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球界の将棋王

今年の8月いっぱいまで記事を書けない部署にいるので、取材がしたくてしょうがない。ちょっとイライラしているときに限って、楽しそうな記事を先輩が書いている。

中日のキャンプ取材に行っているのに、記事の内容は平田との将棋対局。丁寧に棋譜まで載せている。おそらく、キャンプ報道では他紙も含めて史上初ではないだろうか。

将棋の強さが理由かどうかはわからないけど、平田はとても頭の回転が速い選手だった。僕がドラゴンズ担当のときも、質問したら当意即妙。サービス精神も旺盛で、期待していたもの以上のコメントを、いつもくれた。

高校時代からそうだった。

彼が大阪桐蔭の3年生だった夏。優勝候補の筆頭として甲子園に乗り込んできた。春日部共栄(埼玉)との1回戦で、4番打者の平田は5打数2安打2打点。十分な活躍だったが、もっと活躍した1年生がいた。

中田翔(現・日本ハム)だ。ホームランは打つわ、リリーフ登板で146キロを投げるわで、試合後は当然、報道陣に囲まれていた。

で、僕はぽつんと立っていた平田についた。試合のことも聞きたいが、中田についても聞きたい。でも、気を悪くしないかな・・・・。おそるおそる、「中田くんのことだけど、どう見てた?」とたずねたら、にこっと笑って言った。

「いやー、すごいっすよね。1年生じゃなくて、4年生ちゃいますか?」

もらった! なんて素晴らしい! ありがとう! もちろん、次の日の新聞には「中田、4年生並み?の活躍」と見出しになった。

改めて、対局の記事(キャンプ記事かw)をゆっくり読んでみる。平田がいるのは、中日が練習する北谷球場のネット裏、本部席ではなかろうか。たぶん、休日練習の合間に「いいっすね!」と前代未聞の企画に応じてくれたのだろう。

いいなぁ。また平田を取材したい。こだわりのバットのこととか、聞きたいことが山ほどある。

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