10年前、僕はスポーツ部の高校野球キャップで、3月11日は夕方から履正社を取材する予定だった。 大阪・中之島の本社で選手のアンケートを読んでいたら、地震速報。しばらくして、揺れた。ゆら~、ゆら~。まるで波に乗ってるかのように、大きく、長く、ゆっくりと。不気味な揺れだった。 本社のすぐ隣は阪神高速だったので、トレーラーのような大きな車が通ると、たまに揺れることはあった。でも、それとはまったく違う。 何というか、波長が長い。「これ、いまテレビでやってる地震?」。同僚とそんな
3月になった。もう春だ。春といえばセンバツだ。いろいろ異論はあると思うが、春はセンバツなのだ。そう決まっているのだ。 今年の選抜高校野球大会は19日に阪神甲子園球場で開幕する。去年はコロナの影響で中止になった。今年も出場校から陽性者が出た場合は出場不可になる可能性もある。とにかく、まずは全員が無事に甲子園に集って、全日程をつつがなく終えてほしい。 ひとつ残念なのは、ブラスバンド応援が禁止になったことだ。僕は野球の試合と同じくらい、ブラバン応援を聞くのが楽しい。 特にお気
今年の8月いっぱいまで記事を書けない部署にいるので、取材がしたくてしょうがない。ちょっとイライラしているときに限って、楽しそうな記事を先輩が書いている。 中日のキャンプ取材に行っているのに、記事の内容は平田との将棋対局。丁寧に棋譜まで載せている。おそらく、キャンプ報道では他紙も含めて史上初ではないだろうか。 将棋の強さが理由かどうかはわからないけど、平田はとても頭の回転が速い選手だった。僕がドラゴンズ担当のときも、質問したら当意即妙。サービス精神も旺盛で、期待していたもの
何げなく新聞を読んでいたら、面白い記事が目にとまった。 高知県の中学校体育連盟が、県内に約1千人いる野球部員に審判資格の取得をすすめているというのだ。2月7日には、講習会もあった。 記事によれば、全日本野球協会の集計で高知県は公認審判員の数が少ない。さらに、中学生以下の少年野球では、試合の審判を保護者が務めることが多い。入団条件に「保護者が休日に審判をできること」を挙げるチームもあるらしく、それがネックとなって入団を敬遠する動きもあるという。 そんな課題を解決するための
森山周一郎さんが亡くなった。 https://digital.asahi.com/articles/ASP296QN8P29UCLV00G.html?iref=comtop_7_05 森山さんと言えば、あの声。代表作は数あれど、一番インパクトを残したのはプロ野球中継ではなかっただろうか。 新機軸というか、型破りというか、無謀というか。そんなプロ野球中継だった。2005年5月3日、ナゴヤドームでの中日―ヤクルトの試合。放送したのはNHK。NHKのスポーツ中継といえば、余計
2月1日だ。東京にいると、なんだか寂しい。プロ野球を担当するようになってからは、ほぼ毎年のように沖縄か宮崎か、ときにアメリカにいた。キャンプを取材するためだ。2月の東京ってこんなに寒かったのか、と今更ながら思う。 私が初めてプロ野球のキャンプを取材したのは、2004年だった。計5年の地方修行を終え、念願かなってスポーツ部へ配属された。勤務地は名古屋。担当はドラゴンズ。しかも、監督は「オレ流」こと落合博満だ。(思わず呼び捨てにしてしまったけど、お会いするとつい「監督」と呼んで
高校野球を担当していたとき、1月末が近づいてくると大きな仕事が待っていた。春の選抜高校野球大会の出場校予想だ。決して博打をしているわけじゃない。選考委員会が開かれる日、出場が有力な学校に、あらかじめ記者を貼り付けるためだ。候補校すべてに記者やカメラマンを置ければ手っ取り早いけれど、人数には限りがあるから、そうはいかない。 関東や近畿など、各地区から一般選考で選ばれそうな学校は、だいたい目星がつく。前年秋の地区大会で上位進出を果たしていることが、選出の前提条件だからだ。北か