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「仮配属」の効用 ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その6

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、6つめにして、これが最後かな。

前回も書きましたが、僕が会社に入った年は正式配属までの研修期間が非常に長く、3ヶ月もありました。その間には、これまでも書いてきたような座学もあり、

仮配属もありました。

仮配属は1~2週間ずつ、5つの部局に行ってやるオン・ザ・ジョブ・トレーニングでした。

全員が行かされる放送運営局では、物理的に電波を送り出す準備をし、不具合なく電波が流れているかを監視し、そのための泊まり勤務もやりました。

僕の場合はそれ以外に運動部(スポーツ番組制作セクション、当時はそういう部名でした)、テレビ制作2部(ワイドショー班)、

ラジオ営業部、ラジオ編成部の4箇所を回りました。

その仮配属で何が役に立ったかと言えば、それはたった一つだったと思います。

それはいろんな部局のいろんな人たちと知り合いになったということです。

とても単純な話で、相手を知っていると仕事はやりやすくなるのです。

正式配属されてから他の部に何か連絡や交渉で行くと、所詮1~2週間とは言っても朝から晩まで一緒にいたわけですから、先輩たちのほうも自分のことを憶えていてくれて、それなりに目もかけてくれて、「おお、お前か。元気でやってるか」みたいな調子で話が始まるので、とても楽なのです。

で、当時を振り返って、仮配属の効用を考えてみると、単にそんな風にしていろんな社員と知り合いにさせてくれたことが良かったということではないんですよね。

微妙にニュアンスが異なるのでよく読んでほしいのですが、そんな風にしてどんな場合でもお互いに相手を知っていると仕事がスムーズに運ぶのだということを教えてくれたことが、この仮配属の効用だったと思うのです。

2人の人間が初対面でいきなり意気投合するなんてこともないではありません。でも、それはかなり稀なことです。

仕事をするとき、誰もが最初は初対面で、誰もが緊張していたり、警戒していたり、相手を値踏みしていたり、興味津々で観察していたり、なんであれそういうところからスタートせざるを得ないのです。

そして、相手のことが分かってくると、たとえその人があまり自分が好きな、得意とするタイプでなかったとしても、仕事は幾分かスムーズに運ぶようになるのです。

だから、最初の時に、どうやって相手のことを知り、自分のことを相手に伝えるか、そして、どういうふうにしたらそれを早く成し遂げられるか、それがキーになってくるわけです。

昔の営業マンであれば「とりあえず一緒に飲みに行く」なんてのも1つの方法でした。それが悪いとは言いません。でも、やり方はひとつだけではなく、喋り方ひとつにしても、いろんな環境の整え方にしても、その人それぞれのやり方があるはずですし、相手の人それぞれに相応しい違った振る舞い方があるはずです。

そういうところに気づかせてくれたのが、仮配属であり、長い研修期間でした。

所詮は人と人とのつきあいなんだ、ということに気づくために、僕らはろくに役にも立ちはしないのに、いろんな部局に行っていろんな手伝いや下働きをさせられたのだと思います。

そう考えると、長い研修期間も決して無駄ではなかったのではないかと、今頃になってそんなことを考えたりしています。

そうやって、長いこと経ってから振り返ってみるのって大事だなと、会社生活もそろそろ終わりになる今頃になってやっと気づいたりしています。

ここまで書いてきた6つの文章は、そういう思いをまとめたものでした。お読みいただいた皆様、ありがとうございました。そして、あなたにはあなたの働く極意があるはずです。そういうのも読ませていただいたらありがたいと思います。

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このシリーズの初回はこちら(読み終わったら次の回へのリンクがあります):

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