技を除く),
・投薬料
・注射料
・リハビリテーション・精神科専門療法における調剤料
・1000点未満の処置料
手術・麻酔の部で算定する薬剤・特定保険医療材料以外の薬剤・材料料
・病理標本作成資料  etc

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◆出来高評価の範囲 ~ドクターフィー的要素~
手術料
・麻酔料
・放射線治療
・リハビリテーション料、精神科療法
・内視鏡検査料
・1000点以上の処置料
・医学管理料
・心臓カテーテル法による検査
・病理診断、病理学的検査判断
・選択的動脈造影カテーテル手技
・指導管理料
・手術・麻酔の部で算定する薬剤・特定保険医療材料 etc

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4.私が感じる疑問 ~次回のOutputに向けて~

 私は、以前からこの”Hospital fee的要素”と”Doctor fee的要素”の分類について疑問を感じていた。それは”特定保険医療材料”と”それ以外の材料”に分類がなされている点である。

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 特定保険医療材料には保険償還価格が設定され、手術や麻酔の部で使用した場合には出来高加算できる(但し、画像診断や処置を行った際に使用した特定保険医療材料については、”包括”の対象となり保険償還価格は算定出来ない。一部例外あり)。
 しかし実際には、手術を行う中で特定保険医療材料には該当しない医療材料も数多く使用する。例えば、縫合糸や衛生材料であるガーゼ、腹腔鏡下手術で使用するトロカーなどがそれに該当する。これら医療材料は、手術料(技術料)の中に包括されてしまっているわけだが、他にも手術医療機器加算(超音波凝固切開装置、自動吻合器 etc)といった技術料に加算した包括も存在する。使用した場合には出来高加算できますよといったもの。

 では、「なぜこのように、包括評価と出来高評価が混在した制度になっているのか?」「もしくは、なぜそうなってしまったのか?」この手術の部での算定を巡る議論に関しては、現行制度の建付けを踏まえ、もう少し情報整理した上で、次回Outputしていく。



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